「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」への国民の意見

牛のための第2回目のパブリックコメントがはじまっています。
(終了しました。パブコメ結果は下にスクロールすると見られます)

1回目のパブリックコメントは、アニマルウェルフェアの観点からの意見は7人と1団体だけだったそうです。

国の公的文書にどのように記されるのかということは、とても重要です。
たかが紙切れですが、それにしたがって国は動きます。

現在の骨子案には動物の視点が欠けています。
牛の代わりに、どうぞみなさんからも意見を届けてください。


「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(骨子案)」に対する国民の皆様からの御意見の募集
http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_suisin/150227.html
募集期間平成27年2月27日(金曜日)~平成27年3月6日(金曜日)17時00分必着
(終了しました。パブコメ結果は下にスクロールすると見られます)


意見例

第1  酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本的な指針
1)酪農及び肉用牛生産をめぐる近年の情勢の変化について


次の文章に【】内を追加したほうがよいと考えます。
「消費者の需要の多様化や【アニマルウェルフェアへの関心の高まり、】国際環境の変化等により、今後の発展に向けた好機も生じている。 」
OIE、FAOなどの国際機関、各国がアニマルウェルフェアに取り組んでおり、アニマルウェルフェアが畜産物の価値のひとつになりつつあります。
日本でもアニマルウェルフェア商品の潜在的な需要はあります。私どもが2014年に行った消費者アンケートでは「スーパーやコンビニで、動物福祉に配慮された畜産物(放牧飼育された肉、卵、牛乳等)を選択できるようになったほうが良い」という問いに13.8%の人が「そう思う」、54.3%の人が「ややそう思う」と答えています。「アニマルウェルフェア商品」の需要の拡大の可能性は大きいと思います。
アンケート詳細
http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=340

次の一文に【】内を追加・変更したほうが良いと思います。
「2.消費者の需要の変化
人口減少等により国内需要は減少が見込まれる中、消費者ニーズは、 【動物がより自然な状態で飼育されている、畜産場の衛生管理がしっかりしているなどの】安全・安心【な畜産物】への関心や健康志向等により多様化している。 牛乳・乳製品では、チーズ、発酵乳等の需要が増加し、牛肉では、 脂肪交雑の多い霜降り牛肉だけでなく、【赤身】の牛肉への関心も高まっている。」
消費者の考える安心・安全は、衛生管理にとどまるものではなく、飼育環境にも及びます。私どもが2014年に行った消費者アンケートでは「より自然な状態で育った動物の肉、卵、牛乳のほうが安全性が高いと思うか」という問いに26.9%の人が「そう思う」、53.3%の人が「ややそう思う」と回答しています。より具体的な表現に変更したほうがよいと考えます。
また「適度な脂肪交雑」という表現が用いられていますが、「赤身」という言葉に置き換えたほうが、消費者ニーズが脂肪交雑から離れているということが分かりやすいと思います。「消費者の志向がいわゆるサシから赤身へと移っていることが挙げられる。長らく低迷した景気動向に伴う消費者の経済性志向や、健康志向の高まり、さらには、今や65歳以上の人口が4人に1人の割合に達するほど進行している高齢化などにより、脂肪分の少ない赤身肉への需要が増加しているものとみられる。」「さらに高齢化が進行していく中で、赤身肉への需要はますます増えていくことが予想される」(2015年3月の月報「畜産の情報」より)


「3.国際環境の変化」に、課題としてアニマルウェルフェアへの対応を記載したほうがよいと考えます。OIE、FAOなどの国際機関、各国がアニマルウェルフェアに取り組み法的枠組みを作っている中、日本はアニマルウェルフェアへの対応に残念ながら遅れをとってしまっています。国際化が進む中、他国と足並みをそろえることは喫緊の課題だと思います。現在、日本政府と欧州連合(EU)間で経済連携協定(EPA)交渉が進められていますが、EUはこれまで各国との貿易協定に動物福祉の基準導入を働きかけており(※)、日本との貿易協定にも動物福祉が求められる可能性もあります。※自由貿易協定としては2002年にチリとの間で初めて動物福祉が盛り込んだのを皮切りに、その後2004 年にカナダ、2010年には韓国、中米(コスタリカ、エルサルバドル、ガテマラ、ホンジュラス、パナマ、ニカラグア)コロンビアおよびペルーへと拡大した。その他にタイおよびベトナムとの協力連携協定にも動物福祉が含まれており、ニュージーランド(2007 年)およびオーストラリア(2008 年)とは動物福祉に関する協力フォーラムを設置している。


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第1  酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本的な指針
2)酪農・肉用牛生産の競争力の強化
1.生産基盤強化のための取組


新規就農者は、アニマルウェルフェアにかかわる技術・知識の習得が必要であることを記載したほうがよいと思います。
あわせて新規就農者を育成する側の地域の関係機関や国や地方自治体などもアニマルウェルフェアにかかわる技術・知識に熟知していることが必要であることも記載したほうがよいと思います。国際的な動きをかんがみても、遅れがちな日本のアニマルウェルフェアの基盤を整えることは喫緊の課題であると考えます。
現在の畜産場では、牛に与える必要のない痛みが、慣例的におこなわれてしまっています。
たとえば牛の角の切断ですが、生後1週間に薬品で除角すれば痛みも少ないといわれていますが実際には日本の牛のほとんどが生後数ヶ月以上で角を切断されています。また、切断後焼きゴテで止血するところもあります。切断された箇所に焼きゴテを当てられる苦痛は相当なものだと思いますが、本来このような処置をする必要はないのです。「とくに気をつけることは、止血に焼きゴテを使用しないことです。牛に無用な苦痛を与え、化膿の原因にもなります。止血はティッシュペーパーを四つおりにして傷口に貼り付けるだけで十分です。出欠が多くても大丈夫。必ず血は自然に止まります」(現代農業2013年5月号より引用)また牛の角の切断に変わる処置として、全農畜産サービス株式会社は「牛の角カバー」を販売しています。この角カバーは3個セットで2500円程度と高価なものではありません。飼育者への怪我を防ぐだけではなく、角の切断の必要もなく、角の成長も抑えられます。しかし2008年に発売されてからいまだ普及にいたっていない状況にあります。こういった情報も収集し畜産関係者で共有していくべきだと考えます。

乳牛の子宮機能を研究するなど、牛の生産性を高めるための研究で侵襲的な実験が行われる可能性があるため、「優良な乳用後継牛の確保を推進」においては動物愛護管理法41条の「(動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等)」の遵守を明記したほうがよいと思います。
④ 需給環境の変化に応じた家畜改良の推進の(対応・取組)の中の
【】の部分を削除したほうがよいと考えます。
「乳用牛については、一頭当たり【乳量の向上と】供用 期間の延長による生涯生産性を高める観点から、泌乳能力と体型 をバランス良く改良する。」
「肉用牛については、生産コストの低減や多様な消費者ニーズへ の対応の観点から、早期に十分な体重に達し、【現状と同程度の脂肪交雑が入り】繁殖性等にも優れる種畜の作出や選抜・利用を推 進する。 」
乳量の高さは骨粗しょう症、第四胃変位などの病気につながり、子牛の生産性にも影響します。「世界的な傾向として、20年以上前から乳量の増加とともに繁殖成績が低下している。このことから乳量の増加が繁殖成績に大きく影響していることは明らかであり、遺伝改良による乳量の増加に栄養摂取が追いついていない可能性が示唆された。」(日本獣医師会雑誌 2013年10月号)この問題をクリアするために、泌乳持続性が高い牛の改良を進め病気のリスクを減らそうと日本は研究を進めていますが、研究がはじめられて5年たった今も結果が出ていないという状況です。肉牛の年間乳量が1000kg程度であることに比較すると、日本の乳牛の平均乳量は8100kg。中には10000kgを超えるスーパーカウもいるという状況です。これ以上牛の生理機能の限界を超えた改良を続けても得るものはないと考えます。肉用牛については、消費者ニーズは「現状と同程度の脂肪交雑」から離れてきており(※)脂肪交雑にこだわる必要はないと考えます。
※「消費者の志向がいわゆるサシから赤身へと移っていることが挙げられる。長らく低迷した景気動向に伴う消費者の経済性志向や、健康志向の高まり、さらには、今や65歳以上の人口が4人に1人の割合に達するほど進行している高齢化などにより、脂肪分の少ない赤身肉への需要が増加しているものとみられる。」「さらに高齢化が進行していく中で、赤身肉への需要はますます増えていくことが予想される」(2015年3月の月報「畜産の情報」より)

「⑥ 家畜の快適性に配慮した飼養管理の推進」に「去勢や断角などの痛みを伴う処置をする際には動物に対する苦痛やストレスを最小限にするよう施術する。これらの処置はできるだけ若いうちに実施するか、獣医師の監督や助言に基づいて鎮静または麻酔下で実施すべきである」という一文を加えたほうがよいと思います。日本では畜産動物に外科処置をする際、ほとんどの場合痛みを最小限にする配慮が行われていないからです。
2012年に採択されたOIEコード「アニマルウエルフェアと肉用牛生産方式」には、「牛には、生産効率、動物の健康と快適性、人間の安全性の理由から、痛みを伴う可能性のある処置が日常的に行われている。これらの処置は、動物に対する苦痛やストレスを最小限にするよう施術する必要がある。これらの処置は、できるだけ若いうちに実施するか、獣医師の監督や助言に基づいて鎮静または麻酔下で実施すべきである。」と書かれています。また日本の「アニマルウェルフェアの考え方に対応した肉用牛の飼養管理指針にも「除角によるストレスが少ないと言われている焼きごてでの実施が可能な生後2ヶ月以内に実施することが推奨される。また、子牛市場からの導入後に除角を行う場合は、可能な限り苦痛を生じさせない方法により行うこととする。」と書かれていますがいずれも守られていません。実態は、乳牛も肉牛も、2ヶ月以上で除角するのが一般的であり(肉牛の場合は3ヶ月以上での断角が88.4%-2009年畜産技術協会調査)農家自身の手で施術し、痛みを抑える処置が施されることはほとんどありません。

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第1  酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本的な指針
2)酪農・肉用牛生産の競争力の強化
2.畜産経営の収益力の強化


「④ 生産物の付加価値の向上」の(対応・取組)にアニマルウェルフェア食品を消費者等に訴求し、ブランド化することも盛り込んだほうがよいと考えます。
EUは家畜福祉商品ブランドとしてWelfare Quality(WQ)研究開発2004年から2009年まで実施しており、現在EUの食品企業はヨーロッパだけでなく世界市場に開拓を進めています。アニマルウェルフェア商品が世界的進展を進める中、日本の対応は生産・流通・商品化すべてにおいて遅れています。

