肉を食べないとたんぱく質不足になる、という都市伝説

  • Day:2013.09.10 13:00
  • Cat:畜産
都市伝説
「口承される噂話のうち現代発祥のもので、根拠が曖昧・不明であるもの」


以下「ベジタリアンの医学(蒲原聖可 著)」より抜粋

ベジタリアン食で栄養不足にならないのか?
①2003年、アメリカとカナダの栄養士会がベジタリアンについてのガイドラインを作成
「適切に準備されたベジタリアン食は、健康に有益であり、必要な栄養素を満たしており、いくつかの疾患の予防や治療にも利点がある」(37ページ)
②「野菜だけだとたんぱく質不足になりますよね?」というまったくの知識不足に基づく疑問を聞くこともあります。
現在専門家の間では「多種類の植物性食品をバランスよく摂取すれば、植物性たんぱく質は、たんぱく質の所要量および必要なエネルギー量を満たす」というコンセンサスが得られています。しかしいまだに一般書の中には「菜食主義者の食事では必須アミノ酸が足らない」「ベジタリアンはたんぱく質不足になる」という誤った記載が認められます。(106ページ)
③近年、医科学研究者の間において、ベジタリアニズムへの関心が高まってきました。25年以上前に論文の主要なテーマは「ベジタリアンは栄養学的に適切かどうか」と疑問でしたが、現在は「疾病の予防や治療におけるベジタリアン食の利用」というテーマになっています。(185ページ)
④アメリカ政府機関による「アメリカ人のための食生活指針」がベジタリアン食を是認し、専門家グループである「アメリカ栄養士会」がベジタリアンのためのフードガイドピラミッドを発表しています。このようにかつては、ベジタリアン食の安全性に疑問を呈していた専門家団体が、現在はベジタリアン食の疾病予防作用や改善効果を是認するようになったのです。(187ページ)
⑤Q アスリートはベジタリアン食で大丈夫ですか?
A ベジタリアン食はトップクラスの数ポー津選手にも適切に応用できます。適切に準備されたベジタリアン食であれば、タンパク質などの栄養素やエネルギー量が不足することはありません。実際、オリンピック金メダリストのカール・ルイス、テニスプレーヤーのマルチナ・ナブラチロアなどがベジタリアンのスポーツ選手としてよく知られています。(206ページ)

ベジタリアンと病気予防
肥満
オックスフォート・ベジタリアン・スタディという研究では6000人のベジタリアンと5000人の非ベジタリアンを対象に生活習慣病の調査が行われ、その結果、すべての年齢層において、男女ともに、非ベジタリアンのほうがベジタリアンよりも大きなBMI値(肥満度)を示すことが報告されました。(53ページ)

コレステロール
非ベジタリアンは、ベジタリアンよりも優位に高い血中コレステロール値を示しました。(イギリス 3277人を対象に行われた調査)(58ページ)
アメリカの臨床医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に報告された研究では、非ベジタリアンよりも体重の多いベジタリアンを対象に調べたところ、体重の少ない非ベジタリアンよりも低いコレステロール値を示したということです。(59ページ)
高血圧
非ベジタリアンに対して、ベジタリアン食を摂取させたところ、血圧が低下したというデータが、複数の研究によって報告されています。(73ページ)

心臓病
1994年、ロンドン大学より、肉食が虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)のリスクファクターであることを示すデータが発表されました。非ベジタリアンでは、ベジタリアンに比べ、虚血性心疾患の罹患率が2倍にも達することが示された。(64ページ)
心臓病を専門とする医師の学術団体である「アメリカ心臓協会」は、野菜や果物、穀物の比重を高くした食事を勧めています。(187ページ)

糖尿病
ベジタリアン食は、糖尿病の治療食としても利用できます。植物性食品を中心とした食事は2型糖尿病のリスクを減らすことが示されています。ベジタリアンの割合が多いセブンスデー・アドベンチスト教団では一般人口に比べて糖尿病患者が半分以下となっています。(76ページ)

ガン
2004年に発表された厚生労働省の研究班による意識調査によると、日本人はガンになる最大の原因を「ウイルス」次に「タバコ」「ストレス」と考えていることが分かりました。一方これまでの研究では「野菜や果物の摂取不足」「塩分の過剰摂取」といった「偏った食生活」が「タバコ」と並んで主な発ガンの原因であることがわかっています。日本では、ガンの主な原因が不適切な食事であり、食生活を見直してガンを予防しようと言う認識度は高くないようです。(78ページ)
肉類の摂取は、牛肉などの赤身の肉、鶏肉など白身の肉のいずれも大腸がんのリスクになります。疫学研究によって、野菜や果物といった植物性食品を多く摂取すると、ガンなどの生活習慣病になるリスクの低いことが分かってきました。そのメカニズムとして、植物性食品に含まれているファイトケミカル(植物に含まれる抗酸化成分)が大きな役割を果たしていることが示唆されるようになりました。(146ページ)
ガン専門医の学術団体である「アメリカガン協会」は植物に由来する食材を食品として選ぶように推奨しています。(186ページ)

痛風(血液中の尿酸が過剰になり、結晶を結成することで生じる生活習慣病)
動物性たんぱく質の過剰摂取は、高尿酸血症及び痛風の発症の弊害をもたらします。2004年、臨床医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に発表された研究では、12年間に痛風を発症した4万7150人の男性が対象となり、食生活と痛風のリスクが解析されました。その結果、獣肉類や魚介類を多く摂取する人ほど通風になりやすいことが分かりました。

