海外の動物福祉政策

欧州の動物福祉政策

1992年のマーストリヒト条約に「動物保護宣言」が付帯された
「動物保護宣言
会議は,欧州議会,理事会および欧州委員会,ならびに加盟国に対して,CAP,輸送,域内市場および研究に関する EC 立法を起草・実施する際には,動物の福祉要件に十分配慮するよう要請する。」


1997年のアムステルダム条約では,動物保護への言及は議定書(全加盟国による合意書)の形をとり,マーストリヒト条約よりも高い位置づけが与えられた。
対象範囲は立法から政策に拡大され,さらに動物を「感受性のある生命存在」(sentient being)として認めた。またその一方,宗教や文化的伝統への配慮も求められることとなった。
EC 設立条約に付帯する「動物の保護と福祉に関する議定書」
「 高位なる条約締結者は,感受性のある生命存在としての,動物の福祉の擁護と尊重が確実に改善されることを願い,欧州共同体を設立する条約に以下の条項を付帯させなければならないということに合意した:共同体の農業,運輸,市場,研究に関する政策の策定と実施において,共同体および加盟国は,動物福祉の要件に十分な配慮を行わなければならず,その際,とりわけ宗教儀式,文化的伝統および地域遺産にかかわる,加盟国の法的または行政上の措置と慣例を尊重する。」


2008 年のリスボン条約(2009 年12月1日に発効)では,EU条約本体に初めて動物福祉が取り込まれた。
EU の2つの基本条約(EU 条約とEU機能条約)のうち、EU機能条約に動物福祉が追加、かつ対象となる政策分野も増えた。(漁業,工業技術開発,宇宙)。
「第 13 条
農業,漁業,運輸,域内市場,研究,工業技術開発,宇宙に関する連合の政策形成および実施に際して,連合および加盟国は,動物は感受性のある生命存在であるから,動物の福祉上の要件に十分配慮する。その際,とりわけ宗教儀式,文化的伝統および地域遺産にかかわる,加盟国の法的または行政上の措置と慣例を尊重する。」


引用元:
農林水産省 平成 25 年度海外農業・貿易事情調査分析事業(欧州)報告書
第 III 部 EU における動物福祉(アニマルウェルフェア)政策の概要
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/pdf/h25eu-animal.pdf



スイスの動物福祉政策
家畜福祉の実践により助成金を受け取れる仕組み*EUにも同様のものあり

第一に 動物福祉に関する規制は 全般的かつ義務的なものとして動物保護法が制定されているが 家畜動物についてみれば それに加えて農業環境政策の一環としてBTS(家畜に優しい畜舎システム)とRAUS(家畜の規則正しい屋外での放し飼い)とよばれる規則が制定されている。これらの 規則を実践することは任意 であるが 直接支払制度における一つのメニュ となっており その実践によって助成金が受け取れるようになっている つまり と のプログラムは もう一段高いレベルの動物福祉水準をめざすための誘導策として組み込まれているのである。このような義務的規則と任意的規則を組み合わせて助成金によって政策誘導していく手法は まさに農業環境政策におけるクロス コンプライアンスの手法と同じである。


引用元:
スイスにおける動物福祉規制と農業環境政策-大山利男
http://nodaiweb.university.jp/noukei/pdf/NSO100_24.pdf

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中国における動物保護に関する法令

1. 動物愛護法



2009年に提案された動物愛護法は一部の国民に反発されました。その理由は動物愛護法が動物権利や動物福祉などを認めているが、中国は国民の人権や福祉さえ保障できないため、動物愛護法は行き過ぎる概念だと言われています。

そのため、2010年から、「中国動物愛護法」を推進していた団体は、「反虐待動物法」を推進することになりました。 「反虐待動物法」の草案によると、猫肉や犬肉を違法食べることに対し、5000元か懲役15日の刑にされます。



2. 動物実験の法律


中国では実験動物に関し、下記の法令があります。

《实验动物管理条例》(全国)