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第1  酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本的な指針
2)酪農・肉用牛生産の競争力の強化
3.家畜衛生対策、畜産環境対策の充実・強化


「(2)畜産環境対策」に抗生物質の削減を盛り込むべきだと考えます。
世界保健機関(WHO)は、ヒト医療における薬剤耐性菌問題の原因が食用動物に抗菌性物質を使用することにあるとの観点から薬剤耐性菌が動物と人との間でどの程度分布し、広がっているかという状況を把握するためのモニタリング(耐性菌の動向調査と情報収集)の重要性を指摘しています。日本でも1999年から全国的な薬剤耐性調査が開始しており、2009年の「薬剤耐性菌についてのQ&A(農林水産省)」には『抗菌性物質を使う場合、獣医師の診断や検査結果などの根拠に基づいて「有効な薬剤」の使用を「最小限」に抑えていく、「慎重使用」に心がけていくことが大切となります。』と書かれています。
2014年、欧州連合(EU)は「昨年より抗菌剤が15パーセント減少した」と発表。イギリスの動物用医薬品総局は畜産動物単位当たりの抗生剤の使用量が4ミリグラムの低下したことを報告。 オランダでは人2007と比較して2013年は抗生物質使用量が50から60パーセントの減少したと報告しています。世界各国が畜産における抗生物質の削減に取り組んでいることを考えると、この基本指針にも対策を強化すべき問題として明記すべきだと思います。

現代の工場型の畜産から環境負荷の少ない自然循環型の持続可能な畜産業への転換を図る、ということを追加するべきだと思います。
畜産環境問題は、排泄物や臭気のみだけではありません。2006年にFAOは地球陸地面積の42%を占める(家畜用飼料を生産するために使用されている土地も含む)畜産業が環境破壊の主要原因となっていると報告しています。穀物生産で使われるエネルギーと比較すると畜産業で使われるエネルギーは膨大であり、2009年のアメリカワールドウォッチ研究所は、畜産業からの二酸化炭素排出量は少なくとも年間326億トンで、世界の年間排出量の51%に上るとしています。世界中の穀物の34%は畜産動物や養殖魚の飼料に使われ(2012年度)、反芻動物から出るメタンの除去方法を各国が研究を行なわねばならぬほど地球上の畜産動物の数は増えており、水資源にも悪影響を与えています。家畜の飼料栽培に使われる灌漑農業は水不足の大きな原因であり、また牛肉生産に必要とされる水消費量は米生産に必要とされる水消費量の20倍にものぼります。2006年、国連環境計画(UNEP)国際地球水アセスメント(GIWA)は、2030年までに17億増える人口を養う水を確保するためには、天水に頼る作物栽培を増やすともに食肉消費も減らさねばならない、と発表しています。
畜産業から出される排泄物や抗生物質、飼料用作物生産に使われる肥料・農薬は水質汚染やサンゴ礁の富栄養化・劣化など諸問題の原因となっています(FAO2006年報告)。
工場型の畜産から自然循環型の畜産に移行するということはすなわち、畜産業の縮小につながることではありますが、畜産振興、畜産の近代化に反することではないと思います。新しい畜産のあり方を検討すべき時期にきていると考えます。

「危機管理体制の強化」と関連して、「管理者は、地震、火災等の緊急事態に際して採るべき措置に関する畜産動物救護計画をあらかじめ作成する」ことを追加すべきだと思います。
2011年の東日本大震災では多くの畜産動物が取り残され、惨たらしい死を遂げました。あのようなことは二度と起こすべきではありません。そのためにはあらかじめ行政機関と連携した救護計画を立てておくことが欠かせないと思います。2012年の動物愛護管理法の改正時の附帯決議の第十に、「被災動物への対応については、東日本大震災の経験を踏まえて、動物愛護管理推進計画に加えて地域防災計画にも明記するよう都道府県に働きかけること。また、牛や豚等の産業動物についても、災害時においてもできるだけ生存の機会を与えるよう尽力し、止むを得ない場合を除いては殺処分を行わないよう努めること。」とされています。また、「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」にも「各農場においては、危機管理マニュアル等を作成し、これについて管理者及び飼養者が習熟することが推奨される。」と書かれています。私たちと同じように感受性があり苦しむことができる畜産動物が、残酷で緩慢な死を迎えなければならないことを避けるために、事前に安楽殺の方法も含めた計画を立てておくことが必要だと考えます。

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第1  酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本的な指針
2)酪農・肉用牛生産の競争力の強化
5.畜産経営の安定のための措置


アニマルウェルフェア対応のための金融上の措置の必要性を追加したほうがよいと思います。
EUでは高い基準の動物福祉を実現することを契約する農場経営者には、それに生じる追加コストと減少した所得を補う制度があります。アニマルウェルフェアの普及には、このような制度が必要だと考えます。私どもが2014年に行った消費者アンケートでは「国に、畜産動物の飼育環境の改善にもっと積極的に取り組んでほしいと思うか」という問いに19%の人が「そう思う」、59.5%の人が「ややそう思う」と答えています。政府資金を使ってアニマルウェルフェアに取り組むことに多くの国民は同意すると思います。
アンケート詳細
http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=340


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第1  酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本的な指針
3)畜産物の安全確保、消費者の信頼確保、ニーズを踏まえた生産・供給の推進


輸出拡大を図り国際競争力を高める上で、アニマルウェルフェアへの対応が欠かせないことを明記したほうがよいと思います。
OIE、FAOなどの国際機関、各国がアニマルウェルフェアに取り組んでいる中、日本はアニマルウェルフェアへの対応が遅れています。OIEはWTOの準拠機関であり、OIEが作成した動物福祉規約は貿易に対して大きな影響力を持ちます。輸出拡大を目指すならば、アニマルウェルフェアへの取り組みは必須であると思います。

「適度な脂肪交雑」という言葉は「赤身」に置き換えたほうが、消費者ニーズが脂肪交雑から離れているということが分かりやすいと思います。
「消費者の志向がいわゆるサシから赤身へと移っていることが挙げられる。長らく低迷した景気動向に伴う消費者の経済性志向や、健康志向の高まり、さらには、今や65歳以上の人口が4人に1人の割合に達するほど進行している高齢化などにより、脂肪分の少ない赤身肉への需要が増加しているものとみられる。」「さらに高齢化が進行していく中で、赤身肉への需要はますます増えていくことが予想される」(2015年3月の月報「畜産の情報」より)

「(4)畜産や畜産物に対する国民の理解の醸成、食育等の推進」において、アニマルウェルフェアの情報発信の必要性も盛り込むほうがよいと考えます。
私どもが2014年に行った消費者アンケートでは「学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動などを通じて、畜産動物の福祉の普及啓発をおこなってほしいと思うか」という問いに17.1%の人が「そう思う」55.6%の人が「ややそう思う」と答えています。また「自分が購入する畜産物(肉、卵、牛乳等)が、どのような環境で飼育されたものか知りたいか」という問いには15.6%の人が「そう思う」、53.8%の人が「ややそう思う」と答えています。生産と消費の現場の乖離により、消費者は畜産動物がどのように飼育されているのかを知りたくても知る機会が少ない状況です。そのことが日本におけるアニマルウェルフェア普及を妨げている要因のひとつであると考えます。
アンケート詳細
http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=340

「(4)畜産や畜産物に対する国民の理解の醸成、食育等の推進」の中の「特に、学校給食については、牛乳の飲用習慣の定着化だけでなく」「牛乳の飲用習慣の定着化や」「学校給食への安定的な牛乳等の供給を推進 する」という学校給食の牛乳の定着化を肯定する文章は、削除したほうがよいと思います。牛乳摂取が体に及ぼす影響や、米と牛乳という食べ合わせの問題から、学校給食で牛乳が出されることの是非については意見の分かれているところです。昨年は学校給食で牛乳を廃止した自治体もあります。牛乳については皇帝的な意見もありますが、否定的な意見も数多くあることから、結論の出ていない問題を国の基本指針の中で肯定的に記すべきではないと思います。

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第3  近代的な酪農経営及び肉用牛経営の基本的指標

飼養方法として「つなぎ飼い」と記されている部分は一律に「牛房群飼」に書き換えたほうがよいと思います。つなぎ飼いは牛のアニマルウェルフェアを著しく阻害します。私どもが2014年に行った消費者アンケートでは「日本の乳牛の多くが放牧されておらず、方向転換できない長さの綱でつながれたまま、多くの時間をすごしていることをどう思うか」という問いに23.7%の人が「やめてほしい」62.9%の人が「改善策があればやめてほしい」と答えています。放牧が不可能な立地であっても、牛房群飼は可能であると思います。
アンケート詳細
http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=340


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第4  集乳及び乳業の合理化並びに肉用牛及び牛肉の流通の合理化に関する基本的な事項

食肉処理においては HACCP導入の促進だけでなく、アニマルウェルフェア導入も促進するよう明記すべきだと考えます。
日本では、OIEの動物福祉に関する陸生衛生動物規約の「と殺」の下記の部分が守られていない状況です。
・と殺場についてすぐにと殺されない哺乳類は、常に飲水できる必要がある
・12時間以上と殺されない動物には餌が与えられなければならない

この規約ができたのは2005年ですが、それから現在にいたるまで、このコードに違反した状況が続いています。
以下に日本のと畜場における牛と豚の飲水状況を記します。
【2011年の食肉衛生検査所の調査】
牛:と畜場の50.4%で飲水できない
豚:と畜場の86.4%で飲水できない
※牛と豚の半分は前日搬入・翌日と殺

また、と畜場への私どもの聞き取り調査では「水を与えると肉質が落ちる」ために、と殺場に到着後も水を与えないというところも珍しくありませんでした。
しかしそのような考えは迷信にすぎません。帯広畜産大学の調査で、給水が枝肉の食肉格付けに影響することはまったくなかったそうです(ALIVE2015冬号参照)
アニマルウェルフェアを著しく阻害する、このような不合理で国際基準に反する状況は国を挙げて改善に取り組む必要があると思います。


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パブリックコメント結果

2015.3.20 
「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の見直しについての議論」の傍聴に行ってきました。
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酪肉近基本方針へのパブリックコメント数は全部で75件(47人)。
そのうちアニマルウェルフェアに関する意見が64件(42人)

※「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の見直しについての議論」の会議資料はこちらのサイトで公開される予定です。
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/index.html

