酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針・家畜改良増殖目標等

酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針・家畜改良増殖目標等
について、農林水産省が国民からの意見を募集しています。

酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針及び家畜改良目標は、それぞれ酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律及び家畜改良増殖法に基づき、酪農及び肉用牛生産の振興・家畜の改良施策に関し、政府が中長期的に取り組むべき方針を定めたものであり、情勢変化等を踏まえ、概ね5年ごとに定めるものとされています。




農林水産省より

新たな基本方針及び家畜改良増殖目標の検討にあたり、国民の皆様からのご意見・ご要望を議論に取り入れる
ため、ご意見・ご要望を募集します。

1. ご意見・ご要望の募集について
国民の皆様からのご意見・ご要望を効果的に議論に取り入れるため、2回に分けて募集を行います。

第1回募集(平成26年4月4日~9月30日):基本方針及び改良増殖目標全般についてのご意見・ご要望を募集します。
第2回募集(平成26年12月~平成27年1月末):畜産部会での議論を踏まえた、新たな基本方針及び改良増殖目標に対するご意見・ご要望を募集します(予定)

2. ご意見・ご要望の提出方法について
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/rakuniku_kihon_houshin.html




第1回募集はもう始まっています。
現在の「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」には動物福祉からの視点が欠けています。また生産性を重視した家畜改良はすでに畜産動物たちに大きな負担を強いていますが、さらにそれが推し進められようとしています。
環境問題、水不足、飢餓問題という地球規模の観点からいうと、畜産の「近代化」とは畜産業の縮小を図ることだと思われますが、そういった内容も欠落しています。
みなさんからも、どうぞ意見を届けてください。



(それぞれの項目ごとに200字程度にまとめたほうがよいそうです。一つの項目で600字になるなら、それを3つに分けて、一つの項目で3つ意見を出せばよいです。)


酪農経営
国際的に進められているアニマル・ウェルフェアへの取り組みを、日本でも推進すべき。
その一つとして、放牧主体の酪農への積極的な転換を図るべきである。
動物本来の習性を発揮できる放牧酪農はコストの削減につながるだけではなく、高い生産性にもつながる。東京大学の鈴木宣弘教授によると、「オーストラリアやニュージーランドでは牛乳1リットルあたりの生産コストが15~20円程。それに対し、日本は北海道で70円、本州で80円ほど。」とのこと。牛舎での効率を重視した飼育は、自然な放牧スタイルよりコストがかかり、動物への負担も大きい。日本と同じ地理的条件のスイスは放牧が主流であり、日本も放牧主体の酪農は不可能ではないと思われる。

アニマル・ウェルフェアの欠如からおこる疾病や異常行動への対策を充実させるべき
たとえば、乳牛の跛行についてデータをとり床材・飼料・管理方法の改善をはかるべき。跛行は乳牛に苦悩と激しい痛みを与えるだけではなく、生産性にも影響を与える。イギリスでは農業水産食料省の調査で、乳牛の跛行はウェルフェアの問題だと認識されている。
また、本来子牛は1時間に6000回母牛の乳を吸うと言われており、産まれてすぐに母牛から分離される子牛は、乳に似たあらゆるものに吸い付くという異常行動を起こすことが知られている。バケツ哺乳ではなく人工乳首で吸乳できるように変えることで、消化酵素の分泌が大幅に増加することがわかっており、子牛の成長を促すためにも、母牛の乳を吸いたいという強い欲求を満たせるよう配慮すべきである。

畜産の近代化を図るためには、国際的に推進されている動物福祉への取り組みは欠かせない。
その一つとして、牛の行動を著しく制限する繋ぎ飼育の規制を検討していくべき。
スウェーデン、ノルウェー、フィンランドでは、牛は放牧される権利があるとし、夏期の2~4ヶ月間の放牧が義務付けられている。また繋ぎ飼育する場合にも、スタンチョンストールに比べ、タイストールの方が牛の行動の束縛がきつく、繋留方法も規制を検討すべき。



肉用牛経営
脂肪交雑を目的とした、ビタミンAの給与制限に明確な基準を設けるべき。
ビタミンAは、視力維持に必要な成分。欠乏がひどくなると盲目になりやすく、現実に盲目や視力が低下している肉牛がいることがわかっている。また肉牛の「突然死」もビタミンAの給与制限に起因するとの指摘もある。

動物福祉の観点から、牛肉の生産情報公表JAS規格の見直しを検討すべき。
生産情報公表JAS規格は、食品の生産情報(誰が、どこで、どのように生産したか)を消費者に提供する仕組みであるはずだが「どのように生産されたか」の情報がない。
健康にのびのびと飼育された牛の肉を食べたいというのは、健康志向の高まっている昨今においても 多くの消費者の望むところであり、飼育方法について
放牧か舎飼いか、尾・角の切断の有無、去勢の方法、舎飼いにおける1頭あたりの飼育面積、
などの情報も公表するべきと考える。

