乳牛のベストパフォーマンス会議

  • Day:2014.10.31 23:15
  • Cat:
2014.10.31
「乳用牛ベストパフォーマンス実現会議」の傍聴に行ってきました。

まず、帯広畜産大学の教授が欠席されていました。
帯広畜産大学では以前アニマルウェルフェアロゴを考案されていたので、その話を伺いたいと思っていたので、残念でした。

会議の中で「動物福祉」「アニマルウェルフェア」の言葉はまったく出てきませんでした。
どうやって生産性を上げるか、ということに話は終始しました。

畜産・飼料調査所の方の話では
「乳量が高い牛は子牛の生産性が落ちるというデータがたくさんある」
「年々発情の兆候が弱まっているのも、乳量が高くなってることが原因」
「骨粗しょう症も乳量の高さが原因」
という話があり、また欠席の帯広大学の木田教授の伝言では
「高泌乳牛は分娩後にエベルギー不足になるために急激な濃厚飼料の給餌が必要。しかしそのためルーメンアシドーシス(胃が悪い状態)になる牛もいる」という報告もありました。
しかし、「だから、これ以上の乳量の増加を目指すのはやめよう、本来の牛の自然な姿に戻そう」というのではなく、「だから、病気にならないよう質の良い餌をあげよう」「飼養管理技術を磨こう」と「人工授精の受胎率を高めよう」いう結論でした。

これからも乳量増加を目指して進んでいくでしょう。

放牧酪農の牛の乳量は年間3500kgくらいのところもありますが、日本の平均は8200kg。子牛が必要な乳量は一年間に100kgくらいのものだということを考えると、品種「改良」による乳量増加のために乳牛にどれだけ大きな負担を強いているのかがわかります。

生産性にこだわることをやめ、乳量の増加を牛に課すことをやめ、牛本来の生態に配慮した飼育をおこなえば、多くの問題が解決すると思うのに、根本的問題については問題提起がなされず、当面の対症療法についての話し合いで会議が終了したことがとても残念でした。



乳牛のベストパフォーマンス会議
http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_sinko/141022.html


乳牛の生産病について
http://www.nissangosei.co.jp/nissan/m088.pdf
ニ ッ サ ン 酪農・豆知識
平成 26 年 1 月
第 88 号
1.はじめに
乳牛は育種改良、規模拡大あるいは集約管理等により高度の生産性を追求した結果、個体の乳量は増加しました。しかし、その一方で高乳量のために栄養摂取量と泌乳量とのバランスが崩れ、栄養代謝やホルモン分泌に変調を来たすことで発症する病気が増えてきています。これらは『生産病』と総称されています。
生産病は、生産現場では日常的に頻発し、生産農家の経営を圧迫しています。しかし、口蹄疫、BSE、鶏の高病原性インフルエンザ等のように国家防疫上の緊急性や危険性をはらんだ感染性疾病と異なり、一般消費者にとって比較的馴染みのうすい病気です。

2.乳牛の生産病
生産病は狭義には、「濃厚飼料多給による代謝障害」ですが、広義には、代謝障害に加えて、繁殖障害、泌乳障害、運動器障害、更には、日和見感染症の側面を持つ子牛の消化器病や呼吸器病等もこの疾病の範疇です。
現在問題となっている生産病には代謝障害(ルーメンアシドーシス、脂肪肝やケトーシス等の肝機能障害、第四胃変位、低カルシウム血症等)、繁殖障害(卵胞発育障害、卵巣嚢腫、鈍性発情、排卵障害、子宮内膜炎、胚の早期死滅、着床障害など)、運動器障害(蹄葉炎等蹄病全般)、そして泌乳障害(臨床性乳房炎、潜在性乳房炎、慢性乳房炎)などがあります。