これまでに傍聴した畜産業に関する会議内容を思いおこすと、今回もアニマルウェルフェアに関する議論はされないだろうと思っていたのですが、最後に2名の委員からアニマルウェルフェアへの言及がされました。
ただし内容は、「アニマルウェルフェアを促進すべき」というものではなく、今回のパブコメ結果にアニマルウェルフェア意見が多かったことについて「パブコメの結果を見ると、消費者は誤解している。50年前は鶏100羽飼って10羽死んでいた。今は2羽しか死なない。以前より良くなっていることを消費者に周知し、誤解を解く必要がある」「健康でなければ生産性はあがらない。以前より管理技術が向上していることを消費者に知らせる必要がある」というものでした。

畜産業関係者で、このように考える方は多いのかもしれません。
しかしアニマルウェルフェアは死亡率ではかるものではありません。アニマルウェルフェアとは「『幸福』や『良く生きること』という考え方*」であり、「家畜の快適性に配慮*」することです。
(*日本の「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」より引用)

委員の発言のように、以前のような放し飼いであれば、外敵から狙われたり天災により死亡する率は高くなります。しかしそのようなリスクがあっても屋外で自然な行動ができるのと、外敵から狙われる心配はなくても22cm×22cmの金網で囲まれた巣も砂場もないスペースで一生を過ごさなければならないことと、どちらがアニマルウェルフェアな飼育であるかは論を待たないはずです。

空調がきいて餌がいつでも食べられる金網の中と、自分で暑さ寒さをしのがねばならず、餌を探さねばならない屋外飼育を鶏自身に選択してもらうという研究では、鶏は屋外を選んだそうです。牛もそうです。すでに刈り取られた餌を食べるよりも、手間はかかるけれど自分の舌で草を刈り取り食べることを選ぶという観察事例もあります。動物は餌を与えられるより自分で餌を獲得することを好みます。しかし牛舎内に閉じ込められている牛はその欲求を満たすことができません。
アニマルウェルフェアとはこういうことです。いかにその動物らしく生きられるか、ということです。

死亡率については、本当に減っているのかどうかわかりませんでした。
ただ、50年前のデータは分かりませんが、家畜共済統計で2004年~2013年間の死廃・病傷率の推移を見ると、乳牛・肉用牛ともに死廃・病傷率に変化はありません。肉豚は2004年から2010年まで上昇し、その後減少しています。

これらのデータに、2004年以降、鳥インフルエンザで殺処分された250万の鶏、2010年の口蹄疫で殺処分された29万の牛と豚を加味すると、実際に死亡率がどうなっているのかは、わかりません。
※1棟のなかにこれらの病気を発生した畜産動物がいると、その棟の動物はすべて殺処分されます。




今回寄せられたアニマルウェルフェアの意見は基本方針に反映されていませんでしたし、委員の発言にも同意できませんが、他の委員が国民からの意見をスルーする中、このような形でも取り上げてもらったことは良かったと思います。

収益に重点が置かれる畜産分野で、動物の立場からの意見が寄せられることはとても重要です。
記録に残り、今後につなげることができます。



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「家畜改良増殖目標及び鶏の改良増殖目標」への国民からの意見

家畜改良増殖目標について、2回目の意見募集がおこなわれています。
締め切りは、2015年3月6までです。

(終了しました。パブコメ結果は下にスクロールすると見られます)

1回目(2014年)のパブリックコメントはこちら
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-130.html


家畜改良増殖目標には大きな問題があります。
乳量の増加を目指した目標は、乳牛の病気につながります。高泌乳量の乳牛ほど病気になりやすいのです。それでも乳量の増加を目指す目標が立てられています。
肉用鶏の体重目標も引き上げられています。しかしブロイラーはすでに生理機能の限界まで体重が引き上げられています。急激な体の成長に肢がついていけず歩行困難になっているブロイラーもいます。腹水症、骨格異常、跛行、これらは短期間で太るようブロイラーに徹底した品種「改良」を行った結果です。
「改良」を行うなら、産肉能力や繁殖性などの生産性だけでなく、動物の健康と福祉への配慮が必ず必要です。

「家畜改良増殖目標(骨子案)」及び「鶏の改良増殖目標(骨子案)」に対する国民の皆様からの御意見募集
http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_sinko/150227.html

募集期間
平成27年2月27日(金曜日)~平成27年3月6日(金曜日)17時00分必着

(終了しました。パブコメ結果は下にスクロールすると見られます)


ほんの一言でもいいです。
2014年の1回目のパブリックコメントには16人しか意見が寄せられませんでした。
そのうち、アニマルウェルフェアの観点からの意見は7人と1団体だったそうです。

「動物福祉に配慮した家畜増殖目標をたててほしい」
「生産性より福祉を優先してほしい」
などなんでもいいです。
動物保護の立場からの意見がたくさん集まることが、国の方針を変えることにつながります。


家畜改良増殖目標(骨子案)についての意見例

乳用牛
●「引き続き1頭当たり乳量の増加を重視した 改良を推進」「平成37年度の目 標 8,500 ~ 9000k」などの乳量増加を目指す文言は削除して、放牧に適した乳用牛の選抜、放牧技術の普及など、放牧酪農の推進を中心にした家畜改良増殖目標に変えるべきだと考えます。
放牧酪農は、骨子案にあるとおり生産コストの低減や国産飼料の自給率向上につながるだけではなく、アニマルウェルフェアの向上にもつながります。
スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど、牛は放牧される権利があるとして、夏期の2~4ヶ月間の放牧が義務付けている国もあり、国際的にアニマルウェルフェアへの取り組みが進んでいる中、繋ぎ飼育が主流の日本は方向転換を図る時期に来ていると思います。わが国の国土の7割が森林で占められていますが、その森林での酪農を成功させている例もあり、放牧酪農へシフトしていくことは不可能ではないと考えます。


●「③ 乳成分 消費者ニーズに即した良質な生乳が牛乳・乳製品の多様な用途に安定的に 仕向けられるよう、現在の乳成分率を維持するための改良を推進。」
とありますが、乳成分率についての目標は定めるべきではないと考えます。
乳成分率の目標を設定することは「乳成分率の高さ=質の高さ」という誤った基準につながってしまいます。牛本来の姿である放牧酪農では夏期と冬期の乳成分率が違うのは自然なことです。「乳成分率が高くなるほど取引価格が高くなる」という構造は、放牧酪農の普及を妨げてしまい、骨子案にある「放牧の活用を進 める」との文言に反すると考えます。

●卵子の採取、クローンなどの侵襲的な改良研究の際は動物愛護管理法41条の「(動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等)」を遵守することを盛り込むべきだと考えます。



肉用牛 
●11ページ「適度な脂肪交雑」を「赤身」という言葉に置き換えたほうが、消費者ニーズが脂肪交雑から離れているということが分かりやすいと思います。
「消費者の志向がいわゆるサシから赤身へと移っていることが挙げられる。長らく低迷した景気動向に伴う消費者の経済性志向や、健康志向の高まり、さらには、今や65歳以上の人口が4人に1人の割合に達するほど進行している高齢化などにより、脂肪分の少ない赤身肉への需要が増加しているものとみられる。」「さらに高齢化が進行していく中で、赤身肉への需要はますます増えていくことが予想される」(2015年3月の月報「畜産の情報」より)

●アニマルウェルフェアの観点から、増殖目標に「無角和種の増頭」を加えるべきだと考えます。麻酔なしで行われている牛の角の切断は、牛に苦痛やストレスを与えています。
2012年に採択されたOIEコード「アニマルウエルフェアと肉用牛生産方式」には「痛みを伴う処置の手順」の項に「動物福祉を向上させるための将来的な選択肢としては、管理戦略によってこうした処置を不要とする、処置を必要としない牛を育種する(中略)といったことが考えられる。」「(肉牛は)生産方式に応じて実用的かつ適切な場合、除角より、角のない牛を選抜する方が望ましい。」と書かれています。国際基準に沿った目標を作成すべきではないかと考えます。

●改良目標に、産肉能力や繁殖性などの生産性だけでなく、「動物の健康と福祉に配慮した改良を行う」ことも盛り込むべきだと考えます。
2012年に採択されたOIEコード「アニマルウエルフェアと肉用牛生産方式」には、「遺伝的選抜」の項に「特定の場所や生産方式に適した品種や亜種を選ぶ場合には、生産性に加えて、快適性と健康状態を考慮する必要がある。」「品種内の個々の動物は、動物の健康と福祉にとって遺伝的によりすぐれた子孫を残すよう選抜できる。」と書かれています。国際基準に沿った目標にすべきだと考えます。

●クローンなどの侵襲的な改良研究の際は動物愛護管理法41条の「(動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等)」を遵守することを盛り込むべきだと考えます。


●改良目標に繁殖能力や産肉能力などの生産性だけでなく、「動物の健康と福祉に配慮した改良を行う」ことも盛り込むべきだと考えます。
豚のアニマルウェルフェアの状態を判断する指標として「跛行」がありますが、豚の跛行は「増体の速さへの選抜に伴う骨形成不全、すなわち肢や関節の変形を起こす骨端軟骨や、肋軟骨組織の病気が主因と考えられて」(2009年2月号雑誌「畜産技術」より引用)います。跛行する母豚は耐用年数が短く、繁殖成績が劣ることを考えると、ウェルフェアに配慮することは生産性にもつながります。


●乳用牛・肉用牛と同様に、豚も「飼養管理」の項目(23ページ)に「放牧の活用を進める」ことを盛り込むべきではないかと思います。乳用牛・肉用牛の放牧と同様に、放牧養豚は国産飼料の自給率向上につながります。
以下に北海道の放牧養豚場の例を紹介します。北海道の放牧養豚場、ホープランドではブロッコリー・スイートコーンなどの収穫後の跡地に牧草の種をまき、豚が放牧されている。牧草を食べつくすと、豚はほかの畑へ転牧される。豚は収穫残さを綺麗に食べてくれると言う。このホープランドの飼料自給率は70%を超える。放牧養豚のメリットは自給率だけではない。雑草の根っこも豚は食べるため雑草の繁殖も抑えられる。排泄物処理の問題も解決する。豚の糞尿の肥料効果で、放牧跡地に作付けされた野菜は上質なものができたという。
ホープランドの放牧養豚に関する報告 
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2010/feb/spe-01.htm

●クローンなどの侵襲的な改良研究の際は動物愛護管理法41条の「(動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等)」を遵守することを盛り込むべきだと考えます。

