乳牛のベストパフォーマンス会議

  • Day:2014.10.31 23:15
  • Cat:
2014.10.31
「乳用牛ベストパフォーマンス実現会議」の傍聴に行ってきました。

まず、帯広畜産大学の教授が欠席されていました。
帯広畜産大学では以前アニマルウェルフェアロゴを考案されていたので、その話を伺いたいと思っていたので、残念でした。

会議の中で「動物福祉」「アニマルウェルフェア」の言葉はまったく出てきませんでした。
どうやって生産性を上げるか、ということに話は終始しました。

畜産・飼料調査所の方の話では
「乳量が高い牛は子牛の生産性が落ちるというデータがたくさんある」
「年々発情の兆候が弱まっているのも、乳量が高くなってることが原因」
「骨粗しょう症も乳量の高さが原因」
という話があり、また欠席の帯広大学の木田教授の伝言では
「高泌乳牛は分娩後にエベルギー不足になるために急激な濃厚飼料の給餌が必要。しかしそのためルーメンアシドーシス(胃が悪い状態)になる牛もいる」という報告もありました。
しかし、「だから、これ以上の乳量の増加を目指すのはやめよう、本来の牛の自然な姿に戻そう」というのではなく、「だから、病気にならないよう質の良い餌をあげよう」「飼養管理技術を磨こう」と「人工授精の受胎率を高めよう」いう結論でした。

これからも乳量増加を目指して進んでいくでしょう。

放牧酪農の牛の乳量は年間3500kgくらいのところもありますが、日本の平均は8200kg。子牛が必要な乳量は一年間に100kgくらいのものだということを考えると、品種「改良」による乳量増加のために乳牛にどれだけ大きな負担を強いているのかがわかります。

生産性にこだわることをやめ、乳量の増加を牛に課すことをやめ、牛本来の生態に配慮した飼育をおこなえば、多くの問題が解決すると思うのに、根本的問題については問題提起がなされず、当面の対症療法についての話し合いで会議が終了したことがとても残念でした。



乳牛のベストパフォーマンス会議
http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_sinko/141022.html


乳牛の生産病について
http://www.nissangosei.co.jp/nissan/m088.pdf
ニ ッ サ ン 酪農・豆知識
平成 26 年 1 月
第 88 号
1.はじめに
乳牛は育種改良、規模拡大あるいは集約管理等により高度の生産性を追求した結果、個体の乳量は増加しました。しかし、その一方で高乳量のために栄養摂取量と泌乳量とのバランスが崩れ、栄養代謝やホルモン分泌に変調を来たすことで発症する病気が増えてきています。これらは『生産病』と総称されています。
生産病は、生産現場では日常的に頻発し、生産農家の経営を圧迫しています。しかし、口蹄疫、BSE、鶏の高病原性インフルエンザ等のように国家防疫上の緊急性や危険性をはらんだ感染性疾病と異なり、一般消費者にとって比較的馴染みのうすい病気です。

2.乳牛の生産病
生産病は狭義には、「濃厚飼料多給による代謝障害」ですが、広義には、代謝障害に加えて、繁殖障害、泌乳障害、運動器障害、更には、日和見感染症の側面を持つ子牛の消化器病や呼吸器病等もこの疾病の範疇です。
現在問題となっている生産病には代謝障害(ルーメンアシドーシス、脂肪肝やケトーシス等の肝機能障害、第四胃変位、低カルシウム血症等)、繁殖障害(卵胞発育障害、卵巣嚢腫、鈍性発情、排卵障害、子宮内膜炎、胚の早期死滅、着床障害など)、運動器障害(蹄葉炎等蹄病全般)、そして泌乳障害(臨床性乳房炎、潜在性乳房炎、慢性乳房炎)などがあります。