畜産の近代化を図るためには、国際的に推進されている動物福祉への取り組みは欠かせない。
断角は肉牛に負担を強いるものであり、その是非について議論をしていくべき。
断角をやむをえず行う場合も、ヨーロッパでは角の先だけ切断し、ゴムの角カバーを付け、攻撃力を弱めることで対処しており、福祉に配慮した方法を日本でも普及させていくべき。
また断角(除角)の時期であるが、「アニマルウェルフェアに対応した飼養管理指針」では「除角によるストレスが少ないと言われている焼きごてでの実施が可能な生後2ヶ月以内に実施」することが推奨されているが、日本で断角される肉牛のほとんどは3カ月以上で断角されている。断角する場合は、子牛市場に出す前に行うよう転換していくべきである。



畜産物流通(生乳・食肉)
消費者のニーズに応えた、動物福祉食品の流通の拡大を図るべきである。(放牧畜産認証制度や、JAS規格の有機畜産物の拡大)
2009 年 「東京都食育フェア」で、672人におこなわれたアンケートでは放牧牛乳を購入する意思があるかについて尋ねると、価格が高くても購入したいが40%。1 パック 350 円の放牧養鶏卵でも購入すると答えた消費者が 49%と半数近くいた。しかし現実にはこういった商品を置いている小売店は少ない。放牧畜産認証を受けているのは45件、JAS有機畜産物はたったの8件しかなく、消費者が動物福祉に配慮された食品を手に入れることは現状困難である。 

「乳脂肪3.5以上」を見直すべき。
スーパーで売られているのは、乳脂肪3.5%以上の牛乳ばかりだが、3.5以上を維持するには、放牧酪農を行うことは困難である。夏期の水分の多い草を食べた牛の乳と、冬の水分の少ない草を食べた牛の乳の乳脂肪率が違うのは本来当然のことであり、濃厚飼料を減らし、放牧酪農を拡大させるには、夏は脂肪分が低く、冬は高い、こういった牛乳が当たり前に流通するしくみをつくるべきである。



家畜改良
生産性だけではなく、動物福祉に配慮した家畜改良をするべき。
生産性を求めた遺伝的選抜は、畜産動物に過度な負担を強いる結果となっている。
ブロイラーは、急激に成長するよう改良されており、突然死症候群は成長率が高いブロイラーほど多いことがわかっている。イギリスの研究では、ブロイラーの30%近くは体を支えることが難しく歩行困難となり、3%はほとんど歩行不能となっているとのことである
採卵用鶏は、本来なら1年間に20個程度の産卵を300個にまで人為淘汰によって増やされている。こういった、少量の餌でたくさんの卵を産ませるために行われてきた遺伝的選抜は、鶏の骨をもろくしてしまった。自らに必要なカルシウムも卵のとして輩出され、と殺のための出荷前の捕鳥作業時、輸送のときに骨折しやすいことが知られている。

人工授精から自然交配への転換を
人工授精は、技術の未熟さや不注意による生殖器病を起こす可能性がある。注入器を膣内にいれ、人の腕を直腸から奥深くに挿入して行う人工授精は、動物の自然な姿からはかけ離れたものであるだけではなく、100万~200万頭の牛を2000頭ほどの種牛の精子で受精させていくというやり方は、遺伝的多様性を減少させることにもつながる。年々人工授精成功率が下がっていることとも、これと無関係とはいえないのではないだろうか。人工授精から自然交配の繁殖に切り替えていくべきである

生産性を向上するために、暑熱対策、良質な飼料や水の給与等の飼養管理のみではなく、動物の本来の習性が発揮できる環境づくりに取り組むべき。
疫学研究によれば、広々とした空間で少ない羽数で飼育されると、採卵用鶏は多く産卵し、死亡率が低くなることが分かっている。また、群飼や輸送回避といったストレスフリーで育った豚は、体重が増えることが分かっている。群飼は動物同士のけんかが多くなるともいわれるが、たとえば豚の隠れ場所を用意することで豚同士のけんかは減るし、鶏に止まり木を与えることで攻撃性を減らすことができる。

競争用馬の改良の停止
競走馬はあまりにも大きな負担を強いられており、こ以上の改良に歯止めをかける必要べき。
競走馬は「速く走る」ことに特化した交配と淘汰の結果、体重に対する足の太さが限界まで細くなってしまっていると言われている。 細い4本の脚で400〜500kgの体重を支えるには負担が大きく、骨折しやすい。骨折すると、残りの3本の足で体重を支えることができず、多くは殺処分されてしまう。競走馬としての調教の過程の負担も大きく、中央競馬では毎年1000頭の馬が「ソエ」(骨が出来上がっていない成長期の若い馬に、限度を超える調教を行うことで発症する病気。強い痛み、跛行、重度になると亀裂骨折する )を発症している。
またJRA研究所によると競走馬の8割が胃潰瘍になっているという。
競馬人口は減ってきており、現在の競走馬の負担の大きさを考えると、畜産振興の一環としての競馬そのものを見直す必要があると考える。