●25ページの文章に()内を挿入したほうがよいと思います。「今後、WTO、FTA 交渉等、国際化の一層の進展が予想される中で、より一層 の生産コストの低減とともに、(アニマルウェルフェアへの配慮や、)消費者の多様なニーズに応えた高品質化等への取組が求められているところ。」
OIE、FAOなどの国際機関、各国がアニマルウェルフェアに取り組んでいる中、日本はアニマルウェルフェアへの対応が残念ながら遅れています。国際化が進む中、他国と足並みをそろえることは喫緊の課題だと思います。
現在、日本政府と欧州連合(EU)間で経済連携協定(EPA)交渉が進められていますが、EUはこれまで各国との貿易協定に動物福祉の基準導入を働きかけており(※)、日本との貿易協定にも動物福祉が求められる可能性もあります。
※自由貿易協定としては2002年にチリとの間で初めて動物福祉が盛り込んだのを皮切りに、その後2004 年にカナダ、2010年には韓国、中米(コスタリカ、エルサルバドル、ガテマラ、ホンジュラス、パナマ、ニカラグア)コロンビアおよびペルーへと拡大した。
その他にタイおよびベトナムとの協力連携協定にも動物福祉が含まれており、ニュージーランド(2007 年)およびオーストラリア(2008 年)とは動物福祉に関する協力フォーラムを設置している。


山羊
●クローンなどの侵襲的な改良研究の際は動物愛護管理法41条の「(動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等)」を遵守することを盛り込むべきだと考えます。



鶏の改良増殖目標(骨子案)についての意見例

●7ページの文章に()内の挿入したほうがよいと思います。「あわせて、地鶏等の安定的な雛の生産・供給を図りながら、和食の食材 や地域の特色ある産品(、アニマルウェルフェア食品)としての需要の裾野を拡大することにより、流通業者や消費者の認知度が高まるような取組を推進していくことが重要。」
地鶏肉は「飼育期間が 80 日以上であり、28 日齢以降平飼いで1㎡当たり 10 羽以下 の環境で飼育したもの」という日本が他国に誇れるアニマルウェルフェア商品です。
アニマルウェルフェア商品の需要もあります。私どもが2014年に行った消費者アンケートでは「スーパーやコンビニで、動物福祉に配慮された畜産物(放牧飼育された肉、卵、牛乳等)を選択できるようになったほうが良い」という問いに13.8%の人が「そう思う」54.3%の人が「ややそう思う」と答えています。「アニマルウェルフェア商品」の需要の拡大の可能性は大きいと思います。他国に比べ遅れがちな日本のアニマルウェルフェアの底上げのためにもアニマルウェルフェアの推進は必要であり、()内の文言を入れたほうが良いと考えます。


●肉用鶏の改良目標に飼料要求率や育成率などの生産性だけでなく、「動物の健康と福祉に配慮した改良を行う」ことも盛り込むべきだと考えます。
健康と福祉を無視した改良は肉用鶏にさまざまな病気をもたらしています。
「現代のブロイラー鶏の系統は、あまりにも大量の飼料を消費するよう育種されてきているため「高速成長病」ともいうべき骨格の問題や腹水症を導く」(2009年「動物への配慮の科学」より引用)
また、肉用鶏の跛行あるいは歩行異常といった筋骨格の問題の原因は栄養、 衛生、照明、敷料の質だけではなく遺伝の問題でもあるといわれています。跛行を示す肉用鶏は苦痛を感じ、食べ物や飲み水に近づくことが困難になります。
また、2013年に採択されたアニマルウェルフェアと肉用鶏生産方式には
「特定の場所又は生産システムに適った系統を選択する場合には、生産性及び成長率のほかにウェルフェア及び健康への配慮が払われるものとする」と記載されています。国際基準に沿った目標にすべきだと考えます。


●肉用鶏の能力に関する体重の目標数値が、現在の2870gから平成37年度は2900gへ増加されていますが、現在の数値を据え置く、あるいは体重の数値目標そのものを作らぬほうが良いと考えます。
自然界の鶏は成鶏に達するのに4~5か月かかるところをブロイラーは50日程度で成鶏に達するよう、徹底した育種改良が行われています。これ以上生理機能の限界を超えた改良はすべきでないと考えます。
「およそ1/4の肥満系ブロイラーと七面鳥は、生涯の1/3の期間、慢性的疼痛にさらされている」「ブロイラーでは突然死症候群は、成長率が平均よりも高い個体においてみられている」(2009年「動物への配慮の科学」より引用)

●卵用鶏の改良目標に飼料要求率や生産能力だけでなく、「動物の健康と福祉に配慮した改良を行う」ことも盛り込むべきだと考えます。
本来一日20個しか卵を産まない鶏は、300個以上産むように品種改良されています。これ以上生理機能の限界を超えた改良はすべきでないと考えます。
「生産効率のための遺伝的選抜は、健康に障害を与える。ニワトリではこの選抜が筋骨格や循環器機能に影響を与えた。高産卵数と低維持要求量(つまりそれは体重が軽い)のために選抜された雌鶏は採卵周期の終わりには骨粗しょう症になりやすい。なぜなら、骨格の多くの成分が卵殻形成に代謝されるからだ。このような鶏の骨は脆く、捕まえたり、輸送の際骨折がおきやすい」(2009年「動物への配慮の科学」より引用」

●卵用鶏の雄の廃棄問題に取り組むことを盛り込んでほしいです。
ユニリーバやHellmann'sといった大企業は孵化前に雌雄を判別する方法などで、この雄の廃棄を終了させることを発表しています。また最近ドイツではこの鶏の雄の雛の処分について裁判を起こした州があり、雄の雛がたった一日で殺されるのは不当であるとして、代替法を考えるよう判決が下されています。雛も苦痛を感じるのであり、ウェルフェア上取り組むべき問題だと考えます。


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パブリックコメント結果

2015.3.20 
「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の見直しについての議論」の傍聴に行ってきました。(家畜改良増殖目標についての議論も行われました)

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「家畜改良増殖目標及び鶏の改良増殖目標」へのパブリックコメント数は全部で145件(82人)。
そのうちアニマルウェルフェアに関する意見が109件(63人、2団体)

※「家畜改良増殖目標及び鶏の改良増殖目標ついての議論」の会議資料はこちらのサイトで公開される予定です。
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/index.html

これまでに傍聴した畜産業に関する会議内容を思いおこすと、今回もアニマルウェルフェアに関する議論はされないだろうと思っていたのですが、最後に2名の委員からアニマルウェルフェアへの言及がされました。
ただし内容は、「アニマルウェルフェアを促進すべき」というものではなく、今回のパブコメ結果にアニマルウェルフェア意見が多かったことについて「パブコメの結果を見ると、消費者は誤解している。50年前は鶏100羽飼って10羽死んでいた。今は2羽しか死なない。以前より良くなっていることを消費者に周知し、誤解を解く必要がある」「健康でなければ生産性はあがらない。以前より管理技術が向上していることを消費者に知らせる必要がある」というものでした。

畜産業関係者で、このように考える方は多いのかもしれません。
しかしアニマルウェルフェアは死亡率ではかるものではありません。アニマルウェルフェアとは「『幸福』や『良く生きること』という考え方*」であり、「家畜の快適性に配慮*」することです。
(*日本の「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」より引用)

委員の発言のように、以前のような放し飼いであれば、外敵から狙われたり天災により死亡する率は高くなります。しかしそのようなリスクがあっても屋外で自然な行動ができるのと、外敵から狙われる心配はなくても22cm×22cmの金網で囲まれた巣も砂場もないスペースで一生を過ごさなければならないことと、どちらがアニマルウェルフェアな飼育であるかは論を待たないはずです。

空調がきいて餌がいつでも食べられる金網の中と、自分で暑さ寒さをしのがねばならず、餌を探さねばならない屋外飼育を鶏自身に選択してもらうという研究では、鶏は屋外を選んだそうです。牛もそうです。すでに刈り取られた餌を食べるよりも、手間はかかるけれど自分の舌で草を刈り取り食べることを選ぶという観察事例もあります。動物は餌を与えられるより自分で餌を獲得することを好みます。しかし牛舎内に閉じ込められている牛はその欲求を満たすことができません。
アニマルウェルフェアとはこういうことです。いかにその動物らしく生きられるか、ということです。

死亡率については、本当に減っているのかどうかわかりませんでした。
ただ、50年前のデータは分かりませんが、家畜共済統計で2004年~2013年間の死廃・病傷率の推移を見ると、乳牛・肉用牛ともに死廃・病傷率に変化はありません。肉豚は2004年から2010年まで上昇し、その後減少しています。

これらのデータに、2004年以降、鳥インフルエンザで殺処分された250万の鶏、2010年の口蹄疫で殺処分された29万の牛と豚を加味すると、実際に死亡率がどうなっているのかは、わかりません。
※1棟のなかにこれらの病気を発生した畜産動物がいると、その棟の動物はすべて殺処分されます。




今回寄せられたアニマルウェルフェアの意見は基本方針に反映されていませんでしたし、委員の発言にも同意できませんが、他の委員が国民からの意見をスルーする中、このような形でも取り上げてもらったことは良かったと思います。

収益に重点が置かれる畜産分野で、動物の立場からの意見が寄せられることはとても重要です。
記録に残り、今後につなげることができます。





kita

「養豚農業の振興に関する基本方針」に対する国民からの意見

ブタのための第2回目のパブリックコメントがはじまっています。
(終了しました。結果は下にスクロールしていただくと見られます。)
http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_kikaku/150302_1.html
プレゼンテーション1

第1回目に集まったパブコメは406名。うちアニマルウェルフェアの立場からの意見は20数件。
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-149.html

2013年のカナダの「豚の飼育と取り扱いに関する規約」(code of practice)の草案に対するパブリックコメントには32340件の個々の批判が寄せられたそうです。

日本でブタがその必要がないのに麻酔無しで去勢され、母豚が狭い方向転換もできない檻に閉じ込められ、鶏のスペースが22センチ×22センチしかないのは、ほとんどの人が肉を食べているのにほとんどの人が意見を届けないことが原因のひとつだと思います。

「妊娠ストールの廃止を盛り込んでほしい」という一言だけでも、たくさん意見が集まれば国の方向性を変えることができます。



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意見提出方法
「養豚農業の振興に関する基本方針(骨子案)」に対する国民の皆様からの御意見の募集

http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_kikaku/150302_1.html
(終了しました。結果は下にスクロールしていただくと見られます。)


