熱湯・ガスバーナーなどで猫を虐待死

  • Day:2017.09.03 00:39
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熱湯をかけるなどして猫を殺したとして、警視庁は、さいたま市見沼区御蔵の税理士を動物愛護法違反の疑いで逮捕したと8月29日に発表した。


熱湯やガスバーナーで猫殺した疑い 動画で通報、男逮捕(朝日新聞デジタルニュース2017.8.29)


記事には「捕獲器に猫を閉じ込め、熱湯を浴びせたり、ガスバーナーで焼いたりして殺したというもの。」とあるが、実際の行為は文字から想像するよりもずっと残酷だ。


逃げられないよう捕獲器に閉じ込めた猫に少量ずつ数回に分けて熱湯をかけ、爆竹、ガスバーナーなども使用された。ほとんど動けなくなったところで捕獲器から出され、肛門からの水注入、歯の切断なども行われている。十数分にわたり拷問が繰り返される動画もある。


 


事件の概要


掲載する写真は動画共有サイトにアップロードされた動画からキャプチャーした画像だ。

2016年3月から2017年6月にかけて、この容疑者のものと思われる猫の虐待動画は計10本、動画共有サイトに投稿された。


*ここから画像が挿入されるため、見たくない方はこちら


 


 


 


 


 


1本目(47秒)

2016.3.25に投稿


捕獲器に閉じ込められた猫に熱湯がかけられた。熱湯をかけられた猫の背中の一部の皮は剥げ、むき出しになった。




2本目(4分)

2016.4.18に投稿


捕獲器に閉じ込められた猫に5回にわたり熱湯がかけられた。虐待者が熱湯の入った鍋をもって近づいてくるたびに猫は虐待者を威嚇し抗議の声を上げるが、5回目の後では激しい呼吸を繰り返し横たわったままになった。




3本目(1分3秒)

2016.6.5に投稿


熱湯で満たしたペール缶の中に、猫を浸けたり出したりと繰り返された。動画の終わりには動けなくなった。



4本目(5分)

2016.6.5に投稿


捕獲器に閉じ込められた猫に8回にわたり熱湯がかけられた。虐待者が近づいてくるたびに這って逃げようとしていたが、動画の終わりには、激しい呼吸を繰り返し横たわったままになった。





5本目(7分30秒)

2016.11.22に投稿


少しずつ熱湯をかけられるよう鍋ではなくひしゃくが使用された。11回にわたり熱湯がかけられ、弱ったところに顔に集中して熱湯がかけられた。最後にはまったく動かなくなった。




6本目(11分1秒)

2017.1.15に投稿


爆竹がケージの中に投げ入れられ、その後9回にわたり熱湯がかけられた。荒い息を繰り返しほとんど動けなくなったところでケージから出されて、肛門からの水の注入、歯の切断が行われた。動画の最後にはまったく動かなくなった。




カメラに収まりやすいようケージの位置を直している



7本目-10本目


ここからは残酷性がさらに高いため、キャプチャー画像は掲載しない。7本目からは熱湯と同時にガスバーナーが使用されるようになり、さらにエスカレートする。弱って動けなくなったところで、目や足裏、肛門などを集中的にガスバーナーであぶる、などの拷問が繰り返された。


 


二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金


目をそむけたくなる虐待の内容を記したのは、罪に対して罰が見合っているかという問題提起をしたいためだ。

これだけのことをやっても、動物愛護管理法ではもっとも重くて「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」にしかならない。二年以下なので執行猶予がつくことさえある。

刑法では「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その執行を猶予することができる。」とされているからだ。


実際に2011年、里親サイトから仔猫を貰いうけ虐待、虐殺を繰り返した男は懲役3年、執行猶予5年という判決を受けている*が、執行猶予がつくということは刑務所に入らなくてよいということを意味する。


罪を重くすれば犯罪が減るなどという単純な問題ではないだろう。

しかしどんな判決になろうとも、もっとも重くて「二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金」なのだ。このレベルの罰則で本当に動物を守ることができるのだろうか。




2ちゃんねるには動物虐待を楽しむ掲示板「生き物苦手@2ch掲示板」が存在する。この掲示板の中で、これまでこの容疑者のものと思われる動画がすべて共有されてきた。投稿された虐待動画をみなで「賞賛」し「次はこんな動画を頼む」などとリクエストし、動画の回数を追うごとに拷問の内容はエスカレートしていった。