3. 乳牛の生産病を取り巻く最近の動向
1)潜在性生産病
潜在性生産病とは、個体の外見からは異常が検出できず、血液や乳汁等の体液成分検査等によって初めて病気の進行状況がわかる生産病です。これには低カルシウム血症、ルーメンアシドーシス、乳房炎などがあります。また、潜在性生産病は、臨床症状を伴う生産病(臨床性生産病)の前段階ともいえます。
近年の栄養管理技術や家畜管理学の進展、及びこれらを取り込んだ生産獣医療の取り組み等によって、臨床性生産病はかなり減ってきていますが、潜在性生産病についてはむしろ深く広くまん延しつつあります。
明確な臨床症状を伴わないため、潜在性生産病は見過ごされることが多いのですが、繁殖機能や免疫機能へも悪影響を及ぼします。そして何よりも経済的被害額は、臨床性生産病の数倍にものぼるといわれています。今後、繁殖分野だけではなく畜産・獣医分野が総力をあげて研究すべき重要課題です。
2)受胎率低下
現在、受胎率が低下するという問題が顕在化してきています。現在の泌乳牛は泌乳能力が向上したため、分娩後 6~10 週間は乳生産に必要なエネルギー量が飼料として摂取できるエネルギー量よりも多くなります。乳牛はこれに対して自分の体に蓄積している脂肪などをエネルギー源として使って、言い換えれば身を削って乳を生産します。この状態を負のエネルギーバランスといっています。負のエネルギーバランスの期間は、性ホルモンの分泌は抑制され、卵巣の正常な働きを阻害し、繁殖機能に悪影響を及ぼしていると言われています。しかし受胎率の低下には負のエネルギーバランス以外の要因も複雑に絡んでいます。従って繁
殖技術のみならず、育種・飼養・衛生管理等、畜産獣医技術全般に関わる問題といえます。
牛の受胎(繁殖性)の阻害要因を解明し、受胎率の改善・解決に向けた早急な対策が必要です。
3)周産期の免疫機能の低下
分娩前後の3週間、あわせて6週間を周産期と呼んでいます。この時期には、乳房炎、乳熱、起立不能症、第四胃変位、ケトーシス、ルーメンアシドーシス、低カルシウム血症、蹄葉炎、胎盤停滞等種々の疾病が多発します。これは特に周産期疾病と呼ばれています。
妊娠末期の乳牛は、胎児の急速な成長や分娩後の泌乳に向けた乳腺の発達等により栄養要求量が増加します。また分娩という大きなストレス負荷に伴い、血中コルチゾール濃度の上昇、貪食細胞機能や T リンパ球機能といった免疫機能が一時的に低下するといわれています。
負のエネルギーバランスの時期には糖質の不足によって免疫細胞はエネルギー不足となり、蛋白質の不足は免疫細胞の分化・増殖に必要な原材料の不足をきたすともいわれています。
そのため、周産期に免疫機能を正常に保ち、周産期疾病を未然に防ぐためには、個々の乳牛の泌乳能力や生理機能を勘案したきめ細かな飼養管理が必須となります。周産期における免疫機能の詳細なメカニズムは未だ解明されていませんので、今後、抜本的な取り組みが必要と思われます。
4)乳房炎
生産病として最も重要な病気は乳房炎です。乳房炎は、乳房(乳腺)に細菌が感染することにより発症します。乳房炎になると、乳中に細菌や白血球が出てくるためと治療に使った抗生物質が乳に混入するため飲用に適さず、このような乳は廃棄されます。細菌感染は乳の出口である乳頭口からの細菌の侵入によって起きますので、この病気の予防は、搾乳前後に乳頭を徹底的に清潔にすることが必要です。また、乾乳期に抗生物質を乳房に注入することや、最近では、ワクチン接種による予防も試みられています。

以下次号に続く
日産 合 成工 業 株式 会社 学術 ・開 発 部


veg

2013年 酪農(日本)

