人の「心の病気」のために実験に使われる動物

人の、恐怖や不安や「うつ」をなくすために、さまざまな動物実験が行われています。


人の外傷性ストレス障害(PTSD)の薬を開発するために行われる動物実験
SPS負荷ラットに試験薬を15日間投与したあと、ラットを箱に入れて4秒間の電気ショックを与える。24 時間後にまた同じ箱に入れた際の恐怖すくみ時間を計る』
PTSD:強い恐怖感を伴う経験をした人が、その経験を思い出して恐怖を感じたりパニックになったり、人生に絶望したりするなどの症状


SPS負荷ラット
心的外傷後ストレス障害(PTSD)として学際的に認められているモデル
SPSラットの作成方法
2時間の拘束→20分の強制水泳→15分間の休憩→エーテル麻酔を負荷
拘束にはこのような方法があります
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強制水泳とは出口のない容器に動物を入れて強制的に泳がせることです

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このようにして動物に恐怖を与え心に傷を負わせ「PTSDモデル」をつくり、実験に使っています。
グラクソ・スミスクライン社の販売する薬「パキシル」でも、上記のような動物実験が行われています。
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201300142/340278000_21200AMY00200_A100_1.pdf



人の「うつ」に効く薬を調べるために行われる動物実験
学習性無力試験(絶望状態においた動物の反応を見る試験)
尾懸垂試験法
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『マウスの尾にテープを貼り付け、そのテープに穴を開けて懸垂用のフックに掛けます。逆さ釣りの状態をマウスは嫌がるので初めは暴れますが、次第にあきらめて無動となります。この状態を"絶望状態"と呼び、10分間中の無動であった時間(無動化時間)を計測します。抗うつ薬は無動化時間を短縮させる(絶望状態にさせない)効果があるので、抗うつ薬のスクリーニング法として用いられています。』
マウスが吊り下げられている下の写真と文は、星薬科大学のサイトより。

ほかにも絶望状態を作り出す動物実験方法があります。
シャトルアボイダンスを使う方法
下の動画の装置が「シャトルアボイダンス」です。音が鳴った後で、床に電撃が流されるとマウスはとなりの部屋へ逃げます。

真ん中のしきりを閉めると、マウスは電撃が流れても逃げることができなくなります。これを繰り返すとマウスは絶望し、無力になり動かなくなります。この状態で試験薬を投与し、しきりを開け、電撃を与え、マウスが隣に移動した回数から、その薬の効果をみます。
絶望状態をつくらせる「装置」にはさまざまなものがあり、星薬科大学では下のような電流の流れる装置を使っています。
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人の「不安」に薬物がどう作用するかを調べるための動物実験
コンフリクト試験
レバーを押すと餌が与えられるようにして、マウスにレバー押し行動を行うよう訓練した後、餌と同時に電気ショックを与える(絶水を施したマウスに水を飲むと電気ショックを与えるという設定もある)。
マウスは電気ショックを恐れ、レバー押し行動を行わなくなる 。(水は飲みたいが飲めないという葛藤(コンフリクト)状態)
抗不安作用のある薬物を与えると、そのマウスは電気ショックにかまわずにレバー押しを行うようになる。




人が恐怖の記憶で苦しむことのないように行われる動物実験
1.マウスをかごに入れ、ブザーを鳴らした直後に電気ショックを与える。マウスは、電気ショックにおどろき、はげしくジャンプする。
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2.24時間後に、マウスを別のかごに入れ、ブザーを鳴らす。電気ショックの記憶がよみがえり、マウスは身をすくめる。(下写真)
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3.身をすくめた時間を計る。
この実験は群馬大学大学院医学系研究科で行われた実験です。


2015年10月 遺伝子操作でうつ病モデルマウス作製に「成功」
理化学研究所のグループは、「ミトコンドリア病」の患者がうつ病や躁うつ病を併発することに着目して、その原因となる遺伝子を操作することで、自発的にうつ症状を繰り返すモデルマウスを初めて作製し、うつ状態の原因が脳内の特定部分の機能障害と関係がある可能性が高いことを突き止めた。
http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/1/11240.html






ラットやマウスをおぼれさせたり、電撃を与えたり、身動きできない入れ物に閉じ込めたり、水が飲みたいのに飲めなくさせたり、遺伝子操作したり、人にはとうていできないことをすることで、なんらかの「新しいデータ」は得られるでしょう。実験者はその「発見」を学会で発表することができるでしょう。
でもそれだけです。