乳牛改良の目的を、乳量増加に置くべきではないと考える。
肉牛であまり見られない乳牛の産後の起立不能はカルシウム不足が主要原因といわれているが、乳量増加に着目した改良が、カルシウム不足の要因と考えられないだろうか。年々乳牛1頭あたりの乳量は増加しているが、たくさん乳を出すということはたくさんのカルシウムを排出するということであり、乳牛の産後の起立不能は、乳牛の高泌乳量と無関係ではないはずだ。高泌乳牛は病気にかかり易いとはよく言われることであり、 第四胃変位も高泌乳牛群に多い傾向があり、その発生率は 3~15%に及んでいる(2008年 日産合成工業株式会社 学術・開発部資料)。
すでに日本の乳牛1頭当たりの乳量は世界トップクラス(約8000kg)であり、EUの平均(6669kg)と比較しても高いのである。これ以上の乳量を重視した改良には歯止めをかけるべきと考える。



飼料
濃厚飼料ゼロを目標にすべきと考える。
近年、牛の第四胃変位が増えてきているといわれており、濃厚飼料多給が大きな原因のひとつと言われている。牛は本来牧草を食べる生き物であるし、濃厚飼料ゼロの飼育は可能なのである(国内の養老牛山本牧場では濃厚飼料ゼロである)。持続可能で自然循環型の畜産を目指すためには濃厚飼料ゼロを目指すべきである。



畜産環境
環境破壊の対策の一つとして、畜産業を縮小していくべきである。
米国のワールドウォッチ研究所が2009年に発表した論文によると、畜産業からの二酸化炭素排出量は少なくとも年間326億トンで、世界の年間排出量の51%に上るとしている。OIEは2011年から2015年までの第5次戦略会議で「家畜生産と地球環境」をあげており、畜産業から出されるメタンガスの軽減などが課題となっている。畜産業、特に牛が環境破壊の主要要因のひとつであることは、すでに2006年にFAOが報告しているところである。
地表面積の30%を占める畜産業は、環境問題と密接に関係しており、畜産業の縮小は早急に取り組むべき課題と考える。

食料危機・水不足を回避するために、畜産業を縮小すべきである。
2012年イギリスのガーディアン誌は「壊滅的な食糧危機を避けるためには、今後40年間で世界人口はほぼベジタリアンにならなければならないだろうという警告を出している。また国連は2025年には世界中の2/3の人が水不足に陥るだろうといっており、国連環境計画は、「2030年までに17億増える人口を養う水を確保するためには、天水に頼る作物栽培を増やすともに食肉消費も減らさねばならない」と発表している。

飼養規模拡大を推進すべきではない。
すでに日本における1頭あたりの飼養規模は高い。EUでは乳牛の平均飼養頭数が33頭、日本は72頭。規模の拡大は、機械化、施設化、畜産と耕種部門の分離につながる可能性が高く、そのような工場型の畜産は石油エネルギーに依存しており環境への負荷が高いものになってしまう。また、飼養規模拡大は、資金のある大手が生き残り小農家がつぶれることにつながる可能性が高いのではないか。ノルウェーでは農場サイズを制限する法律を持っている、6次産業の促進のためにも、そのような小農業の保護につながる施策をとるべき。



畜産物の高付加価値化
動物福祉食品をひとつのブランドして推進するべき。
イギリスやアメリカなど海外では、動物福祉に配慮された畜産物がラベルをつけて販売されている。農水省の畜産振興事業の一つに動物福祉を入れ、福祉向上に取り組む農家や、動物福祉に関する研究に補助金を出す制度をつくるなどして、動物福祉食品の普及に努めるべきである。



家畜衛生 
家畜伝染病予防のために、動物福祉を充実させるべき。
家畜伝染病と動物福祉のは切り離せないものとして、OIEはじめ各国で動物福祉への取り組みが進められている。しかし日本においては畜産動物に関して拘束力のある規制はなく、海外で禁止されつつある繁殖用のメス豚のストール(檻)飼育や、採卵用鶏のバタリーケージが一般的に行われるなど、動物福祉への取り組みが非常に遅れている。



その他 
食育の一環として、畜産動物福祉についての啓発も推進していくべきである。2011年に行われた畜産動物に関するアンケート(環境省)では82%の人が「アニマルウェルフェア」という言葉を知らないと回答している。国際通念となっている「アニマルウェルフェア」であるが、日本では多くの人に知られていない。そのため「アニマルウェルフェアの考え方についての賛否」という問いついては55%の人が「どちらともいえない」と答えている。畜産物を食する国民へ、動物福祉についての情報を提供するのは畜産振興を推進する国の義務であり、社会一体となって畜産動物福祉について議論していく体制を整えるべきである。


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このパブコメの結果
意見数
61 件、16 人(法人・団体含む)
なお、61 件中 39 件(7 人・1 団体)はアニマルウェルフェアの観点からの意見
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/bukai/h2606/pdf/sanko.pdf

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第2回のパブコメ(2015年)
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-category-27.html



veg
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