ブレンディの秀逸な「差別」CM

  • Day:2015.10.03 21:26
  • Cat:


差別とは長い間続いてきた偏見と恣意的な態度の結果であり、あまりに長い間あたりまえに続けてこられてきたため、そこに差別が存在することすら気がつかない人が多い。

しかしブレンディの最近のCMは、われわれの周囲に存在しながら隠れている”差別”の存在を分かりやすく提示している。
このCMを見た人々の反応の多くは「気持ワリイ」というものだ。
その反応は正常だ。差別とは後ろ暗く後ろめたくドロドロした「気持ワリイ」ものだからだ。普段隠されているドロドロしたものを引きずり出したのがブレンディのCMだ。

牛に見立てられた生徒が、と殺場行き、肥育場行き、闘牛場行き、”ブレンディ”行きに振り分けられていき、「おめでとう」と”卒牛証書”が与えられる。”ブレンディ”行きが決定した胸の大きい女生徒は”乳牛としての価値が認められた”喜びに顔を輝かせる。

しかし乳牛の一生は過酷だ。ほぼ一生をつながれたまま過ごし、角は麻酔無しで切除され、乳をたくさん出すように品種改良され続けた弊害で体は慢性的な病気に苦しんでいる。乳が出るのは人と同じで出産後だ。乳を効率よく搾り取れるよう繁殖はすべて人工授精で行われ、"牛乳"を早く生産ラインにのせるために、産まれてすぐに子牛と母牛は引き離される。だいたい2,3産させたあとで、乳の出が悪くなるとと殺される。人で言うとだいたい20歳くらいで一生に終止符を打たれる。

”ブレンディ”行きの乳牛のライフサイクルは早い。
擬人化された胸の大きい女生徒は”ブレンディ”行きの誇りに目を輝かせるが、実際に”ブレンディ”行きを喜ぶ牛はいない。過酷なとらわれの短い一生に同意する牛は決していない。もしも牛が口をきけたなら、声を上げて拒否するだろう。しかしそこをあえて擬人化してブレンディの価値観を押し付けたこのCMは、差別がどれだけ悪質で一方的で相手の感情を無視したものであるかを分かりやすく表現しており、非常に秀逸だ。

このCMを見た人は、ブレンディの持つ女性差別、若者差別の考えを鋭く感じ取り「気持ワリイ」と反応するが、このCMの内包する根本的な差別「種差別」に反応する人も少なくはない。

何億モノ広告費を使って、物言えぬ動物の感情を都合よく解釈し、公共の電波を使って差別の悪質さを表現してくれたブレンディには感謝の意を表したい。

ちなみにこのCMの擬人化牛の鼻輪だが、牛を制御しやすいよう肉牛の約8割で鼻輪の装着が行われており(2014年農水省調査)、麻酔無しで行われるため鼻輪装着時には牛は嫌がり痛みで苦しむ。
スポンサーサイト

乳牛の跛行

  • Day:2015.08.19 23:03
  • Cat:
乳牛にもっとも激しい苦痛を与える病気と言われているのが、跛行です。

跛行とは足をひきずって歩くことです。
酪農の大規模化と「品種改良」による乳量増加が進んだことにより、跛行は増大しています。

乳牛の跛行は疾患の問題ではなく、アニマルウェルフェアの問題だと広く認識されています。
イギリスでは乳牛の跛行を重大な虐待と捉え、非難の対象となっています。
虐待と言われてもおかしくないほど、跛行する牛の苦痛は大きいものです。

跛行になった牛は休息、摂食、飲水、繁殖などあらゆる行動に影響を及ぼします。
乳生産量が低下することも明らかになっています。


跛行は、生産性を重視して牛本来の生態に配慮しないことが根本的な原因となっています。

跛行を引き起こす要因

1)床の材質や状態が悪い(コンクリート床、湿った床、敷料がない)
牛は本来草地を歩くものですが一般的に乳牛たちは牛舎の中で飼育されています。
特にコンクリート床は、蹄を痛める原因となります。
乳牛の蹄は素早く水分を吸収する性質があるので、湿った床で飼育すると、水分を吸った蹄は柔らかくなり、より摩耗しやすくなる。また、糞尿で覆われた床は、伝染性の皮膚炎発症率を高めるます。

