二酸化炭素による殺処分で、動物は苦しむのか

多くの自治体が、二酸化炭素ガスによる犬猫の殺処分を行っています。
衆議院調査局環境調査環境調査室資料より下図抜粋
無題
※注射では、麻酔薬であるバルビツール系や塩酸ケタミンが一般的に使用されています

注射による安楽殺の方法(新潟県生活衛生課に確認)
1.全身麻酔+鎮静剤を注射
2.筋弛緩剤を注射
※暴れる犬などに対しては注射ができません。その場合はケージに追い込み動けない状態にして麻酔注射をうつとのことです。麻酔+鎮静剤入りの餌を食べさせたらいいのではないかとも思い、その事をたずねると、そういった方法も何度も試したけど、効果が出ないことが多かったそうです。そのため、やむをえず注射による方法がとられているということでした。


私の住む大阪府(※)でも、新潟県と同じように一頭一頭、注射による殺処分を行っています。
(殺処分機を新設予定ですが、これは二酸化炭素による殺処分ではなく、吸入麻酔剤(イソフルランか、それと同等の薬剤)併用の機械とのことです。狂犬病発生時などの危機管理対策のためにより人道的な安楽殺ができるよう導入を予定しているということです。また暴れて注射できない動物を、安楽殺する場合にも、この機械が必要だということです。2014.7月大阪府に確認)
※大阪「市」ではガス室(麻酔なし)での殺処分が行われています。一部病気の動物に対しては注射による処分もしているとのこと(2014.9月確認)

大阪府の一年間(2012年度)の犬猫の殺処分数は3,172頭。 
※中核市(高槻市、東大阪市)、政令指定都市(大阪市、堺市)は除く

隣の兵庫県では、2012年度に4,968頭の犬猫が殺処分されています。
兵庫県の殺処分は、二酸化炭素を用いてガス室でおこなわれます。
(負傷動物など弱った犬猫に対しては、注射器による殺処分)

※2012年度の全国殺処分数→ http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/h23_dog-cat2.pdf

ガス室での殺処分

わたしには、「暴れているが苦しんではいない」とはとても見えず、見知らぬ場所へ連れてこられ、数日を不安の中で過ごしたのちに、このような方法で殺されることはどんなに辛いことだろうか、と思われます。

2013年3月はじめ。兵庫県に、殺処分方法を二酸化炭素によるガス室ではなく、一頭一頭麻酔注射器による方法か、あるいは山口県下関市のように二酸化炭素ではなく麻酔剤によるガス室での処分を検討してもらえないか、問い合わせました(生活衛生課の方が対応)。
その方が言われるには
「二酸化炭素による殺処分方法は、環境省が処分方法として『妥当だ』として示しているものである」
「二酸化炭素による殺処分方法は、苦しんでいるように見えるかもしれないが、実際のところはわからない。苦しんでいるという、科学的なデータを持っていますか?」
「一頭一頭麻酔注射でと言われるが、その注射をするときに、動物はおとなしくしているのか?暴れるのではないか?動物を押さえつけないといけないのではないか?それは動物をより苦しめることになるのではないか?」

電話を切ったあとで、調べました。

環境省が二酸化炭素による殺処分を認めているのか?
動物の殺処分方法に関する指針の「解説」の中で、環境省は、確かに殺処分方法の一つとして「二酸化炭素」をあげています。それは1995年に定められた古いものですが、環境省に電話して確認したところ現在も同じ方針であるということでした。ただ、どういった殺処分方法を選ぶかについては「各自治体に任せている」とのこと。
※解説は、インターネットで見ることができません。

二酸化炭素注入による殺処分で、動物は苦しんでいないのか?
2012年の衆議院環境局環境調査室資料(2012年に動物愛護管理法が改正されましたが、その改正のために審議された内容などについてまとめられたもの)では、二酸化炭素による殺処分について次のように書かれています。

麻酔ガスによる複数頭の殺処分は安楽死なのか疑問ではある。ただ、米国のように1頭ずつ静脈注射をするのは困難。(獣医師による意見)


日本大学獣医内科学研究室の研究では繁殖の役に立たなくなったビーグル犬雌を17頭実験に使い、二酸化炭素により死に至らしめる際の麻酔効果と覚醒状態を研究しています。
(繁殖させるために動物を利用し(ビーグル犬ということですから、実験用のビーグル犬かもしれません)殺す際に、さらに実験で使用するという非人道的なことが行われています)

【方法と結果】実験犬には、動脈圧測定用のカテーテルを大腿動脈、脳波測定用の電極を頭頂部皮下にそれぞれ留置した。実験犬は、急速炭酸ガス注入群、段階的ガス注入群 イソフルレン-炭酸ガス注入群 (このイソフルレンが、山口県下関市で、日本で唯一行われている麻酔ガスによる殺処分方法です)の3群に分けた。
急速炭酸ガス注入群は、二酸化炭素が95%の時に動脈血圧と心拍数の急速な低下を認めたが、脳波の値は覚醒を示す92±10であった。血液ガス測定では急速な二酸化炭素分圧の上昇と酸素分圧の低下を認めた。
段階的ガス注入群は、チャンバー内の二酸化炭素の上昇に伴って徐々に動脈血圧と心拍数が低下し、脳波の値も二酸化炭素60%で53±21、80%で41±23、95%で31±19と低下した。血液ガス測定では急速な二酸化炭素分圧の上昇が認められたものの、酸素分圧は段階的な低下を認めた。
イソフルレン注入群では、イソフルレン注入後に動脈血圧の低下と心拍数の上昇を示し脳波の値は54±10であった。その後炭酸ガスの急速注入で心拍数と動脈血圧と脳波の値29±20の低下が認められた。血液ガス測定では二酸化炭素注入後に急速な二酸化炭素分圧の上昇が認められ、酸素分圧は段階的な低下を示した。

【考察】二酸化炭素の急速注入は、中枢よりも先に循環動態への影響が大きく、覚醒下で低酸素(低酸素になると激しい頭痛、下痢、嘔吐などが起こる)陥ることが明らかとなった。
また、段階的な二酸化炭素の導入においては麻酔効果も段階的に現れたが、炭酸ガスによる刺激のためか忌避行動が観察されたため、安楽な麻酔状態ではないと考えられた。
イソフルレン麻酔の併用では、イソフルレン麻酔による非覚醒状態で炭酸ガスを導入するため、他の注射麻酔による深麻酔と同等な効果が得られると考えられた。

諸外国の状況・知見
アメリカの半分の州はガスによる殺処分を禁止しています。残りの州に対してもHSUS(全米人道協会)は、膨大な科学的データをもとに「ガスによる殺処分は動物を不必要に苦しめる」として、廃止を求めています。
Bringing an End to Inhumane Euthanasia
http://www.humanesociety.org/animals/resources/facts/end-inhumane-gas-chambers.html?referrer=https://www.google.co.jp/
WSPA(世界動物保護協会:現在はWAPと改名)は、犬と猫の場合、二酸化炭素殺処分は受け入れられないとしています。
http://www.icam-coalition.org/downloads/Methods%20for%20the%20euthanasia%20of%20dogs%20and%20cats-%20English.pdf
イギリスでは注射による安楽殺が行われています。
AVMA(アメリカ獣医師会)は条件付きで二酸化炭素を認めていますが、推奨はしていません。またこの「条件」をすべて整えるのは困難かもしれません。
http://atwork.avma.org/2013/02/26/euthanasia-guidelines-the-gas-chamber-debate/
OIE(世界動物保健機関)の動物福祉基準「野良犬の人口抑制(Stray dog population control)」では、犬への二酸化炭素を使用した殺処分は「死ぬまでに時間がかかる場合があり、苦しむ可能性がある」とされています。
http://www.oie.int/index.php?id=169&L=0&htmfile=chapitre_aw_stray_dog.htm

動物種によっては二酸化炭素が妥当な場合もあるかもしれませんが、犬猫に関しては、二酸化炭素殺処分は苦しむリスクがあり、もっとも苦しむリスクが低い方法は安楽死用注射剤だ、というのは間違いがなさそうです。



麻酔注射は、より動物を怖がらせるのか?
麻酔注射による殺処分を行っている、大阪府に確認。
「いったん引き取った犬猫は施設で保護するが、引き取り手がないとなると『ケージ』にいれて、処分する施設へ移動させる。ケージに入れたまま、ケージの隙間から手を入れて麻酔注射を打つ。」そうです。そのため暴れる、という状況にならないようでした。

麻酔注射による殺処分のレポート(アニマルライツセンターより)
→ http://www.bethevoiceforanimals.com/satsusyobun/detail/satsusyobun_02.html

ほかの自治体での、麻酔注射による殺処分


2013年3月6日
兵庫県 生活衛生課へ上記を伝え、日本大学獣医内科学研究室の研究報告が掲載されているURLを知らせ「殺処分方法を、苦しみの少ない方法へ変えてほしい」と再度要望。


アニマルライツセンターより
自分の住んでいる自治体に、殺処分方法の改善を求めよう
※下のほうに各自治体の動物行政担当窓口へのリンクがあります。


大阪府の動物行政担当の方は、このようにも言われていました。
「飼い主に連れてこられて、見知らぬ施設で何日か過ごし、そのあとケージに入れられ殺処分の場所へ連れて行かれ、処分される。それが動物にとってどれだけ苦しいことか考えると、一番いいのは、飼い主の腕の中で麻酔注射で処分されることではないかと思うこともあります」


メモ souken
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