豚の利用

  • Day:2014.10.07 13:01
  • Cat:
image033_20130109112304.jpg

肉用に飼育される豚
肥育豚の一生

豚の寿命は15年程度と言われていますが、肉用に飼育される豚たちは生後半年程度で、出荷、と殺されます。日本では、放牧養豚はほとんど行われておらず、豚の多くは、と殺されるまでの一生を豚舎のなかで過ごします。
豚舎の中は豚にとっては快適なものとは言えません。豚は探索システムが極端に活発な動物です。自然に近い環境で過ごす豚は、日中の52%を餌を探したり草をはむことに使い、23%を歩き回って周囲を調べることに費やします。鼻であちこち掘り返して調べたりさまざまな草や根、昆虫やミミズを探して食べたり、泥に体をうずめて体を冷やしたり、木に体をこすり付けて汚れを落としたり、仲間とじゃれあったり忙しい一日を過ごします。しかし豚舎の中には転げ回ったり穴掘りをしたりするのに適当な材料は何もありません。体を擦り付ける柱や、鼻で持ち上げるものもありません

歯と尾の切断

狭い豚舎の中でお互いを傷つけあうことを防ぐため、母豚の乳首を傷つけるのを防ぐため、などの理由から 、日本の農家の63.6%以上で歯の切断が行われており、一般的に生後7日以内に、無麻酔で、ニッパーを使って歯の根元から切断されます。尾の切断も同様に、生後7日以内に、無麻酔で、日本の農家の81.5%で実施されています。豚は探索システムが極端に活発な生き物です。しかし過密飼育される豚舎の中には豚の好奇心を満たすようなものは何もありません。そのため探索の転嫁行動として仲間のひらひらした尻尾にかじりついてしまいます。かじりつかれた尻尾から菌が入って脊髄にまで及ぶと、食肉としてダメになってしまいます。
尾の切断はそういった「尾かじり」による肉の損傷を防ぐために、おこなわれています。 尾には末梢神経が通っており、もちろん痛みを感じます。豚はコミュニケーションの疎通に尾を使いますが、それもできなくなります。尾を切断された痛みは、切断時だけではなく、その後長期にわたって豚を苦しめるだろうといわれています。
http://jp-spf-swine.org/All_about_SWINE/AAS/21/21_28-48.pdf
こういう体の一部の切断は豚を苦しめます。ニッパーを使い歯の根元から歯髄を傷つけるような切断を行った場合、歯肉炎の発生率が高くなり増体量が低下することが知られています。
放牧では尾かじりは起こらないことがさまざまな調査で明らかになっています。
European Food Safety Authority's Animal Health and Welfare Panel
(パーセンテージについては2014年畜産技術協会調べ)
フィンランド、スウェーデン、ノルウェーでは豚の尾の切断はすでに禁止されています。
http://www.animalwelfarenorway.com/pig-welfare


去勢

雄臭のない肉を生産するため、ほぼ100%の雄豚に、無麻酔でおこなわれます。
去勢について

胃潰瘍

肥育豚の 4 分の 3 は多かれ少なかれ胃潰瘍を患っています。胃潰瘍は様々な原因で起こります。特に重要なものはストレス(群編成、温度変化など)、そして栄養です。1 頭当たりの飼育面積が小さすぎる密飼いの場合には、豚に大きなストレスがかかり、胃潰瘍のリスクが高まります。(FINISHING PIGS 肥育豚管理の実践ガイド2011年より)よく太る濃厚飼料ばかりで粗飼料が少ないことも原因のひとつです。
Aarhus大学の研究では、細かく砕いたあるいはペレット化した飼料の代わりに粗く砕いた資料を与えることや、それに加えて、ワラを継続的に与えることが、胃潰瘍の有病率を減少させることができるとしています。
Does Hemp Help Prevent Gastric Ulcers in Slaughter Pigs?
http://www.thepigsite.com/swinenews/41851/does-hemp-help-prevent-gastric-ulcers-in-slaughter-pigs/




子供を産むために飼育されている豚たちについてはこちらに掲載しています。
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-3.html





『家畜行動学者はまず、家畜が「幸せそう」にみえる環境とはどのようなもので、そこで家畜はどのような生活をしているのかを調査した。
そして洋の東西と問わず、動物の幸せは自然に放つことにあると考えた。
傾斜のある森林と平坦地のヤブ、沼地、小川などを含む多様性に富んだ原野に、さまざまな年齢のブタを多頭数、放牧し、そこでの生活を事細かに記録した。すると、ブタは血縁をもとに、成雌4~6頭とその子からなるサブグループに分かれた。それぞれが前方視界が開けた巣を傾斜地に作り、そこでキャンプした。そして朝目が覚めると、巣からけもの道を数メートル移動して、道路上のヤブになったところで排糞した。
それから様々な場所を探査しながら植物・種子・草の根・ミミズ・昆虫に加えヘビ、小動物、鳥類などなんでも食べた。実に採食時間は、探査も含めて6~7時間、行動面積は20~30ヘクタール(東京ドームの4~6倍)にも及んだのである。
12~13時間は横になってまどろんだり、睡眠したりの時間であった。残りの数時間は、ぬた場で泥浴びをして、外部寄生虫を落としたり、立ち木に体を擦り付けて皮膚をきれいにしたり、仲間と喧嘩したりじゃれたりして親和関係を醸成した。