動物の命が軽んぜられ、一年以上にわたりこのような拷問動画が10本もインターネットで共有されるのを許してしまったのは、今の動物愛護管理法が動物を守る抑止力として十分ではないということの表れだといえるのではないか。




2018年は5年に一度の動物愛護管理法改正だ。

現在、法改正に向けた署名を集めている。

人間から動物を守ることのできる、実行力のある法改正になるよう、署名へご協力をお願いしたい。


 


動物愛護管理法改正の署名


 


 


2ちゃんねる


この容疑者のものと思われる動画は10本とも、2ちゃんねるの動物虐待を楽しむ掲示板「生き物苦手@2ch掲示板」で共有された。

この動画は回を追うにつれて虐待の内容がエスカレートしていったが、その原因のひとつにこの掲示板がある。

今回逮捕された容疑者の撮影したと思われる1本目の動画は、2016.3.25に「生き物苦手@2ch掲示板」に投稿され、10本目のものは2017.6.24に投稿されている。

この間、容疑者の投稿した動画に対して「すばらしい」「こういった(虐待)方法をしてほしい」「次の動画が楽しみ」などのコメントがつき、はじめは熱湯だけが使用されていたものがエスカレートし、ガスバーナーやペンチなども使用されるに至っている。


アニマルライツセンターは2ちゃんねるの管理・運営者に動物虐待を助長する「生き物苦手@2ch掲示板」の閉鎖を求めるとともに、今後このような掲示板が作成された際速やかに削除できる監視体制を整えることを要望していく。


懲役刑を求める署名


今回の容疑者に対して(執行猶予のつかない)懲役刑の実刑を求める署名が立ち上がっている。



https://goo.gl/Dnf3jA




この容疑者は逮捕→送検され、これから起訴か不起訴かが決まる。起訴されれば裁判が行われ法廷で判決が下されることになる。


2016年の法務省の検察統計によると、動物愛護管理法の被疑事件114件のうち33件が起訴、57件が不起訴となっている(残り24件は「ほかの検察庁に送致」)。

33件の起訴のうち「公判請求」は4件、「略式命令請求」は29件

57件の不起訴のうち「起訴猶予」は48件、「嫌疑不十分」は8件、「心神喪失」は1件**。


不起訴の理由の多くが「起訴猶予」だが、今回の事件は"本人が深く反省している"などの理由で起訴猶予としないよう、きちんと起訴してほしい。また、起訴されても罰金のみで済ませる「略式命令請求(略式起訴)」になってしまう事例も多いが、これは略式命令罰金で済ませられる事件ではない。公判請求(起訴)が相当の犯罪だ


犯人には服役して、命の尊厳とは何なのかということをしっかり考えてもらいたい。自分の犯した罪の重さを自覚してほしい。私たちと同じように動物も感受性があり、喜び、苦悩する。人間の命と同じように、動物の命もかけがえがないのだ。


 


*傍聴時の書き取り記録 /裁判所名:横浜地方裁判所 川崎支部 刑事部/日時:2012年5月23日/事件名:動物の愛護及び管理に関する法律違反、詐欺/事件番号:平成23年(わ)第589号等http://nijinyanko.homepagelife.jp/saiban.html
**参照:罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001189603 被疑事件の件数に含まれているのは動物虐待、殺傷罪の44条だけではありません。そのほかの罰則(動物取扱業関係など)も含まれています。

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「血統」のためのペットの悲鳴

  • Day:2016.08.23 21:37
  • Cat:
写真はフェイスブックより
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スコティッシュフォールド
耳が前に垂れ下がっていることが特徴的な猫。
見た目の「愛らしさ」からブリーディング(繁殖)が行われ、
日本では100,000~300,000円で販売されています。
しかしイギリスではスコティッシュフォールドの繁殖は法的に禁止されているそうです。

なぜか?
『スコティッシュフォールド同士を交配すると、多くの子孫が生後早期に歩行障害を示すことが判明。
発祥した猫は、変形や短縮した足を持ち、レントゲンですぐに判明するような成長板を傷害するような異常所見が得られる』
ことが分かったからです。
http://blogs.yahoo.co.jp/matubarahos/27770488.html?fb_action_ids=10200728424732466&fb_action_types=og.likes&fb_source=other_multiline&action_object_map=%7B%2210200728424732466%22%3A10150813575285332%7D&action_type_map=%7B%2210200728424732466%22%3A%22og.likes%22%7D&action_ref_map=%5B%5D
遺伝病です。
かわいらしいやカッコいい、見た目が特徴的なペットを作り出すために行われる、選択的繁殖が原因です。