ラットを拘束しておぼれさせて作られたパキシルは、若者の自殺増加と相関関係にあることが報告されています。
2009年度の『自殺対策白書』では、自殺者が自殺したときの年齢は、精神科を受診していないグループより、受診したグループのほうが低い、となっています。
『精神科受診群は、非精神科受診群に比べて顕著に死亡時の年齢が低く、その60%が20~30代という比較的若年の成人であり、他方で、非精神科受診群の約75%が40歳以上であった』

できるだけ薬は使わないに越したことはありません。
しかし精神を追い詰められて行き場を失い、応急処置として、薬が必要なときがあります。
でもその薬をつくるために、動物実験をすることは正当化できる倫理的・科学的な理由はありません。

今使用されている抗精神薬がすべて、動物実験の結果発見されたものなのではありません。

最初の抗うつ薬であるイプロニアジドは、動物実験の結果発見されたものではありません。結核患者にこの薬を投与したところ、多幸的になるという観察が報告されたことによって、偶然に発見されたものです。
統合失調症の薬クロルプロマジンも、フランスの外科医がもともと手術後のショック症状の軽減のために使った薬が、患者に無痛覚をもたらすことが分かったことで開発されたものです。
抗躁病の薬リチウムはリウマチや痛風治療に使われていたもので、それが躁病にも効果があることが分かったものです。

(『精神疾患は脳の病気か』エリオット・ヴァレンスタイン 2008年著)




参考サイト http://kameriki.info/anxiety.html


以下、重要だと思われるコメントをいただいたので、追記します。
このコメントをいただいたことで、どうしても薬が必要なことがあるのだとわかり、記事の修正削除を行いました。

 横やりを入れるようで、申し訳ありませんが、やはり私も先のコメントの方と同様、薬を飲む我々患者を非難されたように感じました。私は躁鬱病という精神疾患を抱えており治療を続けています。躁状態の時に、多言、暴言、DV、浪費、異常な性欲、上司に対する上から目線な態度などがとまらず、入院したことがあります。現在は特に問題はありませんが、予防薬を服用しております。

 さて私が気になった点、不愉快になった点ですが、「人はどうでもいい」というよりも「精神疾患を患っている人に対して無知に基づく心無い発言をしてしまいがち」な印象を受けたことです。

具体的にはあなたが本文やコメントで書いた以下の4箇所です。

①「心の病気は、人的対応や社会的対応で治すのが基本です。」
②「あなたが悪くならないのは薬を飲んでいらっしゃらないからじゃないでしょうか?」
③「適切に使えば効果のある例もあるのですね」
④「心の病気になるととりあえずこの苦しみを何とかしてほしいと思います。とても苦しいです。一時的には救われます。でも覚せい剤と同じで、それがなければやっていけなくなります。それがほんとうに救うことになるのでしょうか?」

 こうした発言は、それを発言した側がどのような意図から発言したものであったとしても、しばしば精神疾患者を苦しめることになる可能性が高いことは理解しておかれた方がよいかと思います。

以下これら4つの書き込みについて、少しコメントします。

①病気にもよりますが、私の躁状態の場合、人的対応や社会的対応ではどうにもならなかったと思います。たとえば妻が私の話を聞いてるとき、妻が何か返答をすれば私は「なぜそんな返答しかできないんだ」と罵倒し、逆に妻が黙れば「なぜ黙っているんだ。お前はしゃべるだけの知性もないのか」と罵倒する。家族に連れられて病院に連れていかれた日、電車の中で家族に大声で怒りをぶつけ(椅子をたたく、ドアを蹴るなども、周りの乗客が引いていたようです)、診察待ち時間にも家族と大喧嘩し、診察中にも家族を罵倒するという状況でした。こんな状態の人に人的・社会的対応はまず無理だとおもいます(むしろ科学的に根拠のある有効な人的・社会的対応があるのであれば聞いてみたいものです)。

②逆に言うと「薬を飲むと悪化する(薬毒論)」ですね。私の場合は躁状態をかなり強い薬で鎮静化しました。入院中は副作用も強くでましたが、症状が良くなるのに合わせて、薬を徐々に減らし、今は予防薬のみです。これといった副作用もありません。予防薬を飲んでいることで入院中よりも症状が悪化したということもありません。