意見例

(1)養豚農業の振興の意義及び基本的な事項に関する事項

■養豚農業の課題として、アニマルウェルフェアへの対応を追加するべきだと考えます。
OIE、FAOなどの国際機関、各国がアニマルウェルフェアに取り組み法的枠組みを作っている中、日本はアニマルウェルフェアへの対応に残念ながら遅れをとっています。
国際化が進む中、他国と足並みをそろえることは喫緊の課題だと思います。現在、日本政府と欧州連合(EU)間で経済連携協定(EPA)交渉が進められていますが、EUはこれまで各国との貿易協定に動物福祉の基準導入を働きかけており(※)、日本との貿易協定にも動物福祉が求められる可能性もあります。※自由貿易協定としては2002年にチリとの間で初めて動物福祉が盛り込んだのを皮切りに、その後2004 年にカナダ、2010年には韓国、中米(コスタリカ、エルサルバドル、ガテマラ、ホンジュラス、パナマ、ニカラグア)コロンビアおよびペルーへと拡大した。その他にタイおよびベトナムとの協力連携協定にも動物福祉が含まれており、ニュージーランド(2007 年)およびオーストラリア(2008 年)とは動物福祉に関する協力フォーラムを設置している。

■養豚農業の課題として、現代の工場型の畜産から環境負荷の少ない自然循環型の持続可能な畜産業への転換を図る必要性を追加すべきだと考えます。畜産環境問題は、排泄物や臭気のみだけではありません。2006年にFAOは地球陸地面積の42%を占める(家畜用飼料を生産するために使用されている土地も含む)畜産業が環境破壊の主要原因となっていると報告しています。穀物生産で使われるエネルギーと比較すると畜産業で使われるエネルギーは膨大であり、2009年のアメリカワールドウォッチ研究所は、畜産業からの二酸化炭素排出量は少なくとも年間326億トンで、世界の年間排出量の51%に上るとしています。世界中の穀物の34%は畜産動物や養殖魚の飼料に使われ(2012年度)ているというほど畜産動物の数は増えており、水資源にも悪影響を与えています。家畜の飼料栽培に使われる灌漑農業は水不足の大きな原因となっており、2006年、国連環境計画(UNEP)国際地球水アセスメント(GIWA)は、2030年までに17億増える人口を養う水を確保するためには、天水に頼る作物栽培を増やすともに食肉消費も減らさねばならない、と発表しています。また、畜産業から出される排泄物や抗生物質、飼料用作物生産に使われる肥料・農薬は水質汚染やサンゴ礁の富栄養化・劣化など諸問題の原因となっています(FAO2006年報告)。大規模畜産から自然循環型の畜産に移行するということはすなわち、飼育頭数の縮小を意味しますが、畜産振興、畜産の近代化に反することではなく、新しい畜産のあり方を検討すべき時期にきていると考えます。

■基本的な対応方向として「放牧養豚の活用を進める」ことを盛り込むべきだと考えます。放牧養豚は「耕作放棄地の解消」「農場残さの循環」「農業の六次産業化」というメリットがあり、乳用牛・肉用牛の放牧と同様に、放牧養豚は国産飼料の自給率向上にもつながります。以下に北海道と鹿児島の放牧養豚場の例を紹介します。
○北海道の放牧養豚場、ホープランドではブロッコリー・スイートコーンなどの収穫後の跡地に牧草の種をまき、豚が放牧されている。牧草を食べつくすと、豚はほかの畑へ転牧される。豚は収穫残さを綺麗に食べてくれると言う。このホープランドの飼料自給率は70%を超える。放牧養豚のメリットは自給率だけではない。雑草の根っこも豚は食べるため雑草の繁殖も抑えられる。排泄物処理の問題も解決する。豚の糞尿の肥料効果で、放牧跡地に作付けされた野菜は上質なものができたという。ホープランドの放牧養豚に関する報告http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2010/feb/spe-01.htm
○鹿児島の農業生産法人えこふぁーむでは、地域に点在していた耕作放棄地に豚を放牧し、農地として再生させた土地を活用して飼料作物や西洋野菜の生産をおこなっているそうです。自社農場で生産したトウモロコシなどの飼料を給与することにより、飼料費の低減も実現させています。(えこふぁーむについては農畜産業振興機構「畜産の情報」2014年5月号を参照)


■基本的な対応方向として、母豚の妊娠ストール飼育から群飼育への切り替えを盛り込むべきだと考えます。
EU、スイス、アメリカの9つの州、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなどは妊娠ストールがすでに廃止あるいは今後廃止することが決まっています。海外では企業単位での動きはさらに加速しており、2014年に穀物メジャーのカーギル社、ブラジル国内食品製造第2位のシェアのブラジルフーズが妊娠ストール廃止を決定したのは記憶に新しいところです。今後、WTO、FTA 交渉等、国際化の一層の進展が予想される中で、各国と足並みをそろえる必要があると考えます。
妊娠豚の群れ飼育は経営的にも技術的にも十分成立することが欧米で明らかにされており(※)、群飼育の推進を妨げる理由はありません。
日本の多くの国民もストール飼育には問題があると考えています。
私どもが2014年に行った消費者調査では「母豚が、管理をしやすいように、方向転換できず、立つか寝るか以外は身動きの取れない檻(ストール)に拘束されていることをどう思うか」という問いに29.9%の人が「やめてほしい」57.8%の人が「改善策があればやめてほしい」と答えています。
アンケート詳細http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=340
(※2009年7月号「畜産技術」を参照)

■基本的な対応方向として、アニマルウェルフェアの普及啓発をおこなうことを盛り込むべきであると考えます。
アニマルウェルフェアに配慮された畜産物は、安心安全であり、自然食品として高価格でも価値のあるものですが、現在日本の消費者の理解が進んでいません。そのため、アニマルウェルフェアに配慮された生産方法の普及が進まず、さらに消費者はアニマルウェルフェアに配慮されが畜産物に触れる機会も入手する機会もないままとなり、結果的にアニマルウェルフェアの普及を停滞させることになっています。私たちが2014年に行った生活者に対する調査では、「学校、地域、家庭等における教育活動、広報活動などを通じて、畜産動物の福祉の普及啓発をおこなってほしいと思う」と考える人は、72.7%(「そう思う 17.1%」「ややそう思う 55.6%」)となっており、多くの人が学ぶ機会を欲していることを示しています。
アンケート詳細http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=340



(2)養豚農家の経営の安定に関する事項

■アニマルウェルフェア対応のための金融上の措置の必要性を追加するべきだと考えます。EUでは高い基準の動物福祉を実現することを契約する農場経営者には、それに生じる追加コストと減少した所得を補う制度があります。アニマルウェルフェアの普及には、このような制度が必要だと考えます。日本でもアニマルウェルフェア予算が充てられていますがその額は年間1500万円で、EUの日本円にして150億円という予算に比べると、アニマルウェルフェアへもっと国を挙げて取り組む必要があると考えます。
私どもが2014年に行った消費者調査では「国に、畜産動物の飼育環境の改善にもっと積極的に取り組んでほしいと思うか」という問いに19%の人が「そう思う」、59.5%の人が「ややそう思う」と答えており、国民もアニマルウェルフェアへの取り組みを求めています。アンケート詳細http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=340

■災害の予防等の推進に、「管理者は、地震、火災等の緊急事態に際して採るべき措置に関する畜産動物救護計画をあらかじめ作成する」ことを追加すべきと考えます。2011年の東日本大震災では多くの畜産動物が取り残され、惨たらしい死を遂げました。再び同じ惨事をおこさないために、あらかじめ行政機関と畜産農家が連携し、救護計画を立てておくことが必要です。2012年の動物愛護管理法の改正時の附帯決議の第十に、「被災動物への対応については、東日本大震災の経験を踏まえて、動物愛護管理推進計画に加えて地域防災計画にも明記するよう都道府県に働きかけること。また、牛や豚等の産業動物についても、災害時においてもできるだけ生存の機会を与えるよう尽力し、止むを得ない場合を除いては殺処分を行わないよう努めること。」とされています。また、「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」にも「各農場においては、危機管理マニュアル等を作成し、これについて管理者及び飼養者が習熟することが推奨される。」と書かれています。私たちと同じように感受性があり苦しむことができる畜産動物が、残酷で緩慢な死を迎えなければならないことを避けるために、事前に安楽殺の方法も含めた計画を立てておくことが必要だと考えます。



(4)豚の飼養衛生管理の高度化に関する事項

■農業従事者や地域の関係機関や国や地方自治体などはアニマルウェルフェアにかかわる技術・知識に熟知する必要があることを記載したほうがよいと考えます。国際的な動きをかんがみても、遅れがちな日本のアニマルウェルフェアの基盤を整えることは喫緊の課題であると考えます。畜産農家がアニマルウェルフェアの情報にアクセスできていないことから、豚に対して必ずしも必要のない痛みが慣例的に与えられているという状況があり、早急な改善が必要だと考えます。たとえば豚の雄臭をコントロールするためにの外科去勢に変わる処置として、インプロバックという免学的去勢製剤があります。オーストラリアでは10年の使用実績があり、安全性は確認されており、食肉の残留検査で、ワクチンが検出されることもありません。睾丸の除去による免疫力の低下も防ぐことができます。またワクチンの摂取オス豚は、外科的去勢オス豚に比べると自然なパターンで発育することができるため、飼料効率がよく、糞量も少なく、環境にやさしいそうです。アニマルウェルフェアと生産性の両面でメリットのある雄臭コントロール方法ですが、2010年に日本で承認されて以来、日本では普及にいたっていません。
去勢だけではなく、尾かじり予防の尾の切断も慣例的におこなわれていますが、その有効性に疑問を呈する研究もあります。「ブタが尾かじりを行う原因は正常行動の不十分な発現だけではない。尾かじりを予防するための断尾が、その尾かじりを助長させているという報告もある。イギリスの92農場を対象として尾かじりが起こる危険因子を調査したところ、断尾を行うことによって尾かじりが起こるリスクが3倍にも増加していた。」(「畜産技術」2014.9月号より引用)こういった情報も収集し畜産関係者で共有していくべきだと考えます。
消費者も畜産動物に与える痛みを問題視しています。
私どもが2014年に行った消費者調査では「去勢や角切り、尾切り、クチバシなどの体の部位の切断が、犬や猫とは違って麻酔なしで行われていることをどう思うか」という問いに「やめてほしい」と答えた人は33.7%、「改善策があればやめてほしい」と答えた人は53.3%という結果でした。
産官学が一体となってアニマルウェルフェア向上に取り組むことは消費者も望むことであると考えます。
アンケート詳細http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=340