3. 乳牛の生産病を取り巻く最近の動向
1)潜在性生産病
潜在性生産病とは、個体の外見からは異常が検出できず、血液や乳汁等の体液成分検査等によって初めて病気の進行状況がわかる生産病です。これには低カルシウム血症、ルーメンアシドーシス、乳房炎などがあります。また、潜在性生産病は、臨床症状を伴う生産病(臨床性生産病)の前段階ともいえます。
近年の栄養管理技術や家畜管理学の進展、及びこれらを取り込んだ生産獣医療の取り組み等によって、臨床性生産病はかなり減ってきていますが、潜在性生産病についてはむしろ深く広くまん延しつつあります。
明確な臨床症状を伴わないため、潜在性生産病は見過ごされることが多いのですが、繁殖機能や免疫機能へも悪影響を及ぼします。そして何よりも経済的被害額は、臨床性生産病の数倍にものぼるといわれています。今後、繁殖分野だけではなく畜産・獣医分野が総力をあげて研究すべき重要課題です。
2)受胎率低下
現在、受胎率が低下するという問題が顕在化してきています。現在の泌乳牛は泌乳能力が向上したため、分娩後 6~10 週間は乳生産に必要なエネルギー量が飼料として摂取できるエネルギー量よりも多くなります。乳牛はこれに対して自分の体に蓄積している脂肪などをエネルギー源として使って、言い換えれば身を削って乳を生産します。この状態を負のエネルギーバランスといっています。負のエネルギーバランスの期間は、性ホルモンの分泌は抑制され、卵巣の正常な働きを阻害し、繁殖機能に悪影響を及ぼしていると言われています。しかし受胎率の低下には負のエネルギーバランス以外の要因も複雑に絡んでいます。従って繁
殖技術のみならず、育種・飼養・衛生管理等、畜産獣医技術全般に関わる問題といえます。
牛の受胎(繁殖性)の阻害要因を解明し、受胎率の改善・解決に向けた早急な対策が必要です。
3)周産期の免疫機能の低下
分娩前後の3週間、あわせて6週間を周産期と呼んでいます。この時期には、乳房炎、乳熱、起立不能症、第四胃変位、ケトーシス、ルーメンアシドーシス、低カルシウム血症、蹄葉炎、胎盤停滞等種々の疾病が多発します。これは特に周産期疾病と呼ばれています。
妊娠末期の乳牛は、胎児の急速な成長や分娩後の泌乳に向けた乳腺の発達等により栄養要求量が増加します。また分娩という大きなストレス負荷に伴い、血中コルチゾール濃度の上昇、貪食細胞機能や T リンパ球機能といった免疫機能が一時的に低下するといわれています。
負のエネルギーバランスの時期には糖質の不足によって免疫細胞はエネルギー不足となり、蛋白質の不足は免疫細胞の分化・増殖に必要な原材料の不足をきたすともいわれています。
そのため、周産期に免疫機能を正常に保ち、周産期疾病を未然に防ぐためには、個々の乳牛の泌乳能力や生理機能を勘案したきめ細かな飼養管理が必須となります。周産期における免疫機能の詳細なメカニズムは未だ解明されていませんので、今後、抜本的な取り組みが必要と思われます。
4)乳房炎
生産病として最も重要な病気は乳房炎です。乳房炎は、乳房(乳腺)に細菌が感染することにより発症します。乳房炎になると、乳中に細菌や白血球が出てくるためと治療に使った抗生物質が乳に混入するため飲用に適さず、このような乳は廃棄されます。細菌感染は乳の出口である乳頭口からの細菌の侵入によって起きますので、この病気の予防は、搾乳前後に乳頭を徹底的に清潔にすることが必要です。また、乾乳期に抗生物質を乳房に注入することや、最近では、ワクチン接種による予防も試みられています。

以下次号に続く
日産 合 成工 業 株式 会社 学術 ・開 発 部


veg
スポンサーサイト

Comment

>生産性にこだわることをやめ、乳量の増加を牛に課すことをやめ、牛本来の生態に配慮した飼育をおこなえば、多くの問題が解決すると思うのに、根本的問題については問題提起がなされず、当面の対症療法についての話し合いで会議が終了したことがとても残念でした。



根本的な問題が生産性の工場じゃないんですか?
それについてまわる問題として牛への悪影響があるわけで、生産性が落ちてしまう解決法は本末転倒じゃないかと・・・

あと動物福祉についての話題が一つも出てこないと言っていましたが当然でしょう
ベストパフォーマンスですから、いかに効率よく生産量を上げるかを話していたのであって動物福祉の話をする場ではないですから


  • 2014/11/05 23:29
  • URL
Re: タイトルなし
パフォーマンスとは「成果」という意味だと思いますが、どのように成果を上げるかという話し合いのときに、福祉の話が出てこないのは大きな問題です。「成果」は生産性の面からのみ判断されるものではなく、動物福祉、環境への影響、農業の持続可能性、という多面にわたって判断されるものだからです。
  • 2014/11/10 11:45
  • 動物の解放
  • URL
Comment Form
公開設定

Trackback


→ この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)