2)草地に放牧しない
牛は本来、コンクリートではなく牧草地のような柔らかい場所を歩くように進化してきたので、草地に出る機会を与えないと牛の跛行は増加します。
*乳牛で大きな問題になっているラムネス(歩行異常)については柏原(2007)が計590頭の搾乳乳について調査を行った。すなわち、歩行中の乳牛の動作をデジタルカメラで撮影し(中略)昼夜放牧、時間制限放牧および放牧をまったく行っていないフリーストール飼養で観察された各スコアの割合は、どの分類においてもスコア1(正常)がもっとも多かったが、昼夜放牧および時間制限放牧ではその割合は76~83%であったのに対して、放牧をまったく行っていないフリーストールでは50%程度であった。また明らかな歩行異常は、昼夜放牧、時間制限放牧では0~1頭であったのに対して、フリーストールでは3~16頭を占めた。

3)乳牛の品種改良
乳量増加に特化して「品種改良」されてきたホルスタイン種は、ジャージー種よりも跛行が多いといわれています。
高泌乳量の牛ほど、第四胃変位や乳房炎が多いといわれていますが、第四胃変位は蹄葉炎を引き起こし乳牛を跛行させます。

5)過密飼育である
牛の足は硬い蹄という靴をはいた状態になっています。その中には蹄骨が葉状層と真皮層に包まれており、自分の横臥する場所のない狭い牛舎の中で起立時間が長くなると、そこが炎症を起し、充血と陣痛を伴うようになります。牛は一本の足に140kgという自重がかかっており足への負担は大きいものがあります。



------------------------

参考資料
■「牛の跛行マニュアル―治療とコントロール」
■「カウコンフォートを考える3ー乳牛の跛行ー
http://home.hiroshima-u.ac.jp/fscfarm/introduction/center-issue04/07.pdf
■畜産技術情報「飼養密度と生産性」
http://livestock.snowseed.co.jp/public/4e73725b/65bd8a2d/98fc990a5bc65ea63068751f75236027
■Whitmoas letter from USA
http://www.lava-net.jp/newsletter/jp/PDF/2009_06_jp_hg.pdf

■2013年3月「畜産コンサルタント」

souk

2015年6月 乳牛の飼育についての、国際基準ができました。

  • Day:2015.07.13 13:09
  • Cat:
OIE(世界動物保健機関)が乳牛の飼育について基準を策定中です。

2014年8月 OIE(世界動物保健機関)が策定中の「乳用牛のアニマルウェルフェアコード」の第二次案について、日本がOIEにコメントを提出。
コメント内容は、以下の部分を全部削除するよう求めるものになっています。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/pdf/terre_comment_aug_2014_jp.pdf

『乳用牛が、舎内、舎外にかかわらず、繋がれていなければならない
場合には、最低限、横臥し、立ち上がり、自然な姿勢を維持し、ス
ムーズに回転することができるようにするものとする。タイストー
ル牛舎で飼われている牛は、ウェルフェア上の問題を防止するた
め、繋がれない状態で十分な運動ができるようにするものとする。
野外で繋がれている場合には、歩くことができるようにするものと
する。家畜飼養者は、牛が繋がれている場合には、ウェルフェア上
の問題のリスクが高まることを認識しておくものとする』

削除すべきではないのに、どうして削除したのか?と思ったので、農林水産省 消費・安全局消費 国際基準チームに電話しました。
「繋ぎっぱなしで転回できなくてもウェルフェア上問題ないと考えて、全削除したのか?」については「そうではない、守れない基準を作って、OIE基準が形骸化してしまっては意味がないため、守れる基準を作るべきと考えるため」とのこと。
「OIE基準はしょせん理想で拘束力はないのだから、あくまで理想を高く持ってそれに向かっていくことが大事なのではないか?」との問いには「現実にアフリカなどはコードを無視しはじめている。守れるものを作ることが重要」
とのことでした。

しかしそれはおかしいと思います。乳牛の置かれている状況はとても深刻です。糞をするのもご飯を食べるのも寝るのも同じ場所で、日本の乳牛は一生のほとんどを過ごしています。牛も豚も鶏も感受性があり社会的生活を営む、私たちと同じようにかけがえのない命です。短い綱でつながれて、隣の牛と触れ合うことも痒いところをなめてもらうこともできないような状況は、必ず変えていかねばならないものです。
守らない国に守らせるよう、日本は取り組むべきで、アニマルウェルフェア基準を低くすべきではありません。
転回できる飼育をすることは畜産動物への最低限の配慮です。






アニマルライツセンターとPEACEが、このOIEのアニマルウェルフェアコード第二次案への日本からのコメントについて、共同で意見を提出しています。
第一次案の際の日本のコメントが、カウトレーナーの使用と除角の際の麻酔や鎮痛剤の不使用を肯定するものであったため、「カウトレーナーの不使用」「除角の際の麻酔や鎮痛剤の使用」を求める意見を提出されています。
http://www.hopeforanimals.org/animals/milk/00/id=314