■高度な飼養管理として、繊維質の飼料給与の促進を盛り込むべきだと考えます。一般的に豚には粗飼料が給餌されませんが、豚にも繊維質の飼料が必要です。「豚は配合飼料だけでは円滑な成長・繁殖を営むことができない」(「家畜飼育の基礎」2000年)。肥育豚の3/4が胃潰瘍であるといわれていますが、その原因の一つとして粒子の細かい飼料や、粗線維の不足が挙げられています。また繊維質の飼料給与は、尾かじり予防にもつながります。
「豚は「噛む」行動に強く動機づけられており、その行動を抑えると仲間の尾やわき腹を「噛む」ようになる。群飼では「噛む」行動を刺激する物の提供が必要とされる。(中略)欧州評議会指令では、十分な嵩のある高繊維質の餌の給与が規定されている。(2009年7月号「畜産技術」より引用)また、「味が良い」と評判のTOKYO Xの豚には繊維質の飼料が与えられており、繊維質の飼料給与は肉質にも好影響を与える可能性があります。

■正常行動等の発現を促すための工夫の必要性を盛り込むべきだと考えます。
「オガコ豚舎や発酵床システ ムの場合、豚が自ら好きな場所 を掘り返すこと等ができ正常 行動の発現にプラスとなりま す。 また、ボールや鎖を豚房内に 設置することで、ルーティングに変わる遊戯行動を行うこと ができ、行動レパートリーの多 様化につながることから、試験 等でストレス減少の可能性が示唆されています。」(2014年作成 アニマルウェルフェアの向上を目指して -AWを向上させるための飼養管理-より引用)



(5)安全で安心して消費することができる豚肉の生産の促進、消費の拡大に関する事項

■アニマルウェルフェア食品のブランド化を盛り込んだほうがよいと考えます。 EUは家畜福祉商品ブランドとしてWelfare Quality(WQ)研究開発2004年から2009年まで実施しており、現在EUの食品企業はヨーロッパだけでなく世界市場に開拓を進めています。アニマルウェルフェア商品が世界的進展を進める中、日本の対応は生産・流通・商品化すべてにおいて遅れています。
また、日本におけるアニマルウェルフェア食品の需要の拡大は期待できるものと考えます。
私どもが2014年に行った消費者調査では「平飼い卵(放し飼い)や放牧豚肉など、動物福祉に配慮された食品を購入するようにしている」という問いに「はい」と回答したのは8.6%にすぎませんでした。しかし同時に「動物の福祉に配慮したお肉や乳製品、卵製品を購入するために、現在の平均的な価格と比較して、あなたはいくら多く支払うことが出来ますか。」という質問に「1.1倍~1.3倍」と答えた人は38.2%、「1.3~1.5倍」と答えた人は12.4%、「1.5~2倍」と答えた人は4.7%、「2倍以上」と回答した人は3.4%という結果でした。58.7%の人はアニマルウェルフェア食品にお金を支払うことができると回答しています。現在は8.6%に過ぎないアニマルウェルフェア食品の購入者を、今より増やすことは十分可能であると考えます。
アンケート詳細http://www.hopeforanimals.org/animalwelfare/00/id=340



(6)その他養豚農業の振興に関し必要な事項

■2013年に発表された「動物福祉と生産衛生を考慮した家畜の係留・追込みおよびと畜についての指針」の周知・普及をはかることを盛り込むべきだと考えます。((財)日本食肉生産技術開発センターが、日本中央 競馬会特別振興資金助成を受けて策定した指針)
日本のと畜場での動物の扱いは、国際基準に反しています。
OIEの動物福祉に関する陸生衛生動物規約の「と殺」には以下が明記されています。・と殺場についてすぐにと殺されない哺乳類は、常に飲水できる必要がある・12時間以上と殺されない動物には餌が与えられなければならないこの規約ができたのは2005年ですが、それから現在にいたるまで、このコードに違反した状況が続いています。以下に日本のと畜場における牛と豚の飲水状況を記します。【2011年の食肉衛生検査所の調査】牛:と畜場の50.4%で飲水できない豚:と畜場の86.4%で飲水できない※牛と豚の半分は前日搬入・翌日と殺また、と畜場への私どもの聞き取り調査では「水を与えると肉質が落ちる」ために、と殺場に到着後も水を与えないというところも珍しくありませんでした。しかしそのような考えは迷信にすぎません。帯広畜産大学の調査で、給水が枝肉の食肉格付けに影響することはまったくなかったそうです(ALIVE2015冬号参照)アニマルウェルフェアを著しく阻害する、このような不合理で国際基準に反する状況は国を挙げて改善に取り組む必要があると思います。

■ブタの改良研究や臨床教育の際に、動物愛護管理法41条の「(動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等)」を遵守しなければならないという文言を盛り込むべきだと考えます。豚肉生産には豚に対する臨床研究や緊急時の対応の習得がかかせませんが、このための実習技術を学ぶために生体がつかわれています。しかし近年麻布大学では生体では全員が十分な実習を受けられない、動物の苦痛が一定限度以上に発生することが多い、などの理由から代替法としてブタの模型を作成しています。畜産業の一環としてこういう動きを促進させるべきだと考えます。


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パブリックコメント結果

2015.3.18
「第3回 養豚農業の振興に関する基本方針について意見を聴く会」の傍聴に行ってきました。
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基本指針へのパブリックコメント数は全部で258件。
そのうちアニマルウェルフェアに関する意見が210件
(内、妊娠ストール廃止の意見は125件)

※「養豚農業の振興に関する基本方針について意見を聴く会」の会議資料はこちらのサイトで公開される予定です。
http://www.maff.go.jp/j/study/yoton_nougyo/index.html

残念ながら、アニマルウェルフェアの意見は基本方針に反映されていませんでしたが、収益に重点が置かれる畜産分野で、動物の立場からの意見が寄せられることはとても重要です。
記録に残り、今後につなげることができます。



kita

養豚農業の振興に関する基本指針


2014年につくられた養豚振興法にもとづき、養豚振興についてどういった基本指針をつくるかの検討が行われています。

第一回パブリックコメント(2014.9.30終了)
「養豚農業の振興に関する基本方針」の検討における国民の皆様からの御意見 ・御要望の募集について
http://www.maff.go.jp/j/press/seisan/c_kikaku/140710.html

2014年6月27日に「養豚農業振興法」が施行され、同法第3条で「養豚農業の振興に関する基本方針」を策定することとされています。
養豚農業の振興に関する基本方針には以下の事項を定める事とされています。
・養豚農業の振興の意義及び基本的な方向に関する事項
・養豚農家の経営の安定に関する事項
・国内由来飼料の利用の増進に関する事項
・豚の飼養に係る衛生管理の高度化に関する事項
・安全で安心して消費することができる豚肉の生産の促進及び消費の拡大に関する事項
・その他養豚農業の振興に関し必要な事項

上記6点について、農水省はわたしたちに意見を求めていました。

意見例

養豚農業の振興の意義及び基本的な方向に関する事項

●国際原則である動物福祉の「5つの自由(飢えと渇きからの自由、恐怖と悲しみからの自由、不快からの自由、通常行動への自由、病気と苦しみからの自由)」を盛り込むなど、畜産動物福祉の向上を基本的な方向のひとつとしてほしい。と畜場では水飲み場が設けられていないところがあり、妊娠ストールでは、豚は方向転換という当たり前の行動もできない。麻酔なしでの体の一部の切断も一般的に行われている。こういった状況を持続させるのではなく、改善していくという方向を示してほしい。

養豚農家の経営の安定に関する事項

●動物福祉に配慮した経営ができるよう、福祉レベルの向上にかかわる費用を補助する政策を盛り込んでほしい。養豚農家が動物福祉に配慮した経営をしたいと考えても、豚1頭あたり3万円程度の取引では生産コストを下げざるを得ず、放牧養豚の実施や妊娠ストールを廃止することは困難である。EUでは、畜産動物福祉の法定基準に農業者が達するための補助措置や法定基準以上の高い動物福祉をおこなう農家に減少した所得を補う直接支払い制度がある。日本にもそういった制度が必要だと考える。


国内由来飼料の利用の増進に関する事項

●国内飼料で、なおかつ豚の健康に良い飼料の利用増進をしてほしい。一般的に豚には粗飼料があまり給餌されないが、豚にも繊維質の飼料が必要である。「豚は配合飼料だけでは円滑な成長・繁殖を営むことができない」(「家畜飼育の基礎」2000年)。肥育豚の3/4が胃潰瘍であるといわれるが、その原因の一つとして粒子の細かい飼料や、粗線維の不足が挙げられている。

●自然循環型の放牧養豚を推進する内容にしてほしい。
北海道の放牧養豚場、ホープランドではブロッコリー・スイートコーンなどの収穫後の跡地に牧草の種をまき、豚が放牧されている。牧草を食べつくすと、豚はほかの畑へ転牧される。豚は収穫残さを綺麗に食べてくれると言う。このホープランドの飼料自給率は70%を超える。放牧養豚のメリットは自給率だけではない。雑草の根っこも豚は食べるため雑草の繁殖も抑えられる。排泄物処理の問題も解決する。豚の糞尿の肥料効果で、放牧跡地に作付けされた野菜は上質なものができたという。
ホープランドの放牧養豚に関する報告 http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2010/feb/spe-01.htm

豚の飼養に係る衛生管理の高度化に関する事項

●衛生管理の手法のひとつとして放牧養豚を推進する内容にして欲しい。
年々、養豚の予防衛生管理技術は向上してきているが、同時に豚の疾病は増加傾向にある(「ブタの科学」2014年)。どんなに衛生管理につとめても結局のところ工場型の大規模養豚場では豚は本来の習性を発揮できず、常にストレスにさらされている。そのような環境は病気予防に適しているとはいえない。2013年にFAO(国際連合食糧農業機関)は「1940年以降新たに出現したヒトの感染症の約7割は動物起源だ」とする報告書を出しており、その原因の一つとして工場型の畜産の拡大をあげている。
より自然な状態での豚を飼育する事こそが、高度な衛生管理でではないだろうか。