大変に忙しい生活であるが、そこでのブタはおとなしく、新規な刺激にもパニックにはならず、前述した常同行動(※)も発現しなかった』
以上
動物たちの「幸せ」とは何か  2005年雑誌『UP』
東北大学教授 佐藤衆介氏著 より文章抜粋
(※常同行動・・同じ行動を繰り返し繰り返しおこなう異常行動)

a (38)
放牧養豚

クローン豚 
1999年~2011年で、609頭(ミニブタ除く)を産ませ、そのうち、正常分娩が427頭 残りは死産・産後直死。
正常分娩のうち、病死 176頭。
クローン技術は母体にも、生まれたクローンにも、大きな負担と痛みを強います。クローンの死産・病死の割合は、普通に出産した場合と比べ、格段に高いことからも、その痛みが推し量れます。イギリスの研究によると、すべてのクローン動物には遺伝子に何らかの以上が見られるとのことです。
「追跡調査によると羊の場合、体の巨大化や心肺機能の欠陥、牛の場合、多くの流産、マウスの場合、胎盤が通常の4倍に肥大、などがひんぱんに見られたほか、発育障害や免疫機能不全もあった」と報じられています。

移植時に臓器が拒絶されにくい豚、免疫機能が欠損している豚などの医療用モデルをつくり、実験に供するために、このようなクローン豚の研究がされています。

参考 http://www.s.affrc.go.jp/docs/clone/index.htm

ノックアウトブタ
遺伝子操作することで免疫機能のひとつが生まれつき働かないようにされたブタ
この免疫不全ブタは生まれて2ヶ月以内に、すべて死にます。
人の病気の治療のためにこのようなブタが産み出されています。
参考 http://www.nias.affrc.go.jp/press/20120611/

iPS細胞
iPS細胞の研究のために、文部科学省は2013年度から10年間で200億~300億円の助成をすることを決めました。
そのiPS細胞の人への実用化の研究のために、生まれつき膵臓のないブタが作られています。この膵臓のないブタの胎児へ、人のiPS細胞を入れて、人の膵臓を作ろうという計画です。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17051_X11C10A2CR8000/
2011年
生まれつき膵臓のないブタの胎児に、正常なブタの細胞を入れて「ブタ」の膵臓を作ることに、東大と明大が成功しました。
膵臓のないブタは生まれてまもなく重度の病気になり死んでしまいます。成功までの過程で、どれだけのブタが犠牲になったかはわかりません。
11_20130522104532.jpg
膵臓ができないよう遺伝子操作された雄の白ブタ(下)に正常な雌の黒ブタ(上)の細胞を入れて誕生した膵臓のある雄ブタ(中央)。
膵臓のないブタは、生後まもなく重度の高血糖症状などによって死亡します。
2013年
生まれつきすい臓のないブタの胎児に「人」の膵臓を作ることは難しい事が判明。
『中内教授らはiPS細胞を膵臓の前段階の細胞に変え、膵臓ができないよう遺伝子操作した胎児に注入する方法を検討したが、注入するタイミングや部位が難しいと判明。iPS細胞そのものを遺伝子操作した胚に注入する方法が有力と考えた。』
生まれつきすい臓のないブタの胚へ人のiPS細胞を注入して、人の膵臓をつくるほうが有効だとされています。しかしそれは人と動物が入り混じったキメラ動物を作る事になっているため、現在法で禁止されています。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130219/index.html

法の目をかいくぐることができたとしても、おそらくブタの体に人間の膵臓を作ることに成功はしないでしょう。万が一成功したとしても、それを人間に移植することには成功しないでしょう。iPS細胞iPS細胞と浮かれていますが、この騒ぎはヒヒの心臓を人間に移植したときの騒ぎとまったく同じものです。病気を減らすためのものではなく、好奇心のための実験に過ぎません。病気を本当に減らしたいのなら、iPSなどの流行を追うのではなく、確実に有効な方法、予防・食習慣・生活スタイルの改善に重点を置いた施策をすることです。動物を苦しめ、命を奪いiPSに何百億もの税金を投与する必要はまったくありません。


植物の遺伝子を組み込んだ『ほうれん草ブタ』も作り出されています。
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-58.html


事件の再現
2001年の名古屋受刑者放水事件では、放水で直腸や肛門に傷をつけることができるのかどうかを調べるために、豚が実験に使われています。豚の直腸は裂開し、肛門の皮ははがれ、腹に7リットルもの水がたまる、という結果が得られたそうです。

豚は愛媛県でロディオにも利用されています。
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-17.html




2011年3月15日 地震と津波をのがれ、生き残った豚20頭が、餌を求めて宮城県の海岸を走り回っているところを、市の職員に捕獲され「衛生上問題がある」として殺処分された(産経ニュースより)