  • Day:2014.01.16 13:57
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この動画と写真は、日本の酪農場のものです。
乳を搾るために、飼育されている牛たちです。
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乳牛
人間と同じで、牛の乳も子供を産まなければ出ません。牛の繁殖はほぼ100%人工授精でおこなわれています。よりたくさんの乳を搾り取るために、出産後1~2カ月で次の人工授精が行われます。雌の牛たちは、人工授精→妊娠・出産→搾乳→人工授精→妊娠・出産・・と繰り返され、分娩前の50日間の乾乳期をのぞいて、ずっと乳を搾り取られていることになります。
牛乳と聞いて、広々とした草原で草を食む牛の姿を想像する方もいるかもしれませんが、実際には日本の酪農で放牧はほとんど行われておらず、繋ぎ飼いが日本の乳牛の主な飼育方法です。牛の寿命は本来20年ほどですが、牛乳のために飼育される牛たちは、乳量が少なくなり生産性がおちる5,6年目に出荷、と殺されます。乳を搾られ続けたあとのその肉は硬く、安値で取引され、加工食品の原料や、肥料や革製品などにも利用されています。


つなぎ飼い
日本の酪農で、放牧主体の乳牛飼育を行っている農家はほんの数パーセントです。ほとんどの乳牛は牛舎内での放し飼い、牛舎内での繋ぎ飼いで、ご飯を食べるのも糞をするのも寝るのも同じ場所で、一生の多くの時間を過ごします。日本における、乳牛の「つなぎ飼い」の割合は73.9%(*)。残りは牛舎内での放し飼いが、主な飼育方法となっています(*2008年畜産技術協会調査)
牛は自分の舌が届かない部分をほかの牛に舐めてもらいます。舐めてもらいたい部分を相手の牛の口元に持っていき打診すると、相手の牛は一分間くらいその部分を舐めてやります。もっと舐めてほしいときは再び相手に打診し、5分から10分も舐めてもらうこともあるそうです。そうやって舐めてもらっている間、牛は目を半開きにして気持ちよさそうにウトウトし、心拍数も低下しているそうです。しかし繋がれたままの牛には相手の牛に打診することも、舐めてやることもできません。糞が定位置で落ちるよう、繋ぎひもは短く、方向転換すらできません。


乳牛の出産
テレビなどで牛の出産を、人間が手伝っているシーンがありますが、本来自然界では、牛は自力で子供を産むことができます。人間が牛の赤ちゃんを胎内から引っぱり出してあげなければならないのは、牛舎で、畳一帖分のスペースで繋ぎ飼育される母牛に自力で出産する力がないからです。


乳量の増加
乳牛の品種「改良」の結果、年々一頭あたりの乳量は増加しています。本来子牛のために必要な乳量は、年間数百キロ程度。しかしその「改良」の結果、牛の乳量は年間平均8000kgにまで増えています。中には20000kg以上出すスーパーカウなどもいます。苛酷な「改良」は牛に大きな負担を与えています。高泌乳量の牛は病気になりやすいと言われており、第四胃変位(胃の病気)や、自分自身に必要なカルシウムまで、乳と一緒に排出されてしまうことが、起立不能にもつながっていると考えられます。起立不能牛(へたれ牛)はカルシウム治療などをして治らなければ、と殺されます。
おそらく乾乳牛 (26)
写真:起立不能牛(日本2013年撮影)


断角・除角
牛の性質をおとなしくさせる、飼育者が怪我をするのを防ぐといった目的で行われます。角の切断(断角)もしくは、角を根元から焼切る除角が行われます。
角の表面は爪と同じで硬くて痛みを感じませんが、角の中には神経と血管が通っており、角の切断の際には、血が噴き飛ぶこともあり、断角・除角は牛に大きな痛みを与えます。
角の断角・除角は、乳牛の90%以上(*)に行われています。(*2008年畜産技術協会調査)
断角・除角について
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-174.html