2014年8月に提出された第二次案への日本のコメントは、上記URLにあるとおり
・舎飼でのつなぎ飼いを認める
・カウトレーナーの使用を認める
というものになりました。

第二次案への各国の意見をうけて、2014年12月に発表されたOIEの第三次案は、日本からの意見に譲歩したものになっています。
すなわち
・舎飼でのつなぎ飼いを認める
・カウトレーナーの使用を認める
という内容です。

http://www.maff.go.jp/j/syouan/kijun/wto-sps/oie/pdf/8-2_aw_dairy_cattle.pdf

その後OIEは、2015年5月の総会採択を目指して、加盟国に3回目の意見照会をおこない、

2015年5月24~29日の第83回OIE総会で「アニマルウェルフェアと乳牛生産システム」が採択されました
http://animals-peace.net/farmanimals/oie-aw-dairycattle.html

2015年7月1日 第1回 国際獣疫事務局(OIE)連絡協議会を傍聴したPEACEさんから、採択された「アニマルウェルフェアと乳用牛生産システム」コードをいただきました。
内容は
・つながれている場合は方向転換できなくても良い
・カウトレーナーの使用は容認される
ものとなっています。一方、除角の際の麻酔や鎮痛剤は「常に使用されるもの」という表現になっています。

コードのデータはこちらからダウンロードできます。
http://www.hopeforanimals.org/animals/milk/00/id=314





乳牛がどのように飼育されているのかについて
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-entry-61.html




kitara

オーストラリア 牛の生体輸出の条件にアニマルウェルフェア基準を付す

  • Day:2015.05.25 19:33
  • Cat:
2011年5月
オーストラリアからインドネシアへ
生きたまま輸出された牛が
インドネシアでどのように屠殺されているか
あきらかになった

・弱って動かない牛を屠殺場まで牛を歩かせるために、
目をえぐる、尾骨を折る。鼻に水を注ぐ。


・牛を電気ショックなどで気絶させてのどを切るという方法ではなく、
意識のあるままのどを切り、時間をかけて失血死させる。
「平均10回、牛は喉を切られ、中には33回も切られた牛がいる。
屠殺担当者に技能が欠けており、しかもナイフの刃も鈍っている」


・他の牛がうめき、殺されて解体されるのを目の前にして、数時間待たされる牛。
体がぶるぶる震えています。


イスラム教では屠殺後24時間以内の肉しか食べられない。このため生きたまま輸入する必要がある。
イスラム教ではハラール処理(喉のあたりを横に切断しなければならない、電気ショックは好ましくない、血は禁忌、完全に血抜きをしなければならないなど)された肉以外は食べてはいけない、という規則がある。

2011年6月 オーストラリアからインドネシアへ牛を生きたまま輸出することが一時停止された。
オーストラリアは適切な改善がされない限り再開しないとしており、
インドネシア側に6カ月以内の対応を求める、としていた。

一ヵ月後、

2011年7月
オーストラリアからインドネシアの
生きたままの牛の輸出再開
オーストラリアはインドネシアに、生きた牛を輸出することで、
年間約260億円儲けています。

2012年2月
インドネシアの屠畜場で、また残酷行為 摘発される
2月28日夜、ABCテレビ時事番組Latelineが、
インドネシアの屠畜場で、今も行われている牛に対する残酷行為のビデオを放送。
http://nichigopress.jp/ausnews/world/34839/



署名できます。※署名終了しました。
オーストラリア首相ジュリアギラードと農業大臣ジョールートヴィヒへ
「我々は、すぐにインドネシアへのオーストラリアの牛の生体輸出を停止し、
3年以内には、オーストラリアの動物の生体輸出の廃止することを求めます」
→ http://www.getup.org.au/campaigns/animals/live-export/ban-live-export

その後
オーストラリア政府は、輸出先の施設について国際獣疫事務局(OIE)の定めるアニマルウェルフェア基準を満たしていることを条件に付した。
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2015/jun/wrepo03.htm