③少なくとも私には効果があるようですね。難しいのは「一般化」ですね。全体の何ケースがうまくいって何ケースがうまくいっていないのか。たとえば教員の不祥事が相次ぐと、あたかも教員全体に問題があるような印象ができてしまいますが、教員全体における問題のある教員の比率がわからないと正しいことは言えません。また「教員が」というのであれば、当然教員以外の職業集団との比較も必要です。医療の話になると、自分や知人の治った治らないの体験から、治療の効果が一般化されやすいですが、これは厳密な試薬試験をしなければわかりませんので、個人の体験談を集めていってもあまり意味はありません。もちろんわたしの治療経験もあくまで私がたまたまそうだったかもしれませんので、一般化はできません。

④少なくとも私の場合、薬物療法で救われた部分が少なからずあります。妻からも発病する以前のような温厚な性格に戻ったと言われています。またストレスがかかったとしても、極端に気分が上がったり下がったりすることなく、休めば元に戻るようになりました。さらに心の病気になったことで、心の病気を持つ人やその家族の辛さ(本の一部かもしれませんが)、心の病気への心無い発言(たとえば上に述べたあなたの発言)がどれだけ患者本人を苦しめるのか、といったことが当事者の実感としてわかるようになってきました。心の病気には、薬物療法も含めた近代西洋医学が有効である場合があることも実感できました。

 というわけで長々と書いてしまいましたが、こういう経験をする人もいるわけです。そして、私およびくろいのさんからすると、①人的・社会的対応で直すべきはずなににそれを知らないバカ、②薬をやめてなおったはずなのにそれを薬で治ったと勘違いするバカ、③効果のない治療法でも偶然なおることがある、④人間精神を薬に頼ってコントロールしようとするバカ(「覚せい剤」という喩もひどい)、と言われたように感じるわけです。

もちろん

>人への差別や搾取も看過できないものとして、原発や労働問題など、自分にできることに取り組んでいます

と考えているあなたが、精神疾患者をバカにして快感を味わっているような人間であるとは思えません。私も差別や搾取は許すべからざるものであると考えています。

ただ、医療に関する問題を扱うときは、さじ加減が非常に難しいと思いますね。医療の恩恵を受けるのは病人であり、差別の対象にもなりかねない「弱者」です。医療技術(動物実験も含む)を批判する言説は、時に医療技術がなければ困る人々に不安を与えます。両刃の剣といったところでしょうか。その辺のバランスが取れた価値観や言説がうみだせるとよいのかなと思います。




そして、もはや動物を使うのは時代遅れともいえるニュースが発表されました。
2016/11/22
脳の制御訓練で恐怖記憶を消去 PTSD治療に可能性

 人工知能(AI)を使って人の脳活動を制御する訓練をすることで、恐怖を感じたときの記憶を無意識のうちになくすことに成功したと、国際電気通信基礎技術研究所(京都府)などのチームが22日、発表した。
 災害や戦争に伴う心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療に応用できる可能性がある。一方で人々の洗脳に悪用される恐れもあり、チームは「生命倫理の有識者と慎重に使い方を検討する」としている。
 男女17人を対象に実験。赤色など特定の色の図形を見たときに、弱い電流を手首に流すという方法で実験参加者に恐怖記憶を植え付けた。
 その後、自分の脳活動を制御する訓練をしてもらった。



メモ kita
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グラクソ・スミスクラインの新薬「ヌーカラ皮下注用100mg(喘息の薬)」の動物実験

グラクソ・スミスクラインの新薬「ヌーカラ皮下注用100mg(喘息の薬)」の承認情報(2016.3.3)

マウス・サル・ウサギが実験に使われています。

http://www.pmda.go.jp/drugs/2016/P20160419002/340278000_22800AMX00404_A100_1.pdf
 

たとえば「サル 6 カ月間反復皮下及び静脈内投与試験」では
「雌雄カニクイザルに本薬 0 又は 10mg/kg が 4 週間隔で 7 回皮下投与、若しくは本薬 0、10 又は 100mg/kgが 4 週間隔で 7 回静脈内投与された。」とあります。
反復投与試験では「終了時の生存例は、血液検査のための採血を行った後全例剖検」(*)されます。つまり殺されます。
  
申請書類上だけで多くの動物が犠牲になっています。研究段階も含めると全部でどれだけの数の動物が命を奪われているのか分かりません。
 
研究開発自体は海外で行われていますが、日本のお問い合わせ窓口があったので「かわいそうなので、やめてほしい」と電話しました。
http://jp.gsk.com/jp/contact-us/healthcare/  

「自分も喘息が治らずしんどいが、動物をこんなに殺さないと薬ができないなら、新しい薬はいらない」
「代替法の研究をしてほしい」
というと窓口のかたは、変人扱いすることもなく丁寧に話を聞いてくれました。
  