●抗生物質の使用削減を盛り込んで欲しい
アイオワ大学は2014年に「大規模養豚場の近くに住む人は、抗生物質耐性感染症のリスクが高くなる。」と報告している。また同年WHO(世界保健機関)は感染症治療で使われるさまざまな抗生物質が多くの国で効かなくなっていると発表している。抗生物質で病気を予防しようとしても結局のところいたちごっこであり、それよりも抗生物質を使用しないでよい飼育環境にするほうが根本的解決になるのではないだろうか。山梨県の放牧養豚農家では抗生物質の投与をおこなっていない。ストレスのない自然に近い環境で飼育し免疫力を高める事で、日常的な抗生物質の投与をなくすことは可能である。

●妊娠豚ストールを廃止し、母豚の群飼育への移行を促進する内容にして欲しい。
EUでは既に妊娠豚ストールは廃止されており、2014年6月には穀物メジャーのカーギル社が2017年までに妊娠豚ストールの廃止を発表した。カナダも廃止に向けて動いているところである。このストールは動物福祉の観点から容認しがたい大きな問題のあるものであり、このストールを使って生産された豚肉は、今後国際的に通用しなくなると思われる。ストールの廃止にはクリアしなければならないさまざまな問題があると思うが、方向転換もできない檻の中で日本の母豚の多くが一生のほとんどの時間を過ごしている事を考えると、廃止にむけて取り組む価値は大きい。

●免疫去勢製剤の普及を盛り込んで欲しい
外科的処置をともなわない、免疫去勢製剤(インプロバック)がすでに2010年、日本で認可されているにもかかわらず、日本ではほとんどの豚に麻酔なしでの去勢が行われている。麻酔なしでの去勢により、心的外傷性疾患や腹膜炎で死亡したり、ストレスから発育や免疫力が落ちる傾向があることが知られている。オーストラリアやニュージーランドでは10年以上の使用実績があり安全性が確認されており安全性に問題はない。またワクチンを摂取したオス豚は、外科的去勢オス豚に比べると自然なパターンで発育することができるため、飼料効率がよく、糞量も少ない。生産性・動物福祉・病気予防全ての点に置いてメリットのある免疫去勢製剤を、高度な衛生管理の手法として推進していただきたい。

安全で安心して消費することができる豚肉の生産の促進及び消費の拡大に関する事項

●動物福祉食品の普及を目指す内容にして欲しい。
放牧や、歯・尾の切断を行っていない、スノコではなくオガクズを使用しているなどの動物福祉に配慮された豚肉は、消費者が見て分かりやすいようラベルをつけるなどして、動物福祉食品(フリーダムフード)の普及に努めるべきだと思う。
2012年に生協組合員を対称におこなわれたアンケート(715人)では、86.6%が「動物の飼育環境についてより多くの情報をのぞむ」と答えている。2009年に東京食育フェアで行われた動物福祉に関するアンケート(672人)では85.9%が「価格と家畜の福祉のバランスが大切」と答えている。しかし現実に日本のスーパーに並んでいる畜産物を見て、動物がどのように飼育されたものなのかどうか、消費者は判断することができない。動物福祉のラベルのついた畜産物を普及させることは、畜産動物福祉という考えを浸透させることにもつながる。

その他養豚農業の振興に関し必要な事項
●災害時の畜産動物の救護体制の強化を盛り込んで欲しい。
東北大震災では原発警戒区域内に飼育されていた3万頭ほどの豚が放置されたまま餓死しており、こういったことの二度と起こらぬよう災害時の豚の避難先、避難が難しいのならば安楽殺させるなど速やかな行動がとれるよう、救護計画を立てておく必要があると考える。また停電時に換気扇がとまって豚が大量に死ぬということが起こっている(※)。換気や、給餌・給水等の設備が自動化された豚舎においては、停電時に備え、自家発電機や代替システムを整備する等を義務付けることも必要だと考える。
※アニマルウェルフェアに対応した家畜の飼養管理に関する検討会
平成 20 年度 第1回豚分科会議事録より
「停電で換気扇がとまって豚が大量に死んだというのは、それこそ同じぐらいの規模の農場の人と勉強会なんかをやっていると、12~13 軒の中の、例えばここ 5 年以内に 2 人とか 3 人がそういう事故、で例えば豚が何百頭死んだりとか、恥ずかしい話ですけれども現実に、そういうのは起こっているのですよね。換気扇がとまってしまって窒息死したとか。」

●環境への配慮から、養豚の飼養規模拡大を抑え、放牧養豚を推進して欲しい。
年々1戸あたりの飼養頭数は増えており、肥育豚の70%が2000頭以上の養豚場で飼育されている。規模の拡大は、機械化、施設化、畜産と耕種部門の分離につながる可能性が高く、そのような工場型の畜産は石油エネルギーに依存しており環境への負荷が高いものになってしまう。近年の異常気象に見られるように環境破壊は深刻であり、自然循環型の放牧養豚を推進すべきと考える。





2014.10.9「第1回 養豚農業の振興に関する基本方針について意見を聴く会」 で、パブコメの結果が公開されました。

無題

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傍聴された方の話では、ウェルフェアのウの字も出なかったそうです。

2014.10.24 農林水産省 生産局 畜産部 畜産企画課に、動物福祉に関する意見がどれくらい寄せられたのかを確認したところ、

・動物福祉に関する意見は、個人・団体を含め二十数件寄せられた
・「ストール廃止の意見は、ほかにも寄せられていないか」との問いには、きちんとした統計は取っておらず、多めに寄せられた意見を「主な意見」といして掲載したとのこと。
・農業従事者(養豚業とは限らない)からも動物福祉に関する意見は寄せられた、とのことでした。




2015.2.6「第2回 養豚農業の振興に関する基本方針について意見を聴く会」の傍聴に行ってきました。
基本方針の「案」にはアニマルウェルフェアという言葉が一言だけ出てきます。

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たったこれだけ。
会議ではアニマルウェルフェアについて議論される事はありませんでした。
動物保護団体からの声がもっともっと必要です。

3月上旬には第三回傍聴会が開催されます。
3月中旬には第二回目のパブリックコメントが行われます。
傍聴会は誰でも参加できます。
今日の傍聴会は動物保護団体のPEACEアニマルライツセンターも行っていましたが、動物の立場から関心を持つ人がもっと集まれば、方針も変わると思います。
動物の立場からのパブリックコメントがもっとたくさん集まれば、方針は変わると思います。

わたしたち動物の権利を守ろうとするものにとっては、日本が動物をどう扱うかを決める重要な基本指針です。
一人でも多くの人に関心をもってもらいたいです。





kitara

酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針・家畜改良増殖目標等

酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針・家畜改良増殖目標等
について、農林水産省が国民からの意見を募集しています。

酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針及び家畜改良目標は、それぞれ酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律及び家畜改良増殖法に基づき、酪農及び肉用牛生産の振興・家畜の改良施策に関し、政府が中長期的に取り組むべき方針を定めたものであり、情勢変化等を踏まえ、概ね5年ごとに定めるものとされています。




農林水産省より

新たな基本方針及び家畜改良増殖目標の検討にあたり、国民の皆様からのご意見・ご要望を議論に取り入れる
ため、ご意見・ご要望を募集します。

1. ご意見・ご要望の募集について
国民の皆様からのご意見・ご要望を効果的に議論に取り入れるため、2回に分けて募集を行います。

第1回募集(平成26年4月4日~9月30日):基本方針及び改良増殖目標全般についてのご意見・ご要望を募集します。
第2回募集(平成26年12月~平成27年1月末):畜産部会での議論を踏まえた、新たな基本方針及び改良増殖目標に対するご意見・ご要望を募集します(予定)

2. ご意見・ご要望の提出方法について
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/rakuniku_kihon_houshin.html




第1回募集はもう始まっています。
現在の「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」には動物福祉からの視点が欠けています。また生産性を重視した家畜改良はすでに畜産動物たちに大きな負担を強いていますが、さらにそれが推し進められようとしています。
環境問題、水不足、飢餓問題という地球規模の観点からいうと、畜産の「近代化」とは畜産業の縮小を図ることだと思われますが、そういった内容も欠落しています。
みなさんからも、どうぞ意見を届けてください。



(それぞれの項目ごとに200字程度にまとめたほうがよいそうです。一つの項目で600字になるなら、それを3つに分けて、一つの項目で3つ意見を出せばよいです。)


酪農経営
国際的に進められているアニマル・ウェルフェアへの取り組みを、日本でも推進すべき。
その一つとして、放牧主体の酪農への積極的な転換を図るべきである。
動物本来の習性を発揮できる放牧酪農はコストの削減につながるだけではなく、高い生産性にもつながる。東京大学の鈴木宣弘教授によると、「オーストラリアやニュージーランドでは牛乳1リットルあたりの生産コストが15~20円程。それに対し、日本は北海道で70円、本州で80円ほど。」とのこと。牛舎での効率を重視した飼育は、自然な放牧スタイルよりコストがかかり、動物への負担も大きい。日本と同じ地理的条件のスイスは放牧が主流であり、日本も放牧主体の酪農は不可能ではないと思われる。

アニマル・ウェルフェアの欠如からおこる疾病や異常行動への対策を充実させるべき
たとえば、乳牛の跛行についてデータをとり床材・飼料・管理方法の改善をはかるべき。跛行は乳牛に苦悩と激しい痛みを与えるだけではなく、生産性にも影響を与える。イギリスでは農業水産食料省の調査で、乳牛の跛行はウェルフェアの問題だと認識されている。
また、本来子牛は1時間に6000回母牛の乳を吸うと言われており、産まれてすぐに母牛から分離される子牛は、乳に似たあらゆるものに吸い付くという異常行動を起こすことが知られている。バケツ哺乳ではなく人工乳首で吸乳できるように変えることで、消化酵素の分泌が大幅に増加することがわかっており、子牛の成長を促すためにも、母牛の乳を吸いたいという強い欲求を満たせるよう配慮すべきである。

畜産の近代化を図るためには、国際的に推進されている動物福祉への取り組みは欠かせない。
その一つとして、牛の行動を著しく制限する繋ぎ飼育の規制を検討していくべき。
スウェーデン、ノルウェー、フィンランドでは、牛は放牧される権利があるとし、夏期の2~4ヶ月間の放牧が義務付けられている。また繋ぎ飼育する場合にも、スタンチョンストールに比べ、タイストールの方が牛の行動の束縛がきつく、繋留方法も規制を検討すべき。



肉用牛経営
脂肪交雑を目的とした、ビタミンAの給与制限に明確な基準を設けるべき。
ビタミンAは、視力維持に必要な成分。欠乏がひどくなると盲目になりやすく、現実に盲目や視力が低下している肉牛がいることがわかっている。また肉牛の「突然死」もビタミンAの給与制限に起因するとの指摘もある。