子牛と母牛の引き離し
子牛には母牛の乳を吸いたいという激しい欲求があります。しかし牛乳を早く生産ラインにのせるために、子牛は産まれてすぐに母牛から引き離されます。母牛から引き離された子牛は一頭一頭が個別の檻の中で飼育されるか、つなぎ飼いされるのが一般的です。
本来子牛は1時間に6000回、母牛の乳を吸いたがる生き物です。その多くはたんなるおしゃぶりに過ぎませんが、子牛の精神の安定に欠かせないものと言われています。その乳を吸いたいという強い欲求をかなえられず母牛から引き離された子牛は、仲間のオス牛の睾丸や柵の出っ張り部分など、乳首に似たものに飛びつくという異常行動をおこします。
雌牛もまた、子牛への強い愛情を持っています。
「母牛は子の体をなめると親子の情がうまれ、哺乳するとさらに強まり、半日でも同居した親子を引き離すと、互いを求めて鳴き、特に母牛は2~3日、子を求めて激しく咆える」(「家畜行動学」より)
「イギリスの動物保護団体RSPCAの畜産動物部、主任研究員のジョン・アヴィジニウスは、我が子を取り上げられた母牛が、少なくとも6週間にわたって嘆き悲しむ姿を見たという。子牛が連れ去られると、母牛はすっかりうちのめされた様子で畜舎の外に向かい、我が子を最後に見た場所で何時間も子供を呼び続けた。力ずくで動かさない限り、彼女はその場を離れようとしなかった。6週間が過ぎても、母牛は我が子と別れた場所を見つめ、ときには畜舎の外でしばらく待っていた」
(「豚は月夜に歌う」より)

写真:母親から隔離されて飼育される子牛(2012年日本)
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わたしたちがこれほど牛に犠牲を強いて作られた牛乳は、ミネラルウォーターと変わらない値段でスーパーで販売されています。

牛の生態についてなど以下参照
「黒い牛乳」(中洞 正) 
「アニマルウェルフェア」(佐藤 衆介)
ほか





わたしたちにできること
スーパーで販売されている牛乳のほとんどが、牛に多大な犠牲を強いて作られています。日本における乳牛の農家一戸あたり平均飼養頭数は72頭(2012年)。EUの33頭と比較すると倍以上と高く、年々1戸あたりの飼育頭数は増えており、生産効率を重視した大規模化が進んでいます。
私たちには牛乳を飲まないという選択ができます。飲む量を減らすという選択をすることもできます。また、動物福祉に配慮された牛乳を買うという選択もできます。
1ヘクタール当たり1、2頭という飼育密度で、牛が自分で土地から草をとって食べて、その糞が土地に還元されるという自然循環型、自然交配・自然分娩、数カ月は母と子を一緒に生活させて、角の切断もしていないという酪農家もいます。そういう牛乳を購入することもできます。
私たち一人ひとり選択で、牛の苦しみを減らすことができます。






方向転換さえできないことは、牛にとっては苦悩でしかありませんが、管理者にとっては糞尿は定位置で落ちるため、世話がしやすくなります。
天井にとりつけられた自動給餌機が動き、つながれた牛の前に餌が落とされていきます。
物のように配置され、狭い牛舎のなかで牛たちは過ごしています。



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そのほかの、日本の乳牛の写真は
http://www.flickr.com/photos/animalrightscenter/sets/




メモ kitrak

2013年撮影 肉牛飼育場(日本)

  • Day:2013.11.14 11:30
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この動画と写真は、日本の肉牛飼育場のものです。
肉にするために飼育されている牛たちです。



肉牛
牛の寿命は20年ほどと言われていますが、肉用に飼育される牛は2年から2年半ほどで出荷、と殺されます。
霜降り肉がもてはやされる日本では、肉牛の多くは牛舎内で一生のほとんどの時間を過ごしており、特に肥育後期にはより太るよう濃厚飼料が多給され、生後1年以上の肥育牛の約90%(*)は、放牧場や運動場に放されることなく、出荷されるまでの期間を牛舎内で過ごします。(*2009年畜産技術協会調査)