胆石
40~69歳の女性800人を対象にした研究では、非ベジタリアンは、ベジタリアンに比べて胆石症に罹患する率が2倍であることが報告されています。(94ページ)



ベジタリアンの医学」の著者、蒲原氏は医学博士であり、栄養学上ベジタリアン食がどうなのか、専門家の立場から書いています。この本には他にも、痴呆とベジタリアン・非ベジタリアンの関係、子供がベジタリアンで大丈夫なのか(大丈夫です)、食事療法として数々のベジタリアン食を考案したケロッグ(朝食コーンフレークのケロッグ)のこと、完全菜食者(ヴィーガン)になる場合にひとつだけ気をつけなければならないこと、などさまざまな角度からベジタリアン食について書かれてあります。

「ベジタリアンの医学」には書かれていませんが、以下のような研究結果も報告されています。

肉食べると若死にするリスク高まる
2012年報告。米ハーバード大学で男性3万7698人、女性8万3644人を、それぞれ22年と28年間にわたって追跡調査したデータを分析。トランプ1箱ほどの量の赤肉(牛や豚肉など)をほぼ毎日食べていた人は、あまり肉を食べていなかった人よりも平均で13%死亡リスクが高かった。さらにソーセージやベーコンなど、加工された肉を食べていた人の死亡リスクは20%に跳ね上がった。


肉食多いと結腸がんリスク高まることが明らかに
肉食と大腸ガン発症率とに相関があるというのは、すでに世界で認められている事実ですが、結腸がんについても2011年、日本で同様の研究結果が出ています。
国立がん研究センター(日本)による45~74歳の約8万人を追跡した調査の結果、牛肉・豚肉、鶏肉などを毎日100グラム以上食べる男性は、それ未満の男性に比べて大腸がんの一つの結腸がんの発症リスクが44%増える。女性では牛肉・豚肉を同80グラム以上食べる人で結腸がんリスクが48%高まった。


「プラントベース(植物性食品中心)でホールフード(未精製・未加工)の食事をすべきである」
(コリン・キャンベル教授)
40年以上第一線で活躍した栄養学の世界的権威、コリン・キャンベル氏(コーネル大学の栄養生化学部名誉教授)は、6500人に対して20年以上行った疫学調査(チャイナ・プロジェクト)の結果、「摂取する動物性食品の割合が少なければ少ないほど、健康効果が高い」と発表しています。
彼は「プラントベース(植物性食品中心)でホールフード(未精製・未加工)の食事をすべきであり精製食品をとったり、塩や脂肪を加えるときは最低限の量にすべき」だといい「すべての動物性食品を避けるよう努めること」とアドバイスしています。
彼自身は研究結果を受け、妻と子どもも含めて完全菜食者になっています。


ベジタリアンは長生きで、病気のリスクが低い
ベジタリアンの食事は、米国保健省と農務省が95年に発表した栄養ガイドラインに沿っていると是認されました。
さらに、数百の論文によると、ベジタリアンの寿命は肉食者に比べ3~7年長く、各死因すべてで死亡率が低いのです。
4万7000人のベジタリアンを追跡した米国の研究でも、ベジタリアンはそうでない人より男性で7.3年、女性で4.4年長生きしました。(図)
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イギリスのベジタリアン4000人を7年追跡した調査の結果でも、総死亡率は肉食者の半分でした。
日本のベジタリアングループでも、倉恒元九州大学医学部教授が長年追跡した調査があります。結果は平均的な日本人に比べて総死亡率は25%減、がんリスクは半分、脳卒中のリスクも4割でしした。
(2014.7月「食べもの通信」より)


世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関(本部フランス・リヨン)は26日、ハムやソーセージなどの加工肉を食べると、がん発症リスクが高まるという「十分な証拠」があると発表した。
 加工肉を毎日50グラム食べた場合、直腸や結腸のがんになる可能性が18%増すという。個人にとってのリスクは「小さい」ものの、摂取量が増えれば高まると指摘した。また、牛や豚など赤身の肉にもがんを誘発する恐れがあると言及した。
 国際がん研究機関は、赤身の肉は栄養価が高いとした上で、リスクとのバランスを踏まえながら当局が「食事に関する最良の勧告を行う」必要性を訴えた。同機関は800以上の研究結果を分析し、見解をまとめた。
(時事通信 2015.10月26日(月)23時19分配信)


肉・パン中心の欧米型食事、乳がんリスクが1.32倍に 国立がんセンターなどが注意喚起
 肉類やパン、コーヒーなど食生活が欧米型に偏り過ぎている女性は、そうでない女性と比べて乳がんのリスクが1.32倍になることが、国立がん研究センターや東京大などの調査で分かった。乳がんは欧米の女性に多く、日本での患者の増加は食の欧米化と関係するのではないかとみられていた。研究グループは「健康的な食生活を心がけてほしい」としている。
 研究グループは、1995~98年の間に食生活のアンケート調査に回答した45~74歳だった女性4万9552人を2012年末まで追跡。期間中に718人が乳がんと診断された。(2016/6/20 0:32日本経済新聞 電子版)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO03802420Z10C16A6CR8000/



メモ kitarak
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