動物福祉の観点から、牛肉の生産情報公表JAS規格の見直しを検討すべき。
生産情報公表JAS規格は、食品の生産情報(誰が、どこで、どのように生産したか)を消費者に提供する仕組みであるはずだが「どのように生産されたか」の情報がない。
健康にのびのびと飼育された牛の肉を食べたいというのは、健康志向の高まっている昨今においても 多くの消費者の望むところであり、飼育方法について
放牧か舎飼いか、尾・角の切断の有無、去勢の方法、舎飼いにおける1頭あたりの飼育面積、
などの情報も公表するべきと考える。

畜産の近代化を図るためには、国際的に推進されている動物福祉への取り組みは欠かせない。
断角は肉牛に負担を強いるものであり、その是非について議論をしていくべき。
断角をやむをえず行う場合も、ヨーロッパでは角の先だけ切断し、ゴムの角カバーを付け、攻撃力を弱めることで対処しており、福祉に配慮した方法を日本でも普及させていくべき。
また断角(除角)の時期であるが、「アニマルウェルフェアに対応した飼養管理指針」では「除角によるストレスが少ないと言われている焼きごてでの実施が可能な生後2ヶ月以内に実施」することが推奨されているが、日本で断角される肉牛のほとんどは3カ月以上で断角されている。断角する場合は、子牛市場に出す前に行うよう転換していくべきである。



畜産物流通(生乳・食肉)
消費者のニーズに応えた、動物福祉食品の流通の拡大を図るべきである。(放牧畜産認証制度や、JAS規格の有機畜産物の拡大)
2009 年 「東京都食育フェア」で、672人におこなわれたアンケートでは放牧牛乳を購入する意思があるかについて尋ねると、価格が高くても購入したいが40%。1 パック 350 円の放牧養鶏卵でも購入すると答えた消費者が 49%と半数近くいた。しかし現実にはこういった商品を置いている小売店は少ない。放牧畜産認証を受けているのは45件、JAS有機畜産物はたったの8件しかなく、消費者が動物福祉に配慮された食品を手に入れることは現状困難である。 

「乳脂肪3.5以上」を見直すべき。
スーパーで売られているのは、乳脂肪3.5%以上の牛乳ばかりだが、3.5以上を維持するには、放牧酪農を行うことは困難である。夏期の水分の多い草を食べた牛の乳と、冬の水分の少ない草を食べた牛の乳の乳脂肪率が違うのは本来当然のことであり、濃厚飼料を減らし、放牧酪農を拡大させるには、夏は脂肪分が低く、冬は高い、こういった牛乳が当たり前に流通するしくみをつくるべきである。



家畜改良
生産性だけではなく、動物福祉に配慮した家畜改良をするべき。
生産性を求めた遺伝的選抜は、畜産動物に過度な負担を強いる結果となっている。
ブロイラーは、急激に成長するよう改良されており、突然死症候群は成長率が高いブロイラーほど多いことがわかっている。イギリスの研究では、ブロイラーの30%近くは体を支えることが難しく歩行困難となり、3%はほとんど歩行不能となっているとのことである
採卵用鶏は、本来なら1年間に20個程度の産卵を300個にまで人為淘汰によって増やされている。こういった、少量の餌でたくさんの卵を産ませるために行われてきた遺伝的選抜は、鶏の骨をもろくしてしまった。自らに必要なカルシウムも卵のとして輩出され、と殺のための出荷前の捕鳥作業時、輸送のときに骨折しやすいことが知られている。

人工授精から自然交配への転換を
人工授精は、技術の未熟さや不注意による生殖器病を起こす可能性がある。注入器を膣内にいれ、人の腕を直腸から奥深くに挿入して行う人工授精は、動物の自然な姿からはかけ離れたものであるだけではなく、100万~200万頭の牛を2000頭ほどの種牛の精子で受精させていくというやり方は、遺伝的多様性を減少させることにもつながる。年々人工授精成功率が下がっていることとも、これと無関係とはいえないのではないだろうか。人工授精から自然交配の繁殖に切り替えていくべきである

生産性を向上するために、暑熱対策、良質な飼料や水の給与等の飼養管理のみではなく、動物の本来の習性が発揮できる環境づくりに取り組むべき。
疫学研究によれば、広々とした空間で少ない羽数で飼育されると、採卵用鶏は多く産卵し、死亡率が低くなることが分かっている。また、群飼や輸送回避といったストレスフリーで育った豚は、体重が増えることが分かっている。群飼は動物同士のけんかが多くなるともいわれるが、たとえば豚の隠れ場所を用意することで豚同士のけんかは減るし、鶏に止まり木を与えることで攻撃性を減らすことができる。

競争用馬の改良の停止
競走馬はあまりにも大きな負担を強いられており、こ以上の改良に歯止めをかける必要べき。
競走馬は「速く走る」ことに特化した交配と淘汰の結果、体重に対する足の太さが限界まで細くなってしまっていると言われている。 細い4本の脚で400〜500kgの体重を支えるには負担が大きく、骨折しやすい。骨折すると、残りの3本の足で体重を支えることができず、多くは殺処分されてしまう。競走馬としての調教の過程の負担も大きく、中央競馬では毎年1000頭の馬が「ソエ」(骨が出来上がっていない成長期の若い馬に、限度を超える調教を行うことで発症する病気。強い痛み、跛行、重度になると亀裂骨折する )を発症している。
またJRA研究所によると競走馬の8割が胃潰瘍になっているという。
競馬人口は減ってきており、現在の競走馬の負担の大きさを考えると、畜産振興の一環としての競馬そのものを見直す必要があると考える。

乳牛改良の目的を、乳量増加に置くべきではないと考える。
肉牛であまり見られない乳牛の産後の起立不能はカルシウム不足が主要原因といわれているが、乳量増加に着目した改良が、カルシウム不足の要因と考えられないだろうか。年々乳牛1頭あたりの乳量は増加しているが、たくさん乳を出すということはたくさんのカルシウムを排出するということであり、乳牛の産後の起立不能は、乳牛の高泌乳量と無関係ではないはずだ。高泌乳牛は病気にかかり易いとはよく言われることであり、 第四胃変位も高泌乳牛群に多い傾向があり、その発生率は 3~15%に及んでいる(2008年 日産合成工業株式会社 学術・開発部資料)。
すでに日本の乳牛1頭当たりの乳量は世界トップクラス(約8000kg)であり、EUの平均(6669kg)と比較しても高いのである。これ以上の乳量を重視した改良には歯止めをかけるべきと考える。



飼料
濃厚飼料ゼロを目標にすべきと考える。
近年、牛の第四胃変位が増えてきているといわれており、濃厚飼料多給が大きな原因のひとつと言われている。牛は本来牧草を食べる生き物であるし、濃厚飼料ゼロの飼育は可能なのである(国内の養老牛山本牧場では濃厚飼料ゼロである)。持続可能で自然循環型の畜産を目指すためには濃厚飼料ゼロを目指すべきである。



畜産環境
環境破壊の対策の一つとして、畜産業を縮小していくべきである。
米国のワールドウォッチ研究所が2009年に発表した論文によると、畜産業からの二酸化炭素排出量は少なくとも年間326億トンで、世界の年間排出量の51%に上るとしている。OIEは2011年から2015年までの第5次戦略会議で「家畜生産と地球環境」をあげており、畜産業から出されるメタンガスの軽減などが課題となっている。畜産業、特に牛が環境破壊の主要要因のひとつであることは、すでに2006年にFAOが報告しているところである。
地表面積の30%を占める畜産業は、環境問題と密接に関係しており、畜産業の縮小は早急に取り組むべき課題と考える。

食料危機・水不足を回避するために、畜産業を縮小すべきである。
2012年イギリスのガーディアン誌は「壊滅的な食糧危機を避けるためには、今後40年間で世界人口はほぼベジタリアンにならなければならないだろうという警告を出している。また国連は2025年には世界中の2/3の人が水不足に陥るだろうといっており、国連環境計画は、「2030年までに17億増える人口を養う水を確保するためには、天水に頼る作物栽培を増やすともに食肉消費も減らさねばならない」と発表している。

飼養規模拡大を推進すべきではない。
すでに日本における1頭あたりの飼養規模は高い。EUでは乳牛の平均飼養頭数が33頭、日本は72頭。規模の拡大は、機械化、施設化、畜産と耕種部門の分離につながる可能性が高く、そのような工場型の畜産は石油エネルギーに依存しており環境への負荷が高いものになってしまう。また、飼養規模拡大は、資金のある大手が生き残り小農家がつぶれることにつながる可能性が高いのではないか。ノルウェーでは農場サイズを制限する法律を持っている、6次産業の促進のためにも、そのような小農業の保護につながる施策をとるべき。



畜産物の高付加価値化
動物福祉食品をひとつのブランドして推進するべき。
イギリスやアメリカなど海外では、動物福祉に配慮された畜産物がラベルをつけて販売されている。農水省の畜産振興事業の一つに動物福祉を入れ、福祉向上に取り組む農家や、動物福祉に関する研究に補助金を出す制度をつくるなどして、動物福祉食品の普及に努めるべきである。



家畜衛生 
家畜伝染病予防のために、動物福祉を充実させるべき。
家畜伝染病と動物福祉のは切り離せないものとして、OIEはじめ各国で動物福祉への取り組みが進められている。しかし日本においては畜産動物に関して拘束力のある規制はなく、海外で禁止されつつある繁殖用のメス豚のストール(檻)飼育や、採卵用鶏のバタリーケージが一般的に行われるなど、動物福祉への取り組みが非常に遅れている。



その他 
食育の一環として、畜産動物福祉についての啓発も推進していくべきである。2011年に行われた畜産動物に関するアンケート(環境省)では82%の人が「アニマルウェルフェア」という言葉を知らないと回答している。国際通念となっている「アニマルウェルフェア」であるが、日本では多くの人に知られていない。そのため「アニマルウェルフェアの考え方についての賛否」という問いついては55%の人が「どちらともいえない」と答えている。畜産物を食する国民へ、動物福祉についての情報を提供するのは畜産振興を推進する国の義務であり、社会一体となって畜産動物福祉について議論していく体制を整えるべきである。


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このパブコメの結果
意見数
61 件、16 人(法人・団体含む)
なお、61 件中 39 件(7 人・1 団体)はアニマルウェルフェアの観点からの意見
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/tikusan/bukai/h2606/pdf/sanko.pdf

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第2回のパブコメ(2015年)
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-category-27.html



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