乳牛の跛行

  • Day:2015.08.19 23:03
  • Cat:
乳牛にもっとも激しい苦痛を与える病気と言われているのが、跛行です。

跛行とは足をひきずって歩くことです。
酪農の大規模化と「品種改良」による乳量増加が進んだことにより、跛行は増大しています。

乳牛の跛行は疾患の問題ではなく、アニマルウェルフェアの問題だと広く認識されています。
イギリスでは乳牛の跛行を重大な虐待と捉え、非難の対象となっています。
虐待と言われてもおかしくないほど、跛行する牛の苦痛は大きいものです。

跛行になった牛は休息、摂食、飲水、繁殖などあらゆる行動に影響を及ぼします。
乳生産量が低下することも明らかになっています。


跛行は、生産性を重視して牛本来の生態に配慮しないことが根本的な原因となっています。

跛行を引き起こす要因

1)床の材質や状態が悪い(コンクリート床、湿った床、敷料がない)
牛は本来草地を歩くものですが一般的に乳牛たちは牛舎の中で飼育されています。
特にコンクリート床は、蹄を痛める原因となります。
乳牛の蹄は素早く水分を吸収する性質があるので、湿った床で飼育すると、水分を吸った蹄は柔らかくなり、より摩耗しやすくなる。また、糞尿で覆われた床は、伝染性の皮膚炎発症率を高めるます。

2)草地に放牧しない
牛は本来、コンクリートではなく牧草地のような柔らかい場所を歩くように進化してきたので、草地に出る機会を与えないと牛の跛行は増加します。
*乳牛で大きな問題になっているラムネス(歩行異常)については柏原(2007)が計590頭の搾乳乳について調査を行った。すなわち、歩行中の乳牛の動作をデジタルカメラで撮影し(中略)昼夜放牧、時間制限放牧および放牧をまったく行っていないフリーストール飼養で観察された各スコアの割合は、どの分類においてもスコア1(正常)がもっとも多かったが、昼夜放牧および時間制限放牧ではその割合は76~83%であったのに対して、放牧をまったく行っていないフリーストールでは50%程度であった。また明らかな歩行異常は、昼夜放牧、時間制限放牧では0~1頭であったのに対して、フリーストールでは3~16頭を占めた。

3)乳牛の品種改良
乳量増加に特化して「品種改良」されてきたホルスタイン種は、ジャージー種よりも跛行が多いといわれています。
高泌乳量の牛ほど、第四胃変位や乳房炎が多いといわれていますが、第四胃変位は蹄葉炎を引き起こし乳牛を跛行させます。

5)過密飼育である
牛の足は硬い蹄という靴をはいた状態になっています。その中には蹄骨が葉状層と真皮層に包まれており、自分の横臥する場所のない狭い牛舎の中で起立時間が長くなると、そこが炎症を起し、充血と陣痛を伴うようになります。牛は一本の足に140kgという自重がかかっており足への負担は大きいものがあります。



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参考資料
■「牛の跛行マニュアル―治療とコントロール」
■「カウコンフォートを考える3ー乳牛の跛行ー
http://home.hiroshima-u.ac.jp/fscfarm/introduction/center-issue04/07.pdf
■畜産技術情報「飼養密度と生産性」
http://livestock.snowseed.co.jp/public/4e73725b/65bd8a2d/98fc990a5bc65ea63068751f75236027
■Whitmoas letter from USA
http://www.lava-net.jp/newsletter/jp/PDF/2009_06_jp_hg.pdf

■2013年3月「畜産コンサルタント」

souk
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