牛舎内の飼育では、牛は与えられた餌を食べます。しかし、牛が好きなのは、自分で草を刈り取り食べることです。
自分で餌を舌で刈り取って食べなければならない(放牧)のと、餌を用意してくれてそれを食べるだけでよいの(放飼)と、好きなほうを牛に選択させたところ、手間はかかるけれど自分の舌でかりとって食べるほうを牛は選択したそうです。
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(2012年7月 東北大学 佐藤教授の講演資料より)
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/20248028/2010/3/ja.ja.html

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鎖の長さは60センチ足らずでしょうか。目の前の餌桶の餌を食べ、座るしかできません。かゆいところがあっても掻くことができず、、後ろを振り返りたくとも振り返ることが出来ません。


去勢
肉牛のオスは、性質をおとなしくさせ牛同士の闘争を防ぐため、やわらかい肉質にさせるためなどの理由で、生後3、4ヶ月で去勢されます。
去勢の方法(以下、元畜産農家に教えてもらいました)
去勢のしかたは2種類あってバルサックという長さ50㎝くらいの大きなペンチのような道具で精管の筋を挟んで遮断する方法(施術料1頭につき3,000円)と、麻酔(牛の場合は筋弛緩剤)で寝かせ、睾丸(こうがん)を摘出する手術(施術料1頭につき4,000円)とあります。麻酔で寝かせる方法は痛がりませんが、皮膚を切って睾丸を摘出する為出血し、時間も30分くらいかかります。
バルサックで挟むやり方は麻酔なしでする為痛がりますが、切らずにすむ為出血もなく3~4分で済みます。

「麻酔で寝かせる方法は痛がりませんが」についてですが、筋弛緩剤は筋肉は動かなくなりますが意識ははっきりしており、痛みを感じます。、動物の殺処分の方法として、筋弛緩剤のみを使用することは、動物に強い苦痛を与えるとされることから、勧められていません。筋弛緩剤と麻酔の併用で、去勢をするのでなければ牛は苦しむと思います。犬の去勢は筋弛緩剤と麻酔が併用されます。ほんとうに筋弛緩剤のみなのか、確認中。

追記(以下、獣医師に教えてもらいました)
現在牛の去勢にバルザックは用いることはほとんどないと思います。
牛にストレスがかかり、一時的に成長が止まるし作業が大変です。
睾丸は、2か月ほどしなければ腹腔から降りてきません。従って、それ以降の去勢になります。
皮膚を切開して、精索と血管を何度か捻りながら、引いてちぎります。
出血もほとんどなく手際よく出来ますし、ほとんどが肉牛農家が行っています。従って、麻酔は全くやることがありません。大きな農家では、一日に50頭くらいやっています。
ただし、いろんな理由で半年以上になれば麻酔をします。麻酔は筋弛緩薬です。筋弛緩薬はキシラジンです。キシラジンには、種によって感受性が異なります。10キロ程度の犬とほぼ同量を、700キロの牛に投与します。牛はほとんど意識がなくなり流涎をします。
疼痛は全く感じなくはありませんが、相当意識は弱くなります。私たちも作業が容易になります。

キシラジンは鎮静効果は高いといわれています。しかし鎮痛効果についてはどうなのか、確認中。

追記(キシラジンの含まれた注射液を販売するバイエルに確認)
キシラジンとして0.2㎎/kg(製剤として1mL/100kg)以上を牛へ投与すると、無痛覚状態となるというデータがある。