グラクソは戦後最大の薬害事件の可能性があると言われているサーバリックスも販売しています。このサーバリックスでもおびただしい数の動物が殺されてしまっています。
サーバリックスの動物実験
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-102.html

同じくグラクソの鬱の薬パキシルでも、動物を「強制水泳」させる実験を行っています。動物を苦しめ殺してしまうことが当たり前になって麻痺してしまっているのだと思います。電話の窓口の方も「薬の開発に動物実験が必要」と常識のようにおっしゃってましたが、相手の同意なく命を奪うことは非常識です。
  
医薬品の申請状況はこちらから見ることができますので、「これは残酷だ」という内容のものがあったら、皆さんもぜひ各製薬会社に意見してください。

http://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/p-drugs/0020.html


*「医薬品の製造(輸入)承認申請に必要な毒性試験のガイドラインについて」参照
https://www.pmda.go.jp/files/000205438.pdf


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動物実験で効果・安全が「確認」された糖尿病薬で、10人死亡

新型糖尿病薬服用、10人死亡 厚労省、適切使用指示へ
朝日新聞デジタル 1月9日(金)5時32分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150109-00000006-asahi-ent
「昨年4月以降に相次いで発売された新型の糖尿病治療薬を服用した患者10人が死亡していたことが、各製薬会社による副作用調査でわかった。」
「朝日新聞が各社の調査を集計したところ、約3700人で約4800件の副作用報告があった。うち重篤なものは皮膚障害、尿路感染症、脱水症など630件で、10人が死亡していた。副作用報告は因果関係にかかわらず幅広く届けられる。」
無題
スープラ、フォシーガ、アプルウェイ、ルセフィ、カナグル
これらの薬すべてで、薬理試験(薬の効果を確かめる試験)、安全性試験(毒性試験)において、犬、サル、マウス、ラット、ウサギが実験に使われている。この新型糖尿病薬だけでない、動物実験が行われてOKされて世に出された薬の副作用報告のいかに多いことか。
人と動物は違う。同じげっ歯類でもモルモットとハムスターではダイオキシンの毒性試験で8000倍もの差があるのだ。ましてや人間をや。人に使う薬を動物で確かめるなど、なんと無謀な話か。

スーグラで行われた動物実験 
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201300172/index.html
フォシーガ行われた動物実験 
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400016/index.html
アプルウェイで行われた動物実験 
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400036/index.html
ルセフィで行われた動物実験 
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400033/index.html
カナグルで行われた動物実験 
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/P201400070/index.html



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製薬会社の利益のために使われる税金

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2014.6.26日付 朝日新聞1面

2007年に始まった国家プロジェクト「J-ADNI1(アルツハイマー治療薬の研究)」の事務局、バイオテクノロジー開発技術研究組合に、未審査で2億の補助金が出されていたそうです。
この「バイオテクノロジー開発技術研究組合」は製薬会社中心に29社で構成されており、本来なら企業の利益のために研究がゆがめられることのないよう補助金を出す前に審査が行わなければなりません。
しかしそれが行われていなかったということです。
2億円の補助を受けたバイオテクノロジー開発技術研究組合の理事長を務めるのはエーザイの内藤社長。その組合の主要職にはエーザイの出向社員が就き、全国38の病院から集まってくる臨床データを管理するのもエーザイの出向社員だそうです。

日本国家のプロジェクト「J-ADNI1」はエーザイをはじめとする製薬会社からなるバイオテクノロジー開発技術研究組合が代表となり補助金を直接受けており、データの所有権も得ているそうです。

製薬会社にとっては市場拡大を狙える、実に魅力のある国家プロジェクトです。補助金ももらえます。

関係者の間では
「製薬会社による製薬会社のための国費研究」
と指摘されていたそうです。


エーザイの事情
以下朝日新聞4面より抜粋
『エーザイの主力商品であるアルツハイマー治療薬アリセプトは、2010年に米国で特許が切れて米国での売り上げが90%以上減り、11年に国内での特許も切れた。エーザイは治療薬開発をめざし07年に始まった国家プロジェクト「J-ADNI1」に当初から出向者や資金を出すなど積極的に関与』


アリセプト
この特許の切れたエーザイのアルツハイマー治療薬「アリセプト」では、その毒性試験・薬効試験で、ラット、犬、マウス、うさぎ、モルモットが実験に使われています。

