麻酔なしでの去勢

  • Day:2015.11.29 21:51
  • Cat:
日本のオス豚の94.6%が、*麻酔なしで去勢がおこなわれています。
去勢をするのは、肉の『雄臭』を防ぐためです。

雄の子豚は、生後1週間以内に、農家の人の手により外科的去勢(物理的に睾丸を除去)されます。
外科的去勢のやり方は、鋭利なカミソリでふぐり(陰嚢)を切開、睾丸を取り出し、一気に引き抜き、切り取る、というものです。
無麻酔で去勢されることで、心的外傷性疾患により死亡する子豚もいます。処置後に腹膜炎を起こして死亡したり、ストレスから発育や免疫力が落ちる傾向があることも知られています。
体の一部の切断は、切除時も、切除後も痛みが続きます。

『去勢直後の子豚は動きも少なく,ふるえたり足がぐらついたり滑ったり尾を激しく動かしたり,嘔吐する豚も見られたが,初めは皆横に寝そべったりはしないで,臀部の痛みが収まり始めてから横たわる。2~3日間これらの行動の変化のいくつかが引き続き見られることにより,痛みの持続期間を指し示した。』
http://jp-spf-swine.org/All_about_SWINE/AAS/21/21_28-48.pdf



この動画には、去勢だけでなく、断尾・断歯の映像もあります。
歯の切断は、日本の農家の63.6%*で行われており、一般的に生後7日以内に、無麻酔で、歯の根元から切断されます。尾の切断も産まれて7日以内に、81.5%*の農家で実施されています。すべて無麻酔です。尾には末梢神経が通っており、痛みを感じます。
肉用豚の一生について

オスの臭いを消すには、こういった外科的去勢ではなく、免疫学的去勢製剤「インプロバック」(ワクチン)により去勢と同等の効果をあげるという方法もあります。この方法では、子豚が心的外傷で死ぬことも腹膜炎で死ぬこともありません。
睾丸の除去による免疫力の低下も防ぐことができます。
食肉の残留検査で、ワクチンが検出されることもありません。
またワクチンの摂取オス豚は、外科的去勢オス豚に比べると自然なパターンで発育することができるため、飼料効率がよく、糞量も少なく、環境にやさしいそうです。

また本当に"雄臭"が問題になるのか?という問題もあります。オスが性成熟に達するのは7ヶ月ごろ、一般的に豚が出荷されるのが6ヶ月ごろであることを考えると、問題ないと考えられます。現に性成熟に達する前に出荷するイギリスとアイルランドは去勢を行っていません。日本でも去勢豚と未去勢豚の「食べ比べ」が行われています。

2015年11月29日に開催された“「アニマルウェルフェア」を考える~豚の去勢について”では来場者45名に対して、どちらが未去勢肉であるか知らせずにA(去勢豚肉)とB(未去勢豚肉)の食べ比べが行われた。結果、もも肉についてはAが未去勢豚肉だと答えた人が16名、Bだと答えた人が24名、分からないと答えた人が5名であった。ロース肉については、Aが未去勢豚肉だと答えた人が10名、Bが26名、分からないと答えた人が9名という結果であった。
いずれの場合も「まずくて食べられない」などという意見はなく「独特の風味があって未去勢豚肉のほうがおいしい」という意見もあった。(参加者のレポートより)


(パーセンテージは2014年農水省資料より)


海外と日本の状況比較

ワクチンは、オーストリアでは、10年以上ににわたって広く一般的に利用されています。
ニュージーランドやヨーロッパ各諸国でも使用が拡大しています。ヨーロッパでおこなわれた市場調査では約70%の人が、「外科的去勢より、ワクチン摂取により生産された豚肉をのぞむ」と答えています。

またベルギーのマクドナルドのように「外科的去勢をしている豚肉は使用しない」方針を打ち出しているところもあります。

ノルウェーとスイスでは麻酔なしでの去勢は禁止されています。
http://www.djurensratt.se/sites/default/files/best-animal-welfare-in-the-world.pdf
2015年1月、ノルウェーでは去勢そのものをワクチンへ切り替えようと、ワーキングチームが結成されました。
http://www.globalmeatnews.com/Industry-Markets/Norway-ministry-working-group-to-examine-vaccine-castration

アイルランドと英国では、豚は100キロよりも低い体重(性成熟に達する前)で屠殺され、豚の去勢は行われていません。
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/91

カナダでは2016年以降、麻酔なしでの去勢は禁止になります。
http://www.thepigsite.com/swinenews/36621/researchers-examine-pig-behaviour-to-assess-pain

スウェーデンでは2016年から、ドイツでは2019年から、オランダは2015年から、麻酔なしでの去勢は禁止される予定です。

EUでは現時点(2015年9月)で豚の麻酔無しでの去勢は禁止されていませんが、その是非については長い間議論が続けられており、2018年からは、自主的に外科的去勢を「原則」終了すること、としています(ブリュッセル宣言)。
今後EUではワクチンと性成熟前の出荷、の両方の方向に進んでいく見込みで、麻酔も鎮静剤も無しの去勢は減少しつつあります。
http://www.globalmeatnews.com/Industry-Markets/EC-to-consider-additional-laws-on-animal-welfare

いっぽう、日本では2010年にこのワクチンが認可されてはいますが普及しておらず、ほとんどの養豚農家で麻酔無しの去勢が行われている状況です。



インプロバック参考資料
千葉県が2012年に発表した
「雄豚における免疫学的去勢製剤(ワクチン)の効果と精巣機能」





2013.9月 日本の大手食肉加工会社へ、オス豚へ無麻酔での外科的去勢にかわり、免疫去勢製剤(ワクチン)の検討をお願いしたいと電話。資料を郵送。
日本では、無麻酔での外科的去勢が行われています。

大手食肉加工会社へ、豚の飼育方法について要望中
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-3.html

※インプロバックを人に誤って注射してしまう場合がある、としてこのワクチンの導入をためらうかたもいますが、誤って打つことは非常にマレです。この注射器は少し当たったくらいでは大丈夫で、力を入れて押さないと薬剤が出ないようになっています。また1回このワクチンを誤って打ったとしても、「去勢と同等の効果」は現れません(2回打たなければ効果がないワクチンです)。万一2回打ったとしても、8週たてば「去勢と同等の効果」が失われるものです。(インプロバックの販売会社へ確認)

※また、インプロバック投与の豚は「玉つき」として格付け評価が下がる、という意見も聞きましたが、日本食肉各付協会に確認(2014.1月)したところ「インプロバックか外科的去勢かで各付けをするということはない。あくまで雄臭で判断する。インプロバックの豚肉であっても「上」の評価が出ている。」とのことでした。




メモ souken
スポンサーサイト

Comment

インプロバックが安全だとするのなら、そちらを使って欲しいです。
  • 2014/08/22 11:15
  • ADG
  • URL
  • Edit
Re: タイトルなし
安全性はオーストラリア、ニュージーランドなどで十年の実績があり大丈夫です。またインプロバックの方が生産性が上がるというデータがあります。
  • 2014/08/29 10:48
  • 動物の解放
  • URL
Comment Form
公開設定

Trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)