スイスでは、牛が何歳であっても痛みを抑える処置をしなければならないと決められています。

除角(ジョカク)・断角
角が切断されます。角を切断すると血が噴き出ることもあります。
角の切断は肉牛の約50%に実施されており、そのうち80%以上(*)は麻酔なしで行われています。またそのうち、88.4%は生後3か月齢以上での角の切断が行われています。(*2009年畜産技術協会調査)
除角・断角の方法(以下、元畜産農家に教えてもらいました)
除角は必ずしないといけないわけではありませんが、除角をしないと強い牛が弱い牛をいじめたり、出産後、子牛を守ろうと本能が働き、飼い主をおそい、人が死亡したり、大ケガをする事も多々あります。日本国内でみれば毎年死者が出ているのではないかと推測します。
除角をすると、牛の性格はおとなしくなる傾向にあります。
牛の角は鹿と異なり神経も血液もかよっていて角を切るさいはかなり痛がります。
除角したあと1~2ヶ月くらい出血や膿(うみ)みたいなじゅくじゅくした汁が出て、その部分にハエ等の害虫が群がる為、害虫が出ない1月か2月の寒い時期に行います。農家によっては暑い時期でも関係なく行う所もあると噂も聞いた事があります。
また子牛の場合は、角がはえ始めた生後1ヶ月くらいの時に直径2㎝程の細い鉄パイプを熱して、出てきた角のまわりを焼く事により、角への栄養がいかなくなるのか、その後全く角がはえてこなくなります。子牛の段階で除角をする方が、親になって大きくなった角を切るよりはるかに牛への負担も少ないのではないかと思いますが、子牛の段階で除角しても、その後 自家保留(母牛として飼う事)せず、子牛市場へ出す事になった場合、セリ値(牛の値段)が安くなるという心配もあります。
※「アニマルウェルフェアの考え方に対応した肉用牛の飼養管理指針」では除角について
『除角によるストレスが少ないと言われている焼きごてでの実施が可能な生後2ヶ月以内に実施することが推奨される。また、子牛市場からの導入後に除角を行う場合は、可能な限り苦痛を生じさせない方法により行うこととする。』とあります。

除角・断角について
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-174.html

追記(以下、獣医師に教えてもらいました)
徐角は、出来れば1か月以内に円形の電熱コテでやることを農家に薦めています。
短時間にできて子牛にも苦痛が少ないと思います。きれいにできます。
最近は、強アルカリの薬剤などを塗る方法があります。苦痛は少ないのですが、失敗することも少なくありません。
大きくなると、断角といいますが、麻酔も固定も術後の処置もしなければなりません。
いずれの場合も麻酔はほとんどすることがありません。農家がやるからです。
肉牛、といっても和牛ですが品評会などに出すことがあります。和牛は角がないと絵になりません。
角の形がいいとカッコ良く見えます。なければ話になりません。
品評会に出す場合は、2か月ほど前からひもやゴムで引っ張って形を整えるのです。前後ろ向いたり開いている角も、2か月あれば直すこともできます。
繁殖に用いたりする場合は、角がないと、買う人がいないないと思います。


鼻グリ(ハナグリ→鼻についている輪っか)・耳標(個体識別番号とバーコードが書いている耳に付ける黄色いフダ)
(以下、元畜産農家より)
鼻グリも生後3ヶ月くらいで専用の道具でつけますが、やはり痛がります。黒毛和牛は乳牛より気性が荒い為、鼻グリを付けて、鼻グリを持たないと、人は牛に力ではかなわないので、牛が暴れ、大変な事になります。
耳標は2003年の牛のトレサビリティ法(追跡調査ができるようにする為)の法律ができた為に必ず両耳につけなければなりません。生後2ヶ月くらいで子牛検査(登録)のさい、農協の方が来てつけますが、もちろんこの時も痛がります。


霜降り肉と失明する牛
筋肉繊維の中へ脂肪を交雑させるために、脂肪細胞の増殖を抑える働きのあるビタミンAの給与制限が行われます。ビタミンA欠乏が慢性的に続くと、光の情報を視神経に伝えるロドプシンという物質が機能しなくなり、重度になると、瞳孔が開いていき、失明に至ってしまいます。