耳の軟骨が正常でないから、耳が折れ曲がっています。
その「特徴」は全身に影響を及ぼします。


スコティッシュフォールドが遺伝的にかかえる「骨軟骨異形成症」はあらゆる軟骨に瘤を作らせ、四肢を腫れ上がらせ、かさぶた上の潰瘍を作らせます。骨軟骨異形成症を発症したスコティッシュフォールドは抱きかかえると嫌がるそうです。痛いからです。

猫よりもっと、選択的なブリーディング、近親交配が行われている犬では500種類の遺伝病が確認されています。
キャバリアは、脳の大きさが頭蓋骨より大きくなっているそうです。
安楽死せざるを得ない飼い主もいるそうです。
その痛みは想像に余りあります。

2012年放送 続・犬たちの悲鳴 ~ブリーディングが引き起こす遺伝病


2008年放送 犬たちの悲鳴 ~ブリーディングが引き起こす遺伝病



2016年7月29日
遺伝病のペットが日本で放置されているのはなぜか
http://diamond.jp/articles/-/97098?page=2

きっかけは、2016年5月26日の 朝日新聞朝刊に載った記事。
「ペットショップで買った犬が病気だった――。そんなペットに関するトラブルが後を絶たない。犬猫の飼育頭数が減少傾向に転じ、犬の販売頭数も減っているとされるが、国民生活センターに寄せられる相談件数はなかなか減らない」
 …で始まり、その一因は「高リスク繁殖」にあり、「見た目のかわいさだけを考えて先天性疾患のリスクが高まるような繁殖が行われている。消費者としては、様々な疾患が見つけやすくなる生後3ヵ月から半年くらいの子犬や子猫を買うことが、自己防衛につながるでしょう」という獣医師のコメントで締められていた。
「リスクが高まるような繁殖」って? 消費者は、飼わなければ自己防衛できるとして、先天性疾患(遺伝病)を持ったペットたちはどうなるの?
 気になって調べ出した。

 かつて日本獣医師会会長を務め、現在は2015年3月に発足した一般社団法人『犬の遺伝病研究会』の理事長をしている山根義久氏は話しだした。
「ドイツでは遺伝子をチェックし、子孫に高い確率で病気が発現しそうな、繁殖に向かない個体については、繁殖禁止です。日本はチェックをせず、人気の犬種を無制限に繁殖させています」
 日本のブリーダーは大概個人で、専門の教育機関もなく、誰でも簡単になることができるため、ドイツやイギリスのような動物愛護先進国と比べ、ブリーダーの質にはばらつきがあり、遺伝病や繁殖に対する知識も低い場合が多いという。
「動物愛護の点では、日本はとんでもない後進国ですよ。でもね、資金力が乏しいブリーダーたちに、責任を全部負わせるのは酷な話です。医学的な研究も進んでいない分野ですから。獣医師でも、遺伝病のことはあまり分かっていない」

驚くことに、法制化されたにもかかわらず、まったく進展していない事例もある。平成14年10月に施行された『身体障碍者補助犬法』だ。
「同法では、補助犬となる犬の遺伝病の診断についても、付帯事項で検討を進めることになっていましたが、進展していません。補助犬(特に盲導犬)を増やそうと取り組みを始めたのはいいが、育成期間が終了した後で、股関節形成不全、進行性網膜萎縮、特発性癩癇といった遺伝病が発症し、そこまでに費やした2年前後の歳月と200万円あまりの経費がふいになってしまう事態が考えられます。
 現状として、候補犬を選択する段階でこれら遺伝病に対する適切なスクリーニング検査が行われていないこと、さらに候補犬選択が行われる年齢では確定診断できない疾患があることなどが問題です」
 普通、「リスクの高い繁殖」と聞けば、「血が濃い」関係での近親交配が思い当たる。
ならば、悪徳ブリーダーを指導して近親交配を禁止し、徹底させればいい?
 あるいは、遺伝病を持つペットを販売しないよう、不届きなペットショップに対し、徹底した健康診断を義務付ければいいのか?

