中国における動物保護に関する法令

1. 動物愛護法



2009年に提案された動物愛護法は一部の国民に反発されました。その理由は動物愛護法が動物権利や動物福祉などを認めているが、中国は国民の人権や福祉さえ保障できないため、動物愛護法は行き過ぎる概念だと言われています。

そのため、2010年から、「中国動物愛護法」を推進していた団体は、「反虐待動物法」を推進することになりました。 「反虐待動物法」の草案によると、猫肉や犬肉を違法食べることに対し、5000元か懲役15日の刑にされます。



2. 動物実験の法律


中国では実験動物に関し、下記の法令があります。

《实验动物管理条例》(全国)

《广东省实验动物管理条例》

《黑龙江省实验动物管理条例》

《重庆市实验动物管理办法》

《辽宁省实验动物管理办法》

《甘肃省实验动物管理办法》

《湖北省实验动物管理条例》

《北京市实验动物管理条例》

《云南省实验动物管理条例》

《江苏省实验动物管理条例》

《浙江省实验动物管理条例》

《福建省实验动物管理条例》

《安徽省实验动物管理条例》

《上海市实验动物管理条例》

《山西省实验动物管理条例(试行)》

《天津市实验动物管理条例》

《河北省实验动物管理办法修正案》

《吉林省实验动物管理办法》

《山东省实验动物管理办法》

《广西壮族自治区实验动物许可管理实施细则(试行)》

《四川省实验动物许可证管理实施细则(试行)》

《贵州省实验动物管理实施细则》

《陕西省实验动物管理办法》



国家レベルの「実験動物管理条例」(全国)は1988年に発令されました。

具体的には、実験動物を愛護し、虐待を禁止されることが定められています。それ以外に、餌と飲用水の品質を保障することも要求されています。

省レベルの条例は殆ど2000年から2010年にリリースされました。国家レベルより詳しいです。例えば、広東省の条例は「実験動物の命の価値及び権利福祉を尊重すべき」「実験の目的、公衆の利益、実験動物の命の価値という三方のバランスを慎重にとるべき」など書かれています。また、虐待禁止だけではなく、もっと具体的に「必要ではない傷つけられること、飢餓、不安、病、痛みを避けるべき」だと書かれています。また、「手術する時に、有効な麻酔をかけるべき。殺す場合は、安楽死を行うべき 」。

ただ、そこまで詳しく書いているのは広東省だけです。他の省は非常に基本的かつ手続き的なことしか書いていません。(※1)



詳しく見ていくと、中国には日本よりも実験動物保護のシステムが整っていることがわかります。

(日本は自主規制のみで、動物保護の観点から義務付けられているものもなく、どこに実験施設があるのか国は把握できていません)



動物実験者の免許や資格などの制度

•国家レベルは資格制を徐々に設立することを目指すと示しているが、義務ではない。

•一部の省では、動物実験者の資格証書は要求されている。



動物実験施設・実験動物飼育施設の登録や届出などの制度

施設の衛生的な条件に対する要求はあるが、登録や届出はなし。



動物実験計画の許可や認可などの制度

ほとんどの省では、動物実験を行う組織は許可証を取得する義務があるが、ひとつひとつの動物実験に対する審査をすることはない。一つの組織は許可を貰ったら、数年間実験を行うことができる。一部の省では、実験を行う組織は毎年検査されることはある。



第三者機関による動物実験施設の査察制度

一部の省では、地方の政府機関(科学技術庁など)が査察の役割を担う。



動物実験委員会の設置

条例ではなく、「指導性意見」として『動物実験管理委員会(または実験動物道徳委員会、実験動物倫理委員会など)の設置が必要』とされているが(※2)、「指導的意見」であるので、強制力については曖昧。



動物実験の記録

・国家レベルで義務化されている。具体的には実験動物の質を観測すると書かれている。また、実験動物の病死する場合の原因も記録する義務がある。

•ほとんどの省で義務化されている



罰則制度

•国家レベルでは、行政罰されることがある。例えば、警告、期限内改善を行うことを要求すること、強制閉鎖など。

•省レベルは基本的に記載されていないが、広東省では、許可証がないまま実験すれば、違法所得は没収され、一万から三万元の罰金。(※3)



※1  http://appedia.arc.capn-online.info/pmwiki.php?n=知识库.中国全国及省级的实验动物保护法规

※2  http://www.most.gov.cn/fggw/zfwj/zfwj2006/200609/t20060930_54389.htm

※3 http://www.gdstc.gov.cn/HTML/zwgk/zcfg/bmgfwj/13197071167591710709488314922881.html


 

3.畜産動物の法律


中国畜牧法には、2つ関連条項があります。

第42条: 家畜に適切な繁殖、生存、成長条件と環境を提供すべき。

第53条:家畜を運輸する時、家畜の安全を保障すべき。また、必要なスペースと餌を提供すべき。(※)



※  http://www.gov.cn/flfg/2005-12/29/content_141833.htm



現在中国には、畜産動物の福祉を担保するための法律は殆どありません。

しかしこれから変わっていくことが予測されます。

 

2016年2月10日

中国で初の、畜産と屠殺の動物福祉規約

GlobalMeatNews.comより抜粋)

「中国は、6月までに、動物の扱いと屠殺の基準の草稿を持つことになるだろう。中国の獣医師会によると、豚、家禽、羊、肉牛、乳牛を含む30の家畜について基準を作成中だということだ。ただ、この基準が法的拘束力を持つものになるかどうかはまだ明らかになっていない。」

「国際機関は中国の食肉業界に動物福祉のトレーニングをすることに熱心だ。世界動物保護協会(WSPA)と、Beijing Chaoyang Anhua 動物製品安全研究所(APSRI) は約1000の屠殺場を訪れた国際レベルの4人のトレイナーを雇い、人道的屠殺プログラムを実行している。彼らは世界動物保健機関(OIE)のそれに基づいて、豚の屠殺の基準を導入している。」

「中国は動物福祉への取り組みが遅れている。しかし近年意識が高まっており、毎年3月に始まる議会の前に、動物虐待防止法の草稿ができる予定」

(抜粋以上)

”中国は動物福祉への取り組みが遅れている”と書かれているが、少なくとも日本よりは進んでいると言える。

OIEで採択された屠殺の基準は、日本国内で翻訳すらされておらず全く周知がなされていない。

日本における畜産動物福祉の意識も低い。

中国の動物福祉の国際協力委員会(ICCAW:中国政府に承認されたNGO)のXi Chunling代表は2015年11月のイベントで「中国の業界の専門家、農場主、消費者の一部は、豚の福祉に何が求められるのか、その詳細(妊娠ストールを使わない、歯・尾を切断しない、敷料を与えることなど)を知っている。」と述べたが*1、中国のそのような状況に比較すると日本はとても遅れている。畜産動物の飼育環境は知られておらず、妊娠ストールや体の一部の切断に問題意識を持つ日本人はほとんどいない。




*1 "ICCAW president defends China’s stance on pig welfare"

http://www.globalmeatnews.com/Industry-Markets/ICCAW-president-defends-China-s-stance-on-pig-welfare




調査協力 ARCスタッフ ワン
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