信濃毎日新聞 2011 年6 月11 日(土)
ALIVEの野上さんの資料より抜粋)
その牛は、額の先で手を振っても反応がなかった。
黒目は焦点が定まっていない。ほかの牛と体をぶつけることも多い。
「盲目の牛です」。ステーキなどの高級食材になる和牛を飼う県中部の50 代の男性農家が打ち明けた。
「おいしい肉にしようとすれば、こうした牛が出てしまう」と男性。飼育中の約130 頭のうち、1 頭が完全に目が見えず、10 頭弱は視力低下が進んでいる。こうした牛も人体への影響はまったくないとされ、普通に出荷される。
盲目になるのは、肉に「サシ」と呼ばれる白い脂肪分を入れようとして、牛の栄養が偏ってしまうことが原因だ。
和牛の価格は、サシの入り具合で決まる。多くの農家の目標は、高値で取引される細かなサシが入った「霜降り」の牛を育てることだ。そのため、農家は生後約1年半から数カ月間、ビタミンを多く含む牧草(*)などの餌を抑え、穀物が中心の飼料で太らせる。これがサシを入れるために欠かせない技術とされる。「霜降り」という日本の食文化を支える生産者の知恵だ。
しかし、ビタミンは、視力維持に必要な成分。欠乏がひどくなると盲目になりやすい。足の関節が腫れて歩行に障害が出る場合もある。農家は症状が出ないぎりぎりのラインを模索しながら給餌する。しかし、一部がこうした牛になる危険性は残る。
微妙なバランスの上に和牛生産は成り立っている―。そう表現する農家は多い。
和牛を百数十頭飼育する県北部の40 代の男性農家は「消費者が生産現場の現状を知れば、肉を買ってくれるか分からない」と不安を打ち明ける。この30 年間、和牛を出荷する時、牛の背中に"お神酒"を掛けて送り出してきた。自分が生計を立てられることへの「感謝」。そして、高く売るために不健康な姿にさせる「申し訳なさ」。そうした複雑な感情を、牛を出荷するたびに確かめる。この男性は、食肉処理など多くの中間業者が流通に加わる畜産は「農業の中でも生産者と消費者の距離が遠いと感じてきた」という。
それは、同じ畜産業の酪農でも同じだ。上伊那郡南箕輪村の酪農家、小坂忠弘さん(55)は、畜舎見学に来た小学生が、乳牛から乳を搾る現場を見て以来、牛乳を飲めなくなった、という話を数年前に酪農仲間から聞いて、頭から離れなくなった。思い当たることがあった。国内では、広い牧草地を確保しづらく、多くの時間は乳牛を畜舎内で飼育するのが一般的だ。しかし、小坂さんは「多くの人が広い牧草地だけで乳牛を飼っていると思っているかもしれない」。畜舎も小学生の予想以上に汚れていたのかも・・・。さまざまな考えが頭を巡った。小坂さんは、畜舎の清掃を小まめにして、「恥ずかしくない飼い方」を心掛けている。
消費者が思い描く畜産のイメージと現実のギャップ。そこに農家はおびえている。
信大農学部の准教授竹田謙一さん(家畜管理学)が2年前に一般消費者300 人余を対象に行ったアンケートでは、「飼い方に配慮された畜産物は値段が高くても買いたい」と答えた人が9 割近くを占めた。竹田さんは「消費者のニーズは農産物そのものにあるだけでなく、その出来上がる過程にもある。消費者のイメージに畜産現場を近づける必要がある」と話す。
畜舎の環境などは生産者が少しずつ改善することは可能だ。しかし、和牛を飼育する農家の多くは「牛が盲目になってしまうのは、『消費者が求める最高級の霜降り』を目指すためには仕方がないこと」とも言う。消費者が望むのは、味なのか、価格なのか、生産過程なのか―。すべてを満たすことができない場合は、何を優先すればいいのか。生産者には、消費者の姿が、はっきり見えていない。