有機畜産物(動物の福祉に配慮された育て方、放牧などが行われた家畜の肉など)として日本農林規格(JAS規格)に格付けされている豚肉はゼロです。

農林水産省 有機畜産物のJAS規格について
http://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html

イギリスではスーパーで、動物の福祉に配慮された食品「フリーダムフード」を購入することができますが、日本では畜産動物たちがどのように育てられているのかさえ知られていません。
このような日本において、畜産動物の飼育状況は過酷なものになっています






わたしたちにできること

最良の選択は肉を食べないという選択です。どんなに良い飼育をしたとしても本来の寿命よりはるかに短い期間で、最終的には恐怖と不安の中でと殺してしまうからです。動物は自分と同じ種の血の臭いをかぐと情動が不安定になると言われています。見知らぬ場所で仲間の血の臭いをかぎ、と殺される順番を待つ間、電棒で追い立てられて豚がどのような思いでいるのかはかりしれません。
しかし、もし食べるのをゼロにするのが難しければ、世界中の都市や学校で取り組みが進んでいる「ミートフリーデー(週に一日肉なしの日)」を試してみることもできます。また、舎飼いではなく放牧で、妊娠ストール(子供を産ませるために飼育される豚を、1頭1頭檻の中に閉じ込めて飼育する方法)を使用していない豚肉を購入することもできます。通販のらでぃっしゅぼーや、ぶぅふぅうぅ農園ではそういった豚肉を扱っています。また鹿児島県のえこふぁーむは放牧で妊娠ストールを使用していないだけではなく切歯・断尾もしていません。北海道の「北海道ホープランド」はストール飼育を行わず、5頭/1000㎡という自由な環境で豚は放牧されています。私たちには、そのような肉を買うという選択をすることができます。
年々一戸当たりの豚の飼育頭数は増えており、生産効率を重視した大規模化が進んでいます。私たち一人ひとりの選択で、豚の苦しみを減らすことができます。




メモ veg
スポンサーサイト

Comment

今の日本のテレビ番組やCM、ヒドイですね。

おそらく国内で一番影響あるであろうテレビで、
肉や魚介を芸能人がうまそうに食べるCM・番組 北海道の牛乳は~とか 
反吐が出ます。

モザイクかけてもいいからと殺の映像とか殺されるのを待つ牛の映像とかをうつせよと思います・・・
それを見て自分のように何かが変わる人もいるでしょう
日本人は動物に対して無関心すぎる





  • 2013/02/15 21:08
  • コルチャン
  • URL
  • Edit
Re: タイトルなし
ええ、食べ物の生産と消費の現場が離れすぎていて、肉や牛乳が命あるものであること、商品とされるためにどれだけの負担を強いられているかということを、多くの人が知らないです。わたしもずっと知らなかった。私は肉は10年くらい食べていませんが、魚はずっと食べていました。自分で釣って、クーラーボックスの中に入れて何時間もかけて持ち帰り、まだ動いているものを「イキがいい」と捌いていました。クーラーボックスの中で緩慢な死を待つ魚の苦痛を考えてもいなかったです。でも今は「魚が痛みを感じる」という科学的知見を待つまでもなく、それが残酷な行為であることを自覚しています。「牛や豚や鶏は食べ物だ」という長い時間かけてつくられてきた差別と偏見をなくすことは難しいですが、でも何かのきっかけで、それがひどい差別で虐待だということに気づく人は少なくないと思います。そのために出来るだけ伝えていきたいと思います。
  • 2013/02/16 10:14
  • 動物の解放 大阪在住
  • URL
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
  • 2013/08/07 10:39
こういう考えの奴ほんと気持ち悪い
植物だって生きてるだろうが
  • 2014/09/20 19:50
  • URL
Re: タイトルなし
植物も生きてますので、わたしたちは植物へも配慮しなければなりません。
森林を好きなだけ伐採して資源を無駄遣いすべきではないです。農薬や化学肥料で土壌を汚染させ、土地をやせさせるべきではありません。
地球は私たち人だけのものではありません。
脳と中枢神経があり、複雑に苦しみ痛みを感じることができる動物へは、痛みを与えないという配慮が必要です。

  • 2014/09/30 21:58
  • 動物の解放
  • URL
理想と現実
酪農家の人も生き死にをかけて農家をやっている。
費用や手間がこれ以上増えると農家自体が継続できなくなってしまう。
家畜と愛玩動物は別物。

ストール撤去や麻酔等の費用、手間をこのような考えの人達が持ってくれるなら農家の人達も検討するだろうけど

「可哀想だから麻酔使え今より広くしろ。費用はお前たちが持て」

と署名を集めたり訴えるだけではなにも変わりませんよ?あちらも自分達の命が係っている「商売」なのですから。
  • 2015/07/24 20:41
  • URL
Re: 理想と現実
はい、責任は農家だけにあるのではなく、わたしたち社会全体にあります。
行政、農家、消費者、企業が一体となった取り組みが必要だと考えています。
行政には動物福祉に関わる補助金制度をお願いしています。
  • 2015/07/29 22:44
  • 動物の解放
  • URL
Comment Form
公開設定

Trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)