 否。そんな勧善懲悪で片づけられない3層の障壁が、この問題には立ちはだかっている。
 まず、第1に、ブリーダーが譲渡前に検査を受けようにも、多くの遺伝病は、検査法や診断法が確立されていないし、遺伝病自体の研究も進んでいない。
 第2に、獣医師やペットショップが、販売前に発見できる遺伝病は限られている。
 そして、第3に、生後4ヵ月~1年ぐらい経過した後の販売なら、病気の有無を見極められる確率は若干高まる。しかし現状は「消費者が求める、より小さくて、かわいい」生後45日からの販売が一般的で、平成25年に施行され、欧米では常識になっている「8週齢未満の犬猫を販売してはならない」という規制さえ、徹底されていない。
 8週齢未満で親兄弟から引き離された犬猫は、吠える、噛む、なつかないといった問題行動が多く、見た目のかわいらしさで衝動買いしたものの手におえなくなった飼い主が、動物保護センターに持ち込むケースが多く、殺処分が減らない原因の1つになっている。
 研究者、獣医師、ブリーダー、ペットショップ、そしてペットを飼いたい消費者(生命ある者を引き取るのに、この言葉は正直使いたくない。生命を消費する…いやな言葉だ)も、国を挙げて変わらなければ、この問題は解決できないだろう。

多くの獣医師は遺伝病を敬遠
筆者の愛犬も遺伝病で苦労

「獣医師の多くは、遺伝病と診断したとしても、飼い主さんに告げるのを躊躇する場合がある」
 山根氏はさらにこんな衝撃的な話をした。

「いずれも治療法が確立されていないため、治しきることはできません。症状を緩和させる程度の対症療法しかないのです。獣医師は何もできないので、多くの動物病院は遺伝病を敬遠します」
 実は、我が家の愛犬は生後7ヵ月の時、行きつけの動物病院で「エナメル質形成不全」という遺伝病であることを告げられた。すべての歯のエナメル質が形成されていないため、虫歯になりやすく、「普通にしていたらすぐに歯が全部なくなってしまうから気をつけてあげて」と。だが、気をつけてあげようにも、獣医師は歯をこまめに磨いてあげること以外、アドバイスはくれなかった。というかできなかったのだろう。ちなみにペットショップとの契約の際には、「いたって健康」であることを“保証”する獣医の診断書を渡された。今から9年前、まだ我が家の周辺に動物の歯医者さんはなく、相談に訪れた他の数件の動物病院も、「治療手段はない」と謝るばかり。ただ、1人の獣医師が2ヵ月後、「地域初の動物の歯医者さんが開業する予定があるから紹介状を書いてあげる」と提案してくれた。
 渡りに船とありがたく紹介してもらい、2ヵ月後、動物の歯医者さんの診察を受けた愛犬は、翌日さっそく半日入院し、全身麻酔下でエナメル質に変わる補填材を塗ってもらい、治療完了。治療費の合計は9万円。保険には入っていなかったので、懐はだいぶ痛んだが、お陰様で現在も歯は全部残っており、元気にもりもりドッグフードを食べている。
 一度の処置でなんとかなる病気で助かったと思う。それでも、1歳にもならないうちに歯が全部なくなってしまうかも…という宣告には震撼させられた。また、「先天性」と言われても、飼いはじめてから5ヵ月経っていたので、ペットショップに苦情を言うという発想も思い浮かばなかった。
 仮に言ったとして、「では同じ犬種の健康な犬と交換します」と応じられても困るし、ペットショップに返した場合、殺処分という悲劇が彼を待っていると想像するだけでも、いたたまれない。

わずか6歳で目が見えなくなったパグ
1歳で歯が全部なくなっていたチワワ

 改めて思い返すと、8歳で足腰が立たなくなり犬用の歩行補助器具をつけているコーギー、わずか6歳にして白内障を発症し目がほとんど見えなくなったパグ、1歳にして歯が全部なくなっていたチワワ…私の周囲だけでも、これだけの病犬がいる。
 飼い主たちはいずれも遺伝病だとは思っておらず(遺伝病ではないかもしれないが)、「腰に負担をかけるような運動をさせてしまったのだろうか」「栄養が足りなかったのだろうか」などと思い悩み、もっと注意してあげていればよかったと、自分を責めている。