アリセプトの承認審査情報より、以下ごく一部抜粋
・経口投与による毒性試験では、マウス及びラットでは急性症状及び最小致死量ともに大差なかったが、犬では最小致死量がマウス・ラットに対して低く毒性が強く発現した。マウス及びラットの死亡例では、肺にうっ血、および失血がみられることから呼吸抑制による死亡とみられた。

・0.3、1、3、8mg/kgをゼラチンカプセルで犬に一日一回、13週間の予定で経口投与した。投与量は7日間及び4週間予備試験において10mgで痙攣、摂食量減少、肝障害がみられたため8mgを最高用量とした。しかし8mg投与後2日目までに雄雌各2匹が死亡し、雌1匹は切迫屠殺(瀕死状態にある場合に行う屠殺)した。

・1、4、16mg/kgの用量でラットの妊娠7日から14日まで経口投与し、母、胎児、出生児への影響を検討した。投与量は妊娠ラットをもちいた予備試験で5mg/kg以上で縮瞳(瞳孔が過度に縮小すること)、10mg/kg以上で体重増加抑制、筋線維束性攣縮(筋肉が不規則にぴくぴく動くこと)、自発運動の低下及び流涙、20mg/kg以上で摂食量の低下、30mg/kgで死亡が認められたが胎児にはいずれの用量においても致死作用、催奇形成は見られなかったため16mg/kgを最高用量とした。

・マウスにおけるガン原性試験を30、60、120、180mg/kgの用量で実施した。その結果30mgでは変化は見られなかった。60mgでは雄で尿による鼠径部の被毛の汚れ、会陰部の腫脹(炎症などで腫れ上がること)の発生頻度増加が認められた。120mgでは雄雌に円背位(背中を丸くして前かがみになった姿勢)、被毛粗剛(被毛に色つやがなく、毛並みが荒れている状態)、尿による鼠径部の被毛の汚れの発生頻度の増加、体重増加抑制、摂食量減少、雄で生存率の低下、会陰部の腫脹、陰茎の嵌頓包茎の発生頻度の増加が認められた。180mgでは雄雌に円背位、被毛粗剛、尿による鼠径部の被毛の汚れの発生頻度の増加、体重増加抑制、摂食量減少、雄で生存率の低下、、自発運動の低下、脱毛、ただれなどの皮膚病変、腎臓の肥大、会陰部の腫脹、陰茎の嵌頓包茎(陰茎突出により包皮、陰茎の腫れ、壊死あるいは外傷もまれにみられる)の発生頻度の増加、雌で振戦()の発生頻度の増加が認められた。なお180mgの雄で多く発現した途中死亡/切迫屠殺例の原因は種々の臓器(包皮腺、陰茎、皮膚)などにおいて認められた慢性の炎症であると考えられた。

・ラット104週間混餌投与がん原性試験―30mgでは雌雄で脱毛、皮膚のただれ、後肢皮膚炎、皮膚膿瘍の発言頻度の増加、体重増加抑制、雄で全身蒼白化、削痩及び尿による鼠径部の被毛の汚れの発言頻度増加、摂食量減少、精巣、前立腺及び精嚢の小型化の発現頻度の増加とそれに対応する精巣の変性と石灰沈着(カルシウムが沈着し、組織が硬化する)―・・・

・ラットに薬を経口投与し、投与0.5、1、2、4、8、12時間後にそれぞれ全脳摘出し―・・

・薬を投与し、1時間後にマウスへペンチレンテトラゾール(痙攣をおこさせる薬)を腹腔内投与した。その後10分間にわたり強直性痙攣及び痙攣死の有無を観察した。

・痛覚に及ぼす影響―薬をマウスに経口投与し、1時間後に酢酸溶液(酢酸溶液を投与されたマウスには痛みにより特有の「身悶えるような症状(ライジング)」がみられる)をマウスへ腹腔内投与した。その5分後から15分間にわたり、痛みの指標として苦悶症状(ライジングシンドローム)の出現回数を観察した。
動画は上記と同様のライジングテスト



アリセプトの添付文書
このアリセプトの添付文書には以下のように書かれています。
・本剤がアルツハイマー型認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。
・アルツハイマー型認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない





1990年台に販売された認知症の薬は1兆円をこえる市場となったが、そのうち8割が効果がないことがわかり1998年から2000年にかけて次々と効能が削除されたり、承認が取り消された。
http://www2.incl.ne.jp/~horikosi/No159.htm