(*4つ胃のある反芻動物である牛の食べ物は「草」です。本来牧草(グラスフェッド)を与えられなければならない牛に、よく太るように濃厚飼料(グレインフェッド)があたえられています。)






わたしたちにできること
人として、優先して考えなければならないのは、私たちと牛はどういう関係にあるべきか、ということです。私たちはいったい命あるものを商品として売買してもよいのでしょうか?
どんなに飼い方に配慮しても、本来の寿命よりはるかに短い2年程度でと殺されます。トラックにぎゅうぎゅうに詰め込まれて、と殺場へ連れていかれ、自分が殺される番を待ちます。出荷時には過剰なストレスで、牛の筋肉中のグリコーゲンが減少することも知られています。

牛はとても繊細な生き物です。熊本震災の際も、ある肥育農家では、地震後もストレスで牛たちの餌の摂取量が減ってしまったそうです。(2016.5.31 農業共済新聞)

近畿農政局は、「牛と仲良くなる方法」を次のように書いています。

『牛は苦痛や恐怖に対してとても鋭敏で、見慣れないものや急な動きに対して警戒する非常に繊細な感情を持っています。家畜とは言え、捕食者から身を守るためにいち早く危険を察知して逃げるという野生の本能が根付いています。そういう牛特有の気持ちを理解して、努めて穏やかにゆっくりとした動作を心がけて接すると、性格が温順になり、扱いやすい牛になります
①放牧地に近づくときには名前を呼んだり、おーい、おーいと声をかけながら近づく。
②餌やりなど日常の管理作業の際に穏やかに話しかけながら行う。
③ときにはブラッシングをするなどスキンシップを行う。
④絶対に大きな声で怒鳴ったり叩いたりしない。
⑤牛の前ではゆっくりとした動作を心がけ、走ったり急な動作を避ける。

こんなに憶病で繊細な生き物を苦しめたり殺したりしなくても、私たちはもっと、牛とよりよい穏やかな関係を築けるはずです。


2013年 肉牛飼育場
つなぎ飼育
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肥育牛 (14)_R
肥育牛 (11)_R
肥育牛 (8)_R
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肥育牛 (21)_R

牛舎内での放し飼い
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肥育牛2 (3)_R

そのほかの日本の畜産場の写真
http://www.flickr.com/photos/animalrightscenter/




メモ kitara

放牧状況推移

  • Day:2013.10.28 14:33
  • Cat:
無題

乳牛の放牧状況が2013年度は29.9%となっていますが、この数字は牛がのびのび生きていることを示すものではありません。主な飼育方法がつなぎ飼いであっても、一年でたった一日放牧するだけで、「放牧している」にカウントされるからです。

2008年の畜産技術協会の調査では、乳牛の主な飼育方法は牛舎内でのつなぎ飼い(73.9%)、それ以外も牛舎内での放し飼い、となっています。
放牧主体で飼育されたものは、数パーセントあるかないか。
http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/h20/cow/no2/cm5.pdf

2009年度の畜産技術協会の調査では、肉牛(12ヶ月以上の肥育牛)の主な飼育方法は牛舎内での群飼い(77.9%)です。それ以外は、単飼い、つなぎ飼です。
http://jlta.lin.gr.jp/report/animalwelfare/h21/beef/no2/b_m5.pdf

乳牛の一生について http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-61.html
肉牛の一生について
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-62.html


日本では、官民一体となって、耕作放棄地などを利用した、牛の放牧への取組みが行われています。
放牧への補助金も確保されています。
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/l_zigyo/index.html
しかし放牧への補助は牛のみで、豚や鶏についてはありません。
鶏や豚たちは、ほとんどケージや豚舎の中で、生きています。

動物の幸せは放生にあります。





メモ kitarak
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