動物の改造(ほうれん草豚、ヌードマウス、心筋梗塞ウサギ、すい臓のない豚)

ブタの精巣組織を皮膚の下に移植されたマウス
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写真 皮膚の下にブタの精巣組織を移植されたマウス
(2010年 独立行政法人 農業生産資源研究所・麻布大学による研究)

皮膚の下に子ブタの精巣組織を移植し、皮下でブタの精子を成熟させます、次にこの精子を取り出して受精させ、受精卵をブタの体内に戻したところ、正常なブタが産まれたそうです。この「研究」の目的は『希少動物の保存・利用』だそうです。
『希少種を保存したい』というのは人間の勝手な欲望です。そもそも人間が絶滅の危機に追い込んでいる動物種の保存のために、ねずみの皮膚の下にブタの精巣を移植するようなことが、何の悪びれもなく行なわれています。


ほうれん草ブタ
2002年 近畿大学がほうれん草豚を開発
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写真 豚の受精卵にほうれん草の遺伝子を組み込み、母豚の体内に戻し、出産された豚「オリーブ」

近畿大学 生物理工学部の研究グループ
「食べ過ぎると高脂血症などを招く動物性脂肪を、よりヘルシーに改善できた
「地球規模で人口増加や環境破壊が進み、将来、食糧危機が起こると考えられる。遺伝子組み換え技術等、分子生物学の力を借りた食物の改良は必要」
「将来の実用化も考えていきたい」
「この研究成果は、 全世界の著名な科学研究をカバーし、最先端のレポートを掲載する自然科学系学術雑誌『米国科学アカデミー』にも取り上げられました」

オリーブは既に死に、遺伝子組換肉が消費者に受け入れられるはずもなく、このプロジェクトは終了しています。「分子生物学の力を借りた食物の改良」などともっともらしい言い方をしても、ただ単に、動物に植物の遺伝子を組み込むという興味本位の、研究発表と名声のための実験にすぎません。『よりヘルシー』でありたいなら、動物性食品を控えればよいのであり、そうすることで環境破壊への歯止めともなります。畜産業は地球の表面積の30%を覆い、森林破壊、メタンガス大量排出の原因となっています。


産まれて2ヶ月で死ぬブタ
2012年 産まれて2ヶ月以内に死ぬブタの開発に成功
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写真 産まれて2ヶ月で死ぬブタ

遺伝子組換えとクローン技術を使い、正常な免疫機能の失われた、産まれながらにして免疫不全のブタ
(独)農業生物資源研究所、プライムテック㈱、(独)理化学研究所により開発。
マウスでは、すでにさまざまな免疫不全マウスが作られて大量に利用されていますが、より人間に近いブタを使うことで、「人間の病気治療への研究に適している」とされています。
免疫機能を失ってしまうと、異物を排除することができません。がん細胞や他の動物の細胞を移植されても、拒否することができず、体内で定着します。すでに、大量の免疫不全マウス(※印)を使い、人間の細胞が移植され研究材料として使われています。ヒトにはとてもできないような生体実験も、このマウスになら行なうことができます。今後この免疫不全ブタもそういう利用がされようとしています。


免疫不全マウス
免疫不全マウスにはさまざまな種類がありますが、そのうちのひとつヌードマウス(一番上の、ブタの精巣を皮下に移植されているのもヌードマウス)
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感染実験に使われたヌードマウス 衰弱、削痩、チアノーゼ、背弯姿勢を示しています。

ヌードマウスについてALIVEの野上さんは著書「新・動物実験を考える」の中でこのように言っています。
「ただ実験されるためだけに作り出された体毛のないネズミ、ヌードマウスは、1962年に普通の白ネズミの突然変異種として発見され、1970年代から実験動物として大量繁殖が行なわれるようになりました。先天的に胸腺を欠いているため、免疫機能がなく、すぐに病原菌に感染し、死亡してしまいます。他のネズミのように自然の中で食べ物を探し回ったり好物をかじって暮らすこともできず、繁殖力が弱く、子供を産んでも体毛がないため赤ん坊を暖めてやることもできません。彼らは自然界の中では生きることのできない、あまりにかよわい存在です。この小さな動物は、病原菌に対する抵抗力という本来すべての生物がそなえている免疫機能を欠いているために、人のガン細胞の移植や、発ガン実験など、さまざまな過酷な実験の材料として使われ放題です。このような実験室の中でしか生きることのできない無力な生き物を相手に、人為的に病気を植え付けたり、化学物質を投与して、その結果を見るという行為には、何かしらおぞましさが感じられます」

