「動物に苦痛を与えていないことが明らかにならなければ実験を行うことが許可されません。」


2014.10.29

はじめまして。
動物保護の活動を行っている佐藤と申します。
貴法人のサイトの記述で訂正してほしい点がございますので
確認いただけますよう、よろしくお願いします。

http://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/Q%26A-table.html

こちらのサイトの上から9つ目の質問、
「私は現在、動物実験についての研究をしております。
動物を救う事を職としている方にとって、動物を実験に使用する事をどう思われますか?」
との質問に対し


「動物実験をしているからと言って野放図に動物を苦しめているわけではありません。現在日本には「動物の愛護及び管理に関する法律」というものがあり、その中で動物実験を行う場合は動物に苦痛を与えない方法でしなければならないと定められています。また各研究機関、学術団体などでは指針を制定しており、その中でも動物に苦痛を与えない方法により動物実験を行うことが義務付けられています。これを研究者に守らせるために研究者は実験を始める前に動物実験計画書を実験を行う機関の動物実験委員会に提出し審査を受けることになっています。動物に苦痛を与えていないことが明らかにならなければ実験を行うことが許可されません。」

と回答されています。
この回答について、下記の点を踏まえ、訂正をお願いできないでしょうか。

日本で、法律や指針で動物実験がきちんと管理されているとは到底いえません。
動物愛護管理法には3Rが謳われていますが、それを担保するための具体的な法的枠組みは日本にはありません。
日本学術協会から「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」が出されていますが、これは実験施設に対して拘束力をもつものではありません。
また文部科学省、農林水産省、厚生労働省からは動物実験についての指針が出されていますが、実験施設においてこの指針が守られているとは思えません。
たとえば各指針には、「動物実験等に関する情報(例:機関内規程、動物実験等に関する点検及び評価、当該研究機関等以外の者による検証の結果、実験動物の飼養及び保管の状況等)を、毎年1回程度、インターネットの利用、年報の配付その他の適切な方法により公表すること。」などと情報公開が義務付けられていますが、動物実験を行う私企業において、動物実験に関するそのような情報が公開されている例を私は知りません。

また、環境省から出されている「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」には、動物実験施設について「可能な限り、外部の機関等による検証を行うよう努めること。」とあり、国立大学動物実験施設協議会および公私立大学実験動物施設協議会は「動物実験に関する相互検証プログラム」を実施していますが、この検証を受けている機関は、文科省所管の424機関のうち62機関だけです。
http://www.kokudoukyou.org/index.php?page=kensyou_ikenbosyu
製薬会社などそのほかの実験施設についてはHS財団が検証を行う、といわれていますが、HS財団の検証を受けた実験施設は87施設しかありません。
http://www.jhsf.or.jp/project/doubutu_institution.html
実験施設の届出制を導入し、実験施設数が把握されている兵庫県下だけで70の実験施設があることを考えると、これらの数字はあまりに低い数字といえます。

各自治体が、どこに動物実験施設があるのかすら把握できない現状の日本のシステムで、動物実験の指針や基準、ガイドラインが守られているとは考えられません。

また貴サイトの上記回答には「動物に苦痛を与えていないことが明らかにならなければ実験を行うことが許可されません」とありますが、これは明らかに間違いであり、サイトの閲覧者に重大な誤解を与えることになってしまいますので、削除していただけないでしょうか。
Scientists Center for Animal Welfare (SCAW)が動物実験の痛みを5つのカテゴリー(A.B.C.D.E)に分類し、苦痛の判断基準としていますが、カテゴリーC以上は明らかに苦痛を伴うものであり、日本でカテゴリーC以上の実験は行われています。インターネット上で、カテゴリー別に動物実験数を公開している大学もあり、それを見るとカテゴリーC.Dの動物実験が中心に行われていることがわかります。
カテゴリーCの動物実験とは「脊椎動物を用いた実験で,動物に対して軽微なストレスあるいは痛み(短時間持続する痛み)を伴う実験。」であり麻酔下で血管を露出させること,あるいはカテーテルを長期間留置すること、などが含まれます。
カテゴリーDの実験は「脊椎動物を用いた実験で,避けることのできない重度のストレスや痛みを伴う実験。」であり、行動面に故意にストレスを加え,その影響を調べること。麻酔下における外科的処置で,処置後に著しい不快感を伴うもの。長時間(数時間あるいはそれ以上)にわたって動物の身体を保定(拘束)すること。麻酔薬を使用しないで痛みを与えること。などが含まれます。

こういった実験が現実に行われている以上、「動物に苦痛を与えていないことが明らかにならなければ実験を行うことが許可されません」を削除していただきたいと思います。
獣医師を目指し、しかし動物実験に抵抗があるかたがインターネットで検索した場合、貴サイトにたどり着く可能性は高いです。
このQ&Aはかなり昔に公開されたものと思いますが、そのような獣医師志望者に誤った情報を伝え、不利益を与えてはならないのではないでしょうか。

お忙しい中恐縮ですが、どうぞよろしくお願いします。


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2014.10.30
返信あり


日本獣医学会ホームページ掲載の記事に関するご意見をお寄せ
いただきありがとうございました。

ご意見を検討し、記事の内容を修正いたしましたのでご案内いたします。

http://www.jsvetsci.jp/10_Q&A/Q%26A-table.html#Anchor49575

日本獣医学会



kita
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