《广东省实验动物管理条例》

《黑龙江省实验动物管理条例》

《重庆市实验动物管理办法》

《辽宁省实验动物管理办法》

《甘肃省实验动物管理办法》

《湖北省实验动物管理条例》

《北京市实验动物管理条例》

《云南省实验动物管理条例》

《江苏省实验动物管理条例》

《浙江省实验动物管理条例》

《福建省实验动物管理条例》

《安徽省实验动物管理条例》

《上海市实验动物管理条例》

《山西省实验动物管理条例(试行)》

《天津市实验动物管理条例》

《河北省实验动物管理办法修正案》

《吉林省实验动物管理办法》

《山东省实验动物管理办法》

《广西壮族自治区实验动物许可管理实施细则(试行)》

《四川省实验动物许可证管理实施细则(试行)》

《贵州省实验动物管理实施细则》

《陕西省实验动物管理办法》



国家レベルの「実験動物管理条例」(全国)は1988年に発令されました。

具体的には、実験動物を愛護し、虐待を禁止されることが定められています。それ以外に、餌と飲用水の品質を保障することも要求されています。

省レベルの条例は殆ど2000年から2010年にリリースされました。国家レベルより詳しいです。例えば、広東省の条例は「実験動物の命の価値及び権利福祉を尊重すべき」「実験の目的、公衆の利益、実験動物の命の価値という三方のバランスを慎重にとるべき」など書かれています。また、虐待禁止だけではなく、もっと具体的に「必要ではない傷つけられること、飢餓、不安、病、痛みを避けるべき」だと書かれています。また、「手術する時に、有効な麻酔をかけるべき。殺す場合は、安楽死を行うべき 」。

ただ、そこまで詳しく書いているのは広東省だけです。他の省は非常に基本的かつ手続き的なことしか書いていません。(※1)



詳しく見ていくと、中国には日本よりも実験動物保護のシステムが整っていることがわかります。

(日本は自主規制のみで、動物保護の観点から義務付けられているものもなく、どこに実験施設があるのか国は把握できていません)



動物実験者の免許や資格などの制度

•国家レベルは資格制を徐々に設立することを目指すと示しているが、義務ではない。

•一部の省では、動物実験者の資格証書は要求されている。



動物実験施設・実験動物飼育施設の登録や届出などの制度

施設の衛生的な条件に対する要求はあるが、登録や届出はなし。



動物実験計画の許可や認可などの制度

ほとんどの省では、動物実験を行う組織は許可証を取得する義務があるが、ひとつひとつの動物実験に対する審査をすることはない。一つの組織は許可を貰ったら、数年間実験を行うことができる。一部の省では、実験を行う組織は毎年検査されることはある。



第三者機関による動物実験施設の査察制度

一部の省では、地方の政府機関(科学技術庁など)が査察の役割を担う。



動物実験委員会の設置

条例ではなく、「指導性意見」として『動物実験管理委員会(または実験動物道徳委員会、実験動物倫理委員会など)の設置が必要』とされているが(※2)、「指導的意見」であるので、強制力については曖昧。



動物実験の記録

・国家レベルで義務化されている。具体的には実験動物の質を観測すると書かれている。また、実験動物の病死する場合の原因も記録する義務がある。

•ほとんどの省で義務化されている



罰則制度

•国家レベルでは、行政罰されることがある。例えば、警告、期限内改善を行うことを要求すること、強制閉鎖など。

•省レベルは基本的に記載されていないが、広東省では、許可証がないまま実験すれば、違法所得は没収され、一万から三万元の罰金。(※3)



※1  http://appedia.arc.capn-online.info/pmwiki.php?n=知识库.中国全国及省级的实验动物保护法规

※2  http://www.most.gov.cn/fggw/zfwj/zfwj2006/200609/t20060930_54389.htm

※3 http://www.gdstc.gov.cn/HTML/zwgk/zcfg/bmgfwj/13197071167591710709488314922881.html


 

3.畜産動物の法律


中国畜牧法には、2つ関連条項があります。

第42条: 家畜に適切な繁殖、生存、成長条件と環境を提供すべき。

第53条:家畜を運輸する時、家畜の安全を保障すべき。また、必要なスペースと餌を提供すべき。(※)