実験用に産み出されていますが、マウス自身は実験用でもなんでもなく、感受性のある一個の命です。実験動物は「そもそも、実験動物は再現性の高い正確な動物実験の成績を得る事を目的にしている動物」であり「愛玩動物とは全く別次元の動物です」という研究者もいますが、それは動物の感受性を無視した発言です。

ヌードマウスのような免疫不全の動物は、無菌室で一生を過ごすのでない限り、寿命はとても短いです。

近年では、遺伝子組換技術により、特定の遺伝子が破壊されたマウス(ノックアウトマウス)が何千種類と作られています。この技術を用いて多様な免疫不全マウスが作り出されています。



心筋梗塞を自然発症させるウサギ
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写真 産まれたときから心筋梗塞を自然発症させるよう、作り出されたウサギ
神戸大学で開発

このウサギを生産、販売している北山ラベス株式会社によると
『出生時からすでに高コレステロール血症が発症し、幼齢期より大動脈、冠状動脈に粥状硬化が自然発生します。成熟齢には大動脈粥状硬化が必発し、冠状動脈には狭窄病変が多発し、心筋梗塞も発生します。関節や皮膚に黄色腫が多発します。 高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞等の研究に、あるいはそれらの予防薬、治療薬の開発にご利用ください。』
心筋梗塞になると強い胸の痛みで苦悶します


ブタでも心筋梗塞モデルを作成
独立行政法人 国立循環器病研究センター
http://www.nichidokyo.or.jp/labio/color14.pdf
心筋梗塞モデルブタの作成方法は、開胸手術をして血管を閉塞させることでつくられます。
手術の失敗で死んでしまうブタもいます。
ゲッチンッゲンミニブタ 写真提供:国立循環器病研究センター 実験動物管理室長
写真は同センターのもの。
このセンターでは年間50~100頭のミニブタを実験に使用。



膵臓のないブタ
iPS細胞の研究のために、文部科学省は2013年度から10年間で200億~300億円の助成をすることを決めました。
そのiPS細胞の人への実用化の研究のために、生まれつき膵臓のないブタが作られています。この膵臓のないブタの胎児へ、人のiPS細胞を入れて、人の膵臓を作ろうという計画です。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17051_X11C10A2CR8000/
2011年
生まれつき膵臓のないブタの胎児に、正常なブタの細胞を入れて「ブタ」の膵臓を作ることに、東大と明大が成功しました。
膵臓のないブタは生まれてまもなく重度の病気になり死んでしまいます。成功までの過程で、どれだけのブタが犠牲になったかはわかりません。
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膵臓ができないよう遺伝子操作された雄の白ブタ(下)に正常な雌の黒ブタ(上)の細胞を入れて誕生した膵臓のある雄ブタ(中央)。
膵臓のないブタは、生後まもなく重度の高血糖症状などによって死亡します。
2013年
生まれつきすい臓のないブタの胎児に「人」の膵臓を作ることは難しい事が判明。
『中内教授らはiPS細胞を膵臓の前段階の細胞に変え、膵臓ができないよう遺伝子操作した胎児に注入する方法を検討したが、注入するタイミングや部位が難しいと判明。iPS細胞そのものを遺伝子操作した胚に注入する方法が有力と考えた。』
生まれつきすい臓のないブタの胚へ人のiPS細胞を注入して、人の膵臓をつくるほうが有効だとされています。しかしそれは人と動物が入り混じったキメラ動物を作る事になっているため、現在、日本のガイドラインで禁止されています。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20130219/index.html
胎内移植解禁で条件整理へ=動物・ヒトの集合胚-科技会議調査会
2013.6.18
総合科学技術会議の生命倫理専門調査会は18日、ブタなど動物の胚(受精卵)にヒトの細胞を注入した「動物性集合胚」について、動物の胎内に移植して赤ちゃんとして誕生させることを条件付きで解禁する方針をほぼ固めた。
7月下旬以降の次回会合で条件を整理した報告書をまとめ、文部科学省が法律に基づく指針の改定作業を行う予定。

このような非人道的なことが解禁されたとしても、おそらくブタの体に人間の膵臓を作ることに成功はしないでしょう。万が一成功したとしても、それを人間に移植することには成功しないでしょう。iPS細胞iPS細胞と浮かれていますが、この騒ぎはヒヒの心臓を人間に移植したときの騒ぎとまったく同じものです。病気を減らすためのものではなく、好奇心のための実験に過ぎません。病気を本当に減らしたいのなら、iPSなどの流行を追うのではなく、確実に有効な方法、予防・食習慣・生活スタイルの改善に重点を置いた施策をすることです。動物を苦しめ、命を奪いiPSに何百億もの税金を投与する必要はまったくありません。