腐敗にかんするそのほかの記事
ディオパン



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ある製薬会社の体質「売れればいい」

2013.5.24 朝日新聞
製薬会社ノバルティスの「不適切」な行為
ノバルティスの販売する高血圧治療薬「ディオバン(バルサルタン)」。
この薬について「ディオバンには優れた効果がある」とする研究論文を5つの医科大学(京都府立、東京慈恵会、滋賀医大、名古屋大、千葉大)が出していました。
ノバルティス社はこの効果があるとする論文を宣伝に多用し、ディオパンは国内で累計1兆2000億円超を売り上げる人気薬となっていたそうでう。
しかし、このディオパンの効果を確かめる研究に、ノバルティスの社員が、身分を隠して関わっていたことが明らかになりました。
無題

ノバルティス社は計11億円あまりの寄付金を5大学に提供していたということです。
2014.1.9 毎日新聞 社説より
『昨年末までにまとまった各大学の内部調査のうち、京都府立、東京慈恵会、滋賀の3医大で、同社に都合が良い方向にデータ操作されていたことが判明した。』
http://mainichi.jp/opinion/news/20140109k0000m070077000c.html
お金を与える代わりに、自社商品に便宜をはかってもらう、そんな構造が透けて見える気がします。



ノバルティスは、チバガイギー社とサンド社という、製薬会社2社の合併によって1996年に設立された会社です。

合併前のチバガイギーが過去行なってきた「不適切」な行為
(「世界医療産業の犯罪」ハンス・リューシュ より抜粋)

1978年8月、東京地方裁判所は、国および製薬会社3社(チバガイギー、武田薬品、田辺製薬)にたいして、神経系統の病気を引き起こすオキシキノール(クリオキノール)をを含む薬品を販売したとして、有罪判決を引き渡した。(スモン薬害)
オキシキノールを開発したのはチバガイギーで、消化不良に効くとして、さまざまな名称がつけられて世界中で販売されたが、日本で少なくとも1000人が死亡し、3万人が失明や、下肢麻痺の犠牲となった。
当初チバガイギーは『日本だけがこの薬に非常な被害を受けたのであって、それは製薬会社の誇大広告を過信した日本の国民性の問題である』として自らの過失を認めようとしなかった。ところがヨーロッパ各地でも同様の死亡・失明・麻痺が明らかになってくるにつれ、その言い逃れは通らなくなってしまった。
チバガイギーがこの薬を開発するに当たって行った動物実験の記録には、相当数の動物にオキシノールを飲ませた所、ただちに動物は激しい痙攣を起こし、呼吸困難におちいって、そのほとんどがひどく苦しんで死んだ、と記録されていた。にもかかわらず、それは秘密にされ、この薬は市場に出回ったのである。添付文書には「ペットに飲ませないように」と書かれて。
これは何を意味するのか?研究者が動物実験の結果が人間に役立たないと信じていることの裏づけではないだろうか。いずれにせよ、この薬はどうせ人間が使うのだからと、市場に出されたのである。
チバガイギーはこの薬を回収すると発表したが、在庫品をすべて売りさばくだけの猶予期間は残した。


1985年12月28日付イギリス、ガーディアン紙
スイスのチバガイギーは、昨日、同社が日本の厚生省に提出していたデータを改ざんしていたことを認めた。
今回の偽データは厚生省への密告により発覚した。同社の46種の抗生物質やそのほかの薬品の安全性テストのデータだったが、これまでの、さまざまな製薬会社のデータ改ざんの中でも最大幅の不正だといわれている。日本政府はチバガイギーに対し、データよりも1/6から20日間、国内の2工場の閉鎖と、日本への輸出・販売の停止を命じた。

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ノバルティスに業務停止15日間命令 副作用報告違反で
2015/2/27
スイス製薬大手の日本法人ノバルティスファーマ(東京)が医薬品医療機器法(旧薬事法)で報告が義務づけられた重い副作用を期限内に国に報告していなかった問題で、厚生労働省は27日、同社に15日間の業務停止を命じたと発表した。期間は3月5~19日。
 副作用の報告義務違反で製薬会社が業務停止となるのは初めて。同社は期間中、代替品がない免疫抑制剤など5品目を除く医薬品106品目を販売できなくなる。
 厚労省によると、ノ社は白血病治療薬など26品目の3264人分計5093件について、把握した重い副作用情報の報告を怠った。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG27H8K_X20C15A2CR8000/


「売れればいい」の体質は、社名を変えた後も、脈々と受け継がれています。



メモ souken
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