※  http://www.gov.cn/flfg/2005-12/29/content_141833.htm



現在中国には、畜産動物の福祉を担保するための法律は殆どありません。

しかしこれから変わっていくことが予測されます。

 

2016年2月10日

中国で初の、畜産と屠殺の動物福祉規約

GlobalMeatNews.comより抜粋)

「中国は、6月までに、動物の扱いと屠殺の基準の草稿を持つことになるだろう。中国の獣医師会によると、豚、家禽、羊、肉牛、乳牛を含む30の家畜について基準を作成中だということだ。ただ、この基準が法的拘束力を持つものになるかどうかはまだ明らかになっていない。」

「国際機関は中国の食肉業界に動物福祉のトレーニングをすることに熱心だ。世界動物保護協会(WSPA)と、Beijing Chaoyang Anhua 動物製品安全研究所(APSRI) は約1000の屠殺場を訪れた国際レベルの4人のトレイナーを雇い、人道的屠殺プログラムを実行している。彼らは世界動物保健機関(OIE)のそれに基づいて、豚の屠殺の基準を導入している。」

「中国は動物福祉への取り組みが遅れている。しかし近年意識が高まっており、毎年3月に始まる議会の前に、動物虐待防止法の草稿ができる予定」

(抜粋以上)

”中国は動物福祉への取り組みが遅れている”と書かれているが、少なくとも日本よりは進んでいると言える。

OIEで採択された屠殺の基準は、日本国内で翻訳すらされておらず全く周知がなされていない。

日本における畜産動物福祉の意識も低い。

中国の動物福祉の国際協力委員会(ICCAW:中国政府に承認されたNGO)のXi Chunling代表は2015年11月のイベントで「中国の業界の専門家、農場主、消費者の一部は、豚の福祉に何が求められるのか、その詳細(妊娠ストールを使わない、歯・尾を切断しない、敷料を与えることなど)を知っている。」と述べたが*1、中国のそのような状況に比較すると日本はとても遅れている。畜産動物の飼育環境は知られておらず、妊娠ストールや体の一部の切断に問題意識を持つ日本人はほとんどいない。




*1 "ICCAW president defends China’s stance on pig welfare"

http://www.globalmeatnews.com/Industry-Markets/ICCAW-president-defends-China-s-stance-on-pig-welfare




調査協力 ARCスタッフ ワン

「文明国であれば原理原則」のイタリア 「密告」の日本

2013.11.2 
ペット法塾主催でおこなわれた「動物法交流会」に参加しました。ペット法塾は動物を法的に守る活動をしている弁護士などからなる団体です。
http://thepetlaw.web.fc2.com/

当日は、公営住宅での動物飼育に対する圧力について、動物の遺棄・虐待を告訴していくことの重要性について、イタリアの動物保護法など、各地の活動家からの報告がありました。

以下、配布された資料「動物法交流会」より引用しています。
当日の資料のご入用な方は、ペット法塾へ尋ねてみて下さい。
uedalaw@skyblue.ocn.ne.jp(植田法律事務所)

イタリア
イタリアは「愛護動物および飼主のいない犬猫の繁殖防止に関する法」(1991年)で、愛護動物の致死処分を禁じ、野良犬・野良猫の殺処分を放棄した国である。
この繁殖防止法に基づく事業のために、1991年から1998年の間に、国や州が投じた金額は656億円リラ(約45億円)にのぼる。財政難のイタリアは悲鳴を上げながら収容施設建設に取り組んだ。
2001年、当時のイタリア保健大臣は
「犬猫収容施設の管理については、経費節減を第一とすべきではない。あくまでも収容された動物の福祉を最優先し」愛護動物の避妊去勢手術については「社会環境保全のために多大な効果をもたらすことであり、文明国であれば原理原則のはず
と、このように言い切った。