メモ veg
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Comment

ご無沙汰しております。
ふみふみ隊長様。
何時も情報を教えて頂き有難うございます!
記事すべてに、びっくりする事ばかりで愕然としています。
内臓がない豚、動物実験の為の動物を販売する所がある・・・等など。私達の知らない所で、今この時間に苦しんでいる、恐怖を味わっている動物がいる。そうしないと、人間は生きれないのですかね。
(私は、画像や動画を見る勇気がなくて申し訳ないです。)
「命の授業」の教師は、違う高校に配属。又、そこでするのですかね。
私も再度、電話しています。教頭は会議中とか。
電話口の女性から、まだその授業はしていない。やはり、ニワトリは生きたまま包丁で殺すそうです。意味がわかりません。

  • 2013/05/23 14:11
  • なみ
  • URL
興味のある記事でしたので、取り留めのなく失礼な文ですがコメントします。

親類を不治の病で亡くしたものとしてはiPS細胞の研究に期待しています。
また、iPS細胞の研究は動物実験の削減・廃止につながる可能性を秘めたものだろうと考えられます。
動物の権利についての議論は個々の倫理観、価値観が拠り所でしょう。
人間のエゴについて動物たちに弁解できるとは思いません。
本体なら人間は、過去記事のマハトマ・ガンジーの言葉通り、自らの命を絶つべきでしょうか?
または、廃止を訴えに至る倫理観に対応策を合わせて提示していくことが最善なのでしょうか?
私はあることで動物にまつわる問題に興味を持ち、考えを変遷させながら今に至ります。
動物園や水族館の是非、食のタブーや肉食について。
ファー自体の服飾価値に対する疑問。(フェイクだから良いってものでもないと考えてしまった)
純菜食主義では野生種のある野菜についてどう思っているのか。(品種改良について)
などなど、現状はまだ自分で判断をつけられないことばかりです。

情報それ自体はどこまでも有用だと思います。参考になりました。

minisoku.blog97.fc2.com/blog-entry-1714.html 動物実験施設で働いてるけど質問ある?
togetter.com/li/493443 高校の実験を動物愛護団体が廃止!これは正しいの…?
togetter.com/li/429671 犬猫以外の動物を飼育する人から見た動物愛護法の陥穽
togetter.com/li/279133 ブリーダーは悪ですか。はい。いろんな意味で悪です。
togetter.com/li/458225【コラム】日本の食文化を尊ぶ:私が「イルカの非人間的人格を認めよう」キャンペーンの署名に応じない理由
  • 2013/05/30 19:23
  • URL
Re: タイトルなし
こんにちわ。iPS細胞については、iPS細胞のガン化、分化能力のばらつきなど課題が山のようにあり、その課題の克服のために膨大な動物が世界中で実験に使われています。何百億もの税金が投与されていますが、実用化できないと私は思っています。ガン研究に毎年20億近くの税金が使われながら、ガン患者が減っていないのと同じです。ガン研究のほとんどは対症療法に充てられていますが、WHOはガンの原因の85%は食生活などのライフスタイルにあると言っています。正しい食べ物といえないようなものがどこでも買え、化学物質のあふれているこの環境を変えることこそが、病気の人を減らすことにつながります。
iPS細胞で毛根が再生できた!などという話はこの先もちょくちょく出てきて盛り上がるでしょうが、実用化にはほどとおい、そのようなネタのために動物がたくさん実験されることを思うと、酷いです。
自分の命を絶たなくとも、自分のできる範囲で動物を犠牲にしない生活をすることは、できます。
リンク先ありがとうございます。勉強になります
  • 2013/05/31 11:32
  • 動物の解放
  • URL
Re: ご無沙汰しております。
なみさん!ごめんなさい~教えてくれてありがとうございます!なぜか「迷惑コメント」のほうに入っていました。。なんでだ~fc2のコメントはよくわからない・・自分が返信したコメントも「受け付けられません」になったりします。。なんにせよ、教えていただきありがとうございます。「命の授業」なみさんも連絡してくださっているんですね。なくしてほしいですもんね。命を見守ることで命の大切さを教えるという当たり前の授業を行ってほしいです。
  • 2013/06/04 15:49
  • 動物の解放
  • URL
一体、、
一体命をなんだと思ってるんでしょうか?
怒りと悲しみでいっぱいです。
  • 2013/10/08 18:42
  • mix
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