 取材で出会った獣医師の中には、「ほとんどの獣医師は、遺伝病であるとは伝えないはずですよ」と明言する人もいた。

「この問題は、ペットショップとブリーダーが協力し、繁殖の現場から遺伝子病を減らしていくしかない」
『国際小動物医学研究所』の筒井敏彦所長は根っからの動物好き。取材の日、開口一番で話し出したのは、研究所近くの親水公園の鴨の話題だった
 国際小動物医学研究所(BioPlus)の筒井敏彦所長は言う。
 筒井所長は、日本獣医生命科学大学の名誉教授で、ペットの繁殖にまつわる研究を40年に渡って行ってきた人。
 同研究所は、大手のペット関連会社(株式会社AHB)が運営する世界でも珍しい研究施設であり、日本で唯一の小動物の繁殖障害専門診療所を併設。遺伝子病や感染病等の研究に加え、様々な検査・診断・診療・手術等にも対応するほか、特定の遺伝病を発症しない子犬子猫を世の中に広げるための遺伝子病検査や、契約する約3000人のブリーダーに対する啓蒙活動・情報発信等を行っている。
会員ブリーダーを対象としたシンポジウムの様子。年一回、全国各地で巡回開催し、カンや経験に頼らない、学術的で科学的な、正しい知識や最新情報の共有を図っている
 現在、ペットの流通ルートは3種類ある。
(1)契約ブリーダーから直接販売業者が仕入れ、消費者へ。(株式会社AHB)
(2)ブリーダーが犬猫をオークションに出品し、販売業者が仕入れて消費者へ。
(3)ブリーダーが直接消費者に販売する。
 主流は(2)のルートで約70%を占めている。

「遺伝病等の知識を積極的に学び、適正な繁殖をしている良質のブリーダーから、消費者が直接、ペットを購入するのがあたりまえになるべき」
 前出の山根氏はそう言っていたが、AHBのように、業者が研究から情報発信、遺伝子検査の実施までを請け負うシステムが普及すれば、国としての対策を待つまでもなく、問題は加速度的に解決に向かうような気がする。
「我々が10年かけて研究してきたことを、ブリーダーの皆さんに1年で伝えています。理解していただき、適正な繁殖ができるブリーダーが増えれば、問題解決は大きく前進するでしょう」
 とはいえ、取り組みはまだ日が浅い。AHB内でも、遺伝病を発症するペットはいるはずだが、その場合はどうしているのだろう。

「当社に殺処分という言葉はありません。診療所が引き取り、どんな症状であれ、愛情を持って終生飼養しています。社員が個人的に引き取っているケースも多いですよ」
 こうした同社の取り組みは明るいニュースだが、ペットを取り巻く環境には依然、闇がある。
 心ないブリーダーが、狭い場所でケージを何段も重ね、糞尿まみれの状態でペットを飼い、無計画な近親交配を繰り返している例や、動物保護センターから引き取りを拒否された犬猫が民間業者の手で大量に殺処分されている例、手術の練習台や輸血用として売却されている例等、悲惨な事例を挙げたらきりがない。
 全体としてのモラルの低さは、未熟な業界であることの証明とも言える。




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猫と消防隊員

  • Day:2013.01.16 14:20
  • Cat:
2013.1.15 夕方
アニマルライツセンターへ、次のメールが投稿されてきました。
「大阪の北新地のビル名はあましん梅田ビル 薬局の右隣のビルの隙間に猫が朝からはまっていて出られない状態です
消防に連絡しましたが、多分助けられないと言われました
どなたか近くにおられる方、アドバイスお持ちの方、ご連絡いただけませんか??
私の番号は・・・です
救助された場合は私が引き取ります」

電話してみると「その後、消防の人がきてくれたけど、猫の鳴き声が聞こえなくなってて、ほんとにいるのかどうか確認できぬため、いったん帰ってしまわれた」とのこと。

現地に行ってみると、すでに活動仲間のシバタくんがきていました。
そこにいると思われる、鉄板で覆われたビルとビルの隙間からは、たしかに猫の鳴き声は聞こえません。
鉄板をたたいても、呼びかけても反応はなし。
シバタくんの案内で、ビルの裏手へ回りました。その裏手からビルの隙間にはいりこめそうだ、と彼はいいます。しかしそのためには2階の踊り場から隣の屋根に乗り移り、というアクロバティックな作業が必要とされます。「大丈夫なのか?」「落ちやしないか?」という心配をよそに、シバタくんはすいすいと飛び移り飛び降り、隙間の暗闇の中に消えました。

数分後戻ってきて「鳴き声がする。しかし表側同様、隙間は鉄板で覆われていて、中に入ることができない」
ともかく鳴き声はする、そこにいる、とのことで、消防に再度連絡。