ローマ市の条例
・犬を庭やベランダに置きっぱなしは禁止。家のなかで家族の一員として飼育するべき。
・犬をチェーンにつなぐのは基本的に禁止。どうしてもつなぐ場合は、高さ2mにはった、長さ5m以上の空中ロープに、長さ6m以上のチェーンをつけてつなぐこと。ただし、繋留は1日に8時間を超えてはならない。
・治癒不可能な場合を除き、愛護動物の殺処分はおこなわれない。
捨て犬猫は公的シェルターで終生飼養される。
・子犬や子猫は生後60日以内に親から離すことを禁止する。
(※日本では2013年の法改正で56日と決まった。ただし付則に「2016年までは45日、それ以降は別の法律が制定されるまでの間は49日と読み替える」という、わけのわからない留保事項がついており、「56日」は実効性のないものとなっている)
・野良犬猫の避妊去勢手術代は、自治体が払う
氷の上にロブスターを置くのは虐待。(※オクスフォード大学ベーカー博士は「甲殻類の感覚器官は高度に発達しており、神経系は複雑である」「ロブスターは痛みを感じる」とし、「一般的なロブスターの殺し方『熱湯につける』は2分に及ぶ痛みを引き起こしうる」 としている。
・地域猫は自治体の保護下にある。
・「地域犬」が認められている。ワクチン、避妊去勢手術、マイクロチップ個体識別を済ませ、首輪に鑑札をつけた「自由犬」「地域犬」も存在する。

イタリアの動物実験
2013年7月 動物実験規制法改正
・実験用の犬ネコ猿の繁殖禁止
・麻酔、鎮静剤の使用を義務化する
・ドラッグ、アルコール、タバコ、武器、教育のための動物実験を禁止
・代替法の発展を義務化する
(※EUの動物実験福祉法ではこのような規制はありません。EUの実験動物福祉法は、前文は56条、法律本体は66条、それに具体的数値等を定めた付属書が1~8まであるという重厚なものですが、このEU指令では、麻酔をせずに動物の胸部切開をすることができます。
日本:実験動物のための、拘束力のある法規制ゼロ。)

集合住宅の動物飼育について
イタリアでは2013年6月、集合住宅の動物飼育に関して新たな法律が施行された。
集合住宅で動物を飼う自由は、一切制限できなくなったのである。
また最高裁で、集合住宅の敷地に住み着いた野良猫たちを(医療行為目的以外で)つかまえたり遠ざけたり、移動させることは違法であるという判決がくだされている。

いっぽう日本においては、市営住宅でのペット飼育の禁止を徹底させるための指針が策定されようとしている(2013年 大阪市)
静岡県伊東市では、市営住宅全戸に「飼養中のペットの処分がなされなかった場合は、住宅から強制退去させるとの通告、ペットを飼養している入居者を知っている住民は市担当課まで通報するよう指示する」という地獄のような文書が送付された(2006年)。動物を飼っている人は市の職員の影や電話におびえ、Mさんのように、ネコを飼養していたため生活保護を打ち切られて市営住宅より退去させられ急死した方もいる。
三重県では2010年にペット飼育者を密告させる文書を全戸に配布。通報された入居者宅へ管理業者が訪問し、3ヶ月以内にペットを処分するか退去する旨の誓約書を要求(翌々月、ペット法塾植田弁護士が三重県に申し入れ、住民集会が開かれた)。


文明国であれば原理原則であることが、日本では守られていません。
密告させるなど恥ずかしいことが、まかりとおり、動物の権利も、人の権利もないがしろにされています。


そのほか、ペット法塾のおこなった行政アンケート結果(地域ネコ活動支援型の自治体ほど、殺処分数が減少しているなどの結果が出されています)についての話もありました。
また、二年以上健康や安全を保持することが困難な場所に犬を拘束し、痩せさせ、全身に皮膚炎、膿皮症を発症せしめた虐待について、被疑者不明のまま告訴した事例(2013年)なども掲載されています。
この犬は「鳴かない」「ケージから出られない」「ほふく前進でしか歩けない」「うずくまった状態で用便をすませる」「抱くと硬直する」など繁殖犬と考えられる症状が見られるそうです。
こんなむごいことを許さず、正しく怒り、弾劾していかなければなりません。


上記、「動物法交流会」で配布された資料より引用しています。
当日の資料のご入用な方は、ペット法塾へ尋ねてみて下さい。
uedalaw@skyblue.ocn.ne.jp(植田法律事務所)




vegv
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