エリキュース 血栓ができるのを防ぐ薬

新薬の、効果や毒性を確かめるために動物実験がおこなわれます。

例) エリキュース
血液凝固を阻害し、血栓(血の塊)ができるのを防ぐ薬。
EU、アメリカ、カナダ、日本と世界同時承認され、
日本では2013年2月から販売開始。
ブリストル・マイヤーズ社とファイザー社による共同開発


この薬のために行われた動物実験

効果を裏付けるための実験
(ラット、ウサギ、犬が使われています。)

・動物にこの薬を投与し、頚動脈・頚静脈(首付近の血管)間にチューブを挿入し、血栓(血の塊)の出来具合を観察。
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頚静脈にチューブを通されたマウス。※エリキュースの実験写真ではありません。

・動物にこの薬を投与し、大静脈(心臓付近の血管)を露出させ、ほかの血管を縛り、大静脈内の血栓の出来具合を観察。
・動物にこの薬を投与し、後ろ肢の先端を切断し、出血具合を観察。
・動物にこの薬を投与し、腎臓の皮膜を除去し、皮質を切り、出血具合を観察。
・動物にこの薬を投与し、頚動脈に電気刺激を与え、血栓の出来具合を観察。

このほか、他の薬と併用した場合はどうか、という動物実験も行われています。


薬物動態実験
薬物が体の中でどのように処理されるのか、吸収・分布・代謝・排出を調べる実験

・胆管カニューレ(体に挿入し体液の排出などに使うパイプ)を動物に挿入し、この薬を投与し、抽出した胆汁を調べた。
・頚動脈にカテーテル(体に挿入し体液の排出などに使うパイプ)を挿入した犬を絶食させ、この薬を投与。血液透析を行った場合、この薬がどう作用するかを調べた。

薬物動態実験では、マウス・ラット・イヌ・サル・妊娠したラット・妊娠したウサギが使用されています。
妊娠した動物が使用されるのは、胎児への影響、この薬が乳へどのように影響するかを調べるためです。

そのほか、非臨床薬物動態ガイドラインに示されている、全身オートラジオグラフィーも行われています。
全身オートラジオグラフィー
放射標識した薬物(放射性同位体で薬にしるしを付けることで、薬物の体内における作用を観察します)を動物に投与し、決められた時間ごとに殺処分して、その切片における放射能の組織分布を調べること


毒性を調べるために行われた実験
単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、がん原性試験、遺伝毒性試験、生殖発生毒性試験などが、サル・犬・マウス・ラット・ウサギを使って行われています。
※単回投与毒性試験では、「観察期間中の死亡例及びげっ歯類の観察期間終了時の生存例は全例剖検(殺して解剖)する」ことが単回および反復投与毒性ガイドラインに定められています。

・雑犬に本薬を30分間隔で投与。2例が死亡。動脈圧、心拍数、心筋収縮の上昇が見られた。心筋虚血(貧血)が原因と思われる。
・サルにこの薬を単回投与したところ、300mg/kg投与群では、投与日、投与2日後に雌が各1匹死亡。100mg/kg投与群では、投与翌日に雄1匹が状態悪化し、と殺された。これらの例は死亡前に歯肉の蒼白化、鼠径部(股の付け根)の出血、生殖器周辺・腹腔・陰嚢に達する広範囲の腫瘍が見られた。
・3ヶ月反復投与毒性試験ではラットに本薬を投与、75、150、300mg/kg投与、媒体群(比較対照するために本薬を投与しない群)の各群において死亡が確認された。75、150mgで各2匹、300mg、媒体群で各1匹死亡。すべて誤投与による死亡と判断された
・6ヶ月反復投与毒性試験ではラットに本薬を投与、50、200、600mg/kg投与、媒体群(比較対照するために本薬を投与しない群)の各群において死亡が確認された。媒体群6匹、50mg1匹、200mg5匹、600mg2匹死亡。50mgの死亡例については頭蓋骨骨折による脳損傷が認められたため本薬との関係はないと判断された。その他は死因が特定できなかったが、採血後に死亡していることから、採血操作による関連性が示唆された
・犬を使っての、3ヶ月、1年の反復投与毒性試験が行われています。
・マウスへの104週間にわたり本薬を投与するがん原性テストでは、本薬はがん原性を示さないと判断された。雄のマウスでは痙攣が多く見られたが、投与量との間に関連性は見られなかった。また加齢のマウスではハンドリング(実験者とマウスの接触)の頻度が低い長期投与試験において痙攣を発症させやすいことが知られており、これらのことから、本薬の投与と痙攣の関連性はないと判断された。
※ハンドリングのやり方によってマウスの不安様行動が増減するそうです。
・生殖発生毒性試験において、雄と雌のラットにそれぞれ交配の十数日前から本薬を、50、200、600mg、媒体群(比較対照するために本薬を投与しない群)とにわけて投与。媒体群、600mg群で各1匹死亡したが、いずれも誤投与が原因と判断された。また600mg群で後肢麻痺、無便がみられたためと殺、解剖した結果脾臓の肥大が認められた。これらの変化の原因は不明だが、後肢麻痺はと殺前日の本薬投与後3分以内に突然発症したことから、なんらかの外傷によると判断された。

そのほか妊娠マウス、妊娠ウサギを使った生殖発生毒性試験が行われています。




本薬を投与しない媒体群での死亡、誤投与、採血操作、頭蓋骨骨折、ハンドリング、なんらかの外傷による死亡。
このような、実験に関係のない、わけのわからない理由でも、動物は死に至らしめられています。


ここに書き出した動物実験はすべてではありません。
エリキュースの詳細
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201200166/670605000_22400AMX01496_A100_1.pdf
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201200166/index.html


ヒトの病態と実験動物の疾患モデルの間には「生物としての共通性」はありますが、「超えられない種差」があります。薬の効果を確かめるために、動物はまずその病気にさせられますが、ヒトの病態と全く同じ実験動物を作ることはできません。(と、国や研究者が言っています)
そのため、医薬品の効果を確かめるためには「発症メカニズムの異なる複数の疾患モデル動物」が用いられます。
薬物が体の中でどう処理されるのかを調べる薬物動態試験においても、さまざまな種類の動物が使用されます。毒性を調べる実験でも、同様です。

動物とヒトは違います。ヒトには胆嚢がありますが、ラットにはありません。犬の皮膚の角質層は薄く、人間の1/3ほどしかありません。サルはアルツハイマーになりません。
細胞レベルでも違っています。霊長類の中で細胞の表面に糖タンパクやシアン酸を持つのはヒトだけです。A動物とB動物とC動物の実験結果を足して、人間へ当てはめようとする、そんなのはデカルト式の時代遅れのやり方です。人の体も動物の体も、そんなに単純、杓子定規ではありません。


動物自身に選択が許されるなら、動物は決して実験されることに同意しません。
動物実験は、動物への差別です。


現実的で倫理的で人道的な、動物実験以外の研究方法
http://www.nomoreanimaltests.com/jfma/faq/






メモ souken
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