「他にレスキュー要請があったら、そちらへ移動しなければならないが」という断りはありましたが、すぐにそちらへ向かう手配をする、とのこと。
電話から5分たつかたたぬかの早さで消防隊員の方たちが3名(途中からもう1名きてくれました)かけつけてくれました。オレンジ色のつなぎにヘルメットをかぶり、長く重そうなはしご、腰周りには懐中電灯や無線機、レンチみたいなものや何に使うのか分からないようなものがたくさんぶら下がっていました。
一緒に持ってこられた一抱えはありそうな大きな工具箱を地面に置き、隊員のリーダーがすぐに人員配備をおこない、一人の隊員がすぐに裏手にまわり、猫の様子を確認に行ってくれました。
表と裏とで無線機のやり取りのあと、裏にまわられた隊員のかたから
「鳴き声が聞こえない」とのこと。

鳴き声が聞こえずとも、姿が見えぬかと、隊員の方たちが強力な懐中電灯で隙間から照らしても、長いはしごを上られて、鉄板の切れる上部から中を照らしても姿が見えない。2階のお店のベランダへ入らせてもらい、そこから隙間を照らしても見当たらない。

ビルの隙間は配線や配管でいっぱいでした。
猫はおそらく周りの騒ぎに怯えて、その配線や配管の影に隠れてしまったのだろう。

『姿も見えず、鳴き声もきこえなければ、隊員たちは帰ってしまわれるだろう』
『朝からいままで、そうとう猫は寒い思いをしているだろう、もし救助してもらえなかったら死んでしまうだろう』という私の非建設的な心配をよそに、消防隊員たちはひたすら建設的に、地面にへばりつき床の隙間から中を照らしてみたり、はしごに登りさまざまな角度から中を照らしたり、ネコに呼びかけてみたりして、もくもくと猫の姿を探してくれました。

とちゅうから駆けつけてくれた消防隊員の方が、はしごの上部から下をじっくりと見まわして、言いました。
「ここにいるやん」


猫は騒ぎに驚き、じっとしていたのです。

猫がいることが分かったあとの、隊員たちの動きはさらにスピーディーでした。
ビルの隙間に取り付けられた、手作業で外すのは到底不可能と思われるような、ガッチリとめられた鉄板はあっという間に取り外され、猫を逃がさぬようとらえるための「業務用」網が用意され、ビルの隙間に隊員の一人がするっと潜り込みました。
猫の暴れる声が聞こえて数秒後、猫は無事に網の中へ収められました。

私もシバタくんも、仕事中の合間をぬってかけつけてきた方(最初にアニマルライツセンターに情報を流してくれ猫を引き取るといってくれている優しい方)も、ほっと一息つきました。

隊員の方たちは猫をとらえた後、重い鉄板を再度取り付け、工具を片付け、襟をただし、次のレスキュー現場に向かわれました。

隊員の方たちは終始真剣な動きで「たかが猫」という様子はまったくみられなかったです。
法律がどうであろうと、罰則がどうであろうと、命は命、かけがえのないもの、そんな風に思っているのは私たち活動家だけではないことを、強く感じた一日でした。
レスキュー作業中、現場を管理してくれた警察官の方は猫用のキャリーバッグを用意してなかった私たちのために、署にあまっているのがないか問い合わせてくれました。
このビルの中で働いている方たちは「ずっと鳴いていて気になっていた。助けてあげて」と言われていました。

飼ってくださるかたが引き続き仕事のため、いったん私が家に連れ帰ることになりました。
捕獲用の網の中で暴れており、バッグにうつす際も暴れましたが、家につれて帰る間中、バッグの中でずっとおとなしく微動だにしませんでした。死んだのではないかと心配になり何度かそっと中をのぞきましたが生きていました。
ネコにとって、とても大変な一日だったことでしょう。

シバタくんがたくさん買ってきてくれたネコ缶と水を、家に帰ってからあげましたが、まったく動かず、かばんからも出てきませんでした。でも頭をなでると、きもちよさそうにしていました。夜中に何度かニャーニャーと小さな声で鳴きました。

朝起きるとネコ缶を入れておいた容器が空に、水も飲んでいました。ネコは元のままかばんの中にいました。
朝、飼って下さる方に引き渡すために、ほかのかばんにネコをいれようとしたところ、ネコはもう暴れず、じっとしていました。かばんに入れるためにネコを両手で抱えたとき、ネコがとても小さく軽いことに初めて気が付きました。

1/16 7時半にネコを引き渡しました。今日病院に連れて行ってくださるそうです。とても優しい方なのでネコはきっと安心すると思います。

消防局の方にお礼の手紙を書こうと思います。