『インドネシア向け生体牛輸出の動向を見ると、2009年の約77万頭を境に右肩下がりとなり、2012年には2009年の4割以下まで減少した。この背景にあったのは、インドネシア政府による牛肉自給率向上プログラムの開始に伴う輸入規制(輸入許可頭数の制限、生体重350キログラム以下の体重制限など)および、インドネシア国内のアニマルウェルフェア問題に端を発した、豪州政府による2011年の同国向け生体牛輸出の禁輸措置である
 特に、後者は、北部の肉牛産業に大きな打撃を与えた。禁輸措置がとられたのは6月からの一カ月間であったものの、豪州政府は、輸出解禁にあたって、輸出先の施設について国際獣疫事務局(OIE)の定めるアニマルウェルフェア基準を満たしていることを条件に付したことから、輸出再開後もインドネシア向け輸出頭数は伸び悩んだ。インドネシア向けに出荷ができなくなった肉牛は翌シーズンまで保留され、と畜場直行牛として出荷されたため、2012年にはマレーシアおよびフィリピン向けの輸出頭数が大きく伸びた。
(2)輸出業者サプライチェーン保証システム(ESCAS)の導入
 インドネシアにおける豪州産生体牛のアニマルウェルフェア問題に対処するため、豪州政府は2011年7月、輸出業者サプライチェーン保証システム(Exporter Supply Chain Assurance System;ESCAS)を導入した。
 表1のとおり、ESCASは、肥育用およびと畜場直行用の生体家畜を輸出する際に、輸入国側での肥育場からと畜場に至るまでの、豪州産家畜のアニマルウェルフェアやトレーサビリティなどに係る透明性確保と説明責任を、輸出業者に対して要求するシステムであり、大きく4つの柱で構成されている。なお、豪州国内の農場から輸出相手国への到着までについては、2004年に導入された豪州生体家畜輸出基準(Australian Standards for the Export of Livestock;ASEL)によってカバーされている。
wrepo03_h01.gif

*******************************

動物を生きたまま輸送すること自体が、とても残酷なことです。


2004年、OIE(世界動物保健機関)はアニマルウェルフェア(家畜福祉)規約を定めています。
2005年には、動物福祉に配慮した動物の輸送について、規定。
・輸送時間は最短にすること
・動物を驚かせないように扱うこと
・動物を乗り物に乗せたりおろしたりする際に配慮すべきこと
・輸送後12時間以内に全頭点検すること

陸路輸送、海路輸送、空路輸送ごと規定が定められ、空路輸送の場合はより過密に輸送されるため、収容密度などについて具体的な数値があげられています。
OIEは加盟国に対し、これらの家畜福祉既約を遵守するよう、推奨しています。

この規約は、利用するために殺す動物たちへの最低限の配慮だと思います。
これらの規約が守られたとしても、動物はファーストクラスで外の景色を眺めながらゆったり過ごすわけでも、おなかが空いたら何かつまんで、のどが渇いたら飲み物でのどを潤し、快適な旅を満喫するわけではありません。動物は商品です。死なない範囲で、できるだけ詰め込んで、輸送コストを抑えなければなりません。今までいた場所から、乗り物に追いやられて、何日も過ごす間、動物たちはどんなにか不安で心細いだろうかと思います。夏はどんなにか暑くのどが渇くだろうと思います。







メモ souken

牛の角の切断 失神するほどの痛み

  • Day:2015.01.16 02:04
  • Cat:
牛の断角。
苦痛と恐怖で失神してしまう牛もいます。

無題
日本のアニマルウェルフェアの指針では、除角によるストレスが少ないと言われている生後2ヶ月以内に実施することが推奨されていますが、実際には、2014年調査によると乳牛では45%、肉牛では85%が3ケ月齢以上で除角されています。

切断後焼きゴテで止血するところもあります。切断された箇所に焼きゴテを当てられるのですから、その苦痛ははかりしれません。
農家さんのなかには、止血のために焼きゴテをあてるのは牛に無用の苦痛をあたえるだけではなく、化膿の原因にもなるという人もいます。「ティッシュを当てているだけで十分だと。出血が多くても大丈夫、血は自然に止まる。」

全農畜産サービス株式会社は「牛の角カバー」を販売しており、このカバーを使用すれば牛の角の切断は必要ありません。ヨーロッパでは角の先だけ切断し、ゴムの角カバーを付けるという方法も行われており根元からの切断と比較すれば痛覚の点で大きな違いがあります。

牛に苦痛を与えるのが「仕方がない事」のように行われていますが、
仕方がない事ではなく、牛への痛みを減らすことやなくす事は、思いやりと少しの努力でできます


参考資料
現代農業2013年5月号
全農畜産サービス株式会社「牛の角カバー」
http://www.zcss.co.jp/sizai/yougyu-rakunou